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第一章 

1-107 我家独特の巣立ち

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 人間の世界で生活してあれよこれよと色々ありながらも家族が皆んなで楽しく過ごして気付けば約十年の月日が経っていた。

本来ならもうすでに巣立ちをする年頃をとうに過ぎているのだが...。

"こらぁー!!ブルーム!!アンタなんて格好で歩いてるのさ!!"

"イッテェー!!何すんだよ!ババァー!!夜中暑くってよ水浴びしてただけじゃねぇーか!
ちょっと着替えを持ってくるのわすれてノドが渇いたからお茶飲んでるだけで頭をぶたれないといけねぇーんだよ!!"

朝からお母さんと一番上の兄のコントの様なやりとりから始まる。

全身びしょびしょの兄が全裸で母屋のリビングでお茶を飲んでいるのを発見したお母さんが兄の頭に鉄拳(ゲンコツ)を落としたのだ。

実は私達兄弟は巣立ちの時期を過ぎても同じ場所で、家族で過ごしているのだ。

じゃー今までと変わらないじゃない?!と思われがちっだけど変わった事もあるのよ。

それは...一番上の兄のオツム加減が悪化したのと、それぞれに部屋ではなく小さいながらも家を与えられた事だ。

なぜ巣立ちのをしなかったのかと言うと...。

「ブルーム兄さんはなぜ毎日同じ事をしてるんですか?」

"フレア。それはな、学習能力がないからだ。"

"兄さん。それ言ったら可哀想だよ。ブルーム兄さんも少しは学習能力あると思うよ?"

"ないわよ!あったら毎日こんな会話が敷地内に響かないわよ。"

「スノー!おはよう。」

私が冷たく言い放つとフレアが満面の笑顔で私に抱きついてきた。

母屋のリビングに全裸のまま正座をさせられお母さんの雷付きの説教を受けている所にやってきた私達。

私達の姿を見てお母さんは一時お説教を中断させて朝ご飯の準備をし出した。

兄はお母さんに言われて自分の家に戻り着替えてくる様だ。

あっ!そうそう。私達がなぜ巣立ちをしなかったのかと言うと。

この、私に抱きついているフレアが原因だ。

普段表情筋が死んでるのでは?と思うぐらい、喜怒哀楽の乏しいフレアが私達の両親が巣立ちについて話をした時だ。

ここぞと言わんばかり泣いて、怒って、拗ねて暴れまくったのだ。

それこそ私達の両親が巣立ちをしなくて良いと言うまでだ。

さすがにこんなフレアの状況に実の親と祖父は驚いていたけどね。

暴れに暴れたフレアのおかげで立て直した家は全て倒壊してしまったのだ。

そこでだ!

本来なら巣立ちをして自分達の住処を持たないといけないので、形式だけでもといって家を建て直す際に私達四人(実質五人)兄弟それぞれ小さくてもいいから自分の家を持つ事を提案されたのだ。

ちなみに提案者はお父さん。

一瞬でもフレアがお父さんに噛みつこうとしたが、敷地内に建てていいと言ったので落ち着いた。

そこで建てるときに家を分けたのだ。

敷地内の中心にメインの家となる母屋をまず建てた。

そこにはフレアの両親と祖父、私達の両親とその仲間達が住む事に。

そのため母屋は以前の家より大きくかつ変わった形状となった。

地下2階付きの四階建ての建物だ。
しかも円形。

ね?変わってるでしょ?

で、そんな母家を中心に私達兄弟の家をそれぞれ建てたわけ。

でも生活の大半は母家で過ごすことが未だに多いのだけどね。



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