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第二章 親父たち大陸横断する
親父たち、アンストッパブル
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親父たちは、悩んでいた。
「うむ、困ったことになったな!」
「まさか軍曹の言ったことが本当になるとは!」
「ここまで予想通りだと逆に恐ろしいであります」
「どうするんでござるか?この状況」
親父たちの目の前では汽車に乗り込もうとする捕らわれていた列車関係者とそれを阻止しようとしているホムンクルスによる乱戦になっていた。
「あの汽車にクレイ・スチーム一味がいるのは明白であります」
「うむ、だが、この乱戦をくぐり抜けて、汽車に辿り着くのは至難の業だよ」
「でも、ここで踏みとどまっていたら、クレイ・スチームの一味が汽車で逃げるし、怒り狂った村正に斬られることは確実だ」
「さっきから叫び声が聞こえてこないのが逆に不気味でござる」
怒りが治まって、冷静になってのか?それとも別の理由で静かなのか?
確かめる勇気は親父たちになかった。
「うむ、とにかく戻る道がないのなら進むしかない。さいわい汽車はまだ準備ができていないのか、静かだ時間はある」
「教授。それ本当か?」
「本当だともブドウ。我々の世界にあった機関車の常識と照らし合わせればの話だが」
「どちらにしろ進むしかないでござる」
「影。斥候はまかせたであります」
「了解でござる」
そうして親父たちは乱戦という名の海を泳ぎ始めた。
向かってくる者はホムンクルス、列車関係者だろうと関係なくは四人で袋叩きにして、進んでいった。
一時間後。
「うむ、思ったよりも時間がかかったが何とか列車に着いた」
「他に列車に着いた人はいないようであります」
「そんなことより機関車に行ってクレイ・スチーム一味がいないか?調べるでござる」
「肯定であります」
しかし不運が親父たちを襲った。
狂戦士と化した村正がやって来たのだった。
手にはさっきまで持っていなかった剣を持ち、どこから調達したのかサングラスをしている。
「うむ、まずいことになったな!」
「さっきに比べて、怒りのオーラは見えないが、危険なのは本能的に感じる」
「急いで、機関車に向かうでござる。クレイ・スチームがいたら簀巻きにして村正にやらないとこっちが細切れになるのは確実でござる」
「そのとおりであります」
しかし、親父たちが機関車に向かうよりも速く、列車は動き始めた。
「どうなっているんだ?煙も音も出ていないのに動くなんて、おかしい」
「うむ、ブドウ、これはゴーレム列車だ。今までみたこのの世界の列車が我々の世界にあった列車の常識にあまりにも当てはまりすぎて、それが常識だと思ってしまっていたんだ」
「そんな常識よりも列車に飛び乗るでござる!」
「肯定であります」
そう言って親父たちはなんとか、最後尾の列車に飛び乗ることに成功した。
「うむ、結局村正を置いていく形になってしまったが、後の事が心配だ!」
「教授どの。大丈夫でござるクレイ・スチーム持って帰れば、村正どのの怒りも治まるでござる」
「肯定であります」
「そう考えるのは早計みたいだぞ」
「うむ、どうしたのかね?ブドウ」
「村正を見ればわかる」
親父たちが見た村正は居合切りの構えをしていた。
「どう見てもこれから必殺技を放ちますと、言っているようなポーズだ」
「まさかあの距離から列車を斬るつもりなのか?」
「うむ、物理的に言って不可能だ。そんなこと」
「でも、さっきから常識的に考えられないことを村正どのはやっているでござる」
「「「た、確かに!」」」
そんな親父たちの会話をしている間に村正は居合を放った。
「うむ、やはり届くわけがない」
「いや、届く」
「あれを見るでござる」
「水の刃が機関車めがけて飛んでいるであります」
水の刃は機関車に当たったが、何事もなく走るのだった。
「うむ、おそらくだが、あれは村雨斬りの応用だろう」
「水のカマイタチであります」
「威力は弱いとは言え遠距離攻撃もできるとは!」
「村正どのは一体何に向かえって進んでいるのでござるか?」
こうして親父たちを乗せた列車はトンネルを抜けて荒野を進むのだった。
一方、その頃のクレイ・スチーム一味。
列車が動いたのかクレイ・スチームの協力者ボーガン・アースロールは一安心していた。
「あのバカ息子ども。やっと列車を動かしたか!秘密基地はなくなったが、まあいい。こんなこともあろうかと、この列車には金や物資を満載にしていたから、やり直しはできるし、クレイ・スチームもいる」
そう言って気絶しているクレイ・スチームを見下ろしていた。
村正が暴走した時、後ろからクレイ・スチームを殴って気絶させたのだ。
「あの暴走男の水芸には驚いたが、大したことはなかったし、体制を立て直したら、お礼参りといこうじゃないか!」
列車に乗っている者たちは誰一人気づく者はいなかった。
自分たちが乗った列車が、地獄行きであることを。
「うむ、困ったことになったな!」
「まさか軍曹の言ったことが本当になるとは!」
「ここまで予想通りだと逆に恐ろしいであります」
「どうするんでござるか?この状況」
親父たちの目の前では汽車に乗り込もうとする捕らわれていた列車関係者とそれを阻止しようとしているホムンクルスによる乱戦になっていた。
「あの汽車にクレイ・スチーム一味がいるのは明白であります」
「うむ、だが、この乱戦をくぐり抜けて、汽車に辿り着くのは至難の業だよ」
「でも、ここで踏みとどまっていたら、クレイ・スチームの一味が汽車で逃げるし、怒り狂った村正に斬られることは確実だ」
「さっきから叫び声が聞こえてこないのが逆に不気味でござる」
怒りが治まって、冷静になってのか?それとも別の理由で静かなのか?
確かめる勇気は親父たちになかった。
「うむ、とにかく戻る道がないのなら進むしかない。さいわい汽車はまだ準備ができていないのか、静かだ時間はある」
「教授。それ本当か?」
「本当だともブドウ。我々の世界にあった機関車の常識と照らし合わせればの話だが」
「どちらにしろ進むしかないでござる」
「影。斥候はまかせたであります」
「了解でござる」
そうして親父たちは乱戦という名の海を泳ぎ始めた。
向かってくる者はホムンクルス、列車関係者だろうと関係なくは四人で袋叩きにして、進んでいった。
一時間後。
「うむ、思ったよりも時間がかかったが何とか列車に着いた」
「他に列車に着いた人はいないようであります」
「そんなことより機関車に行ってクレイ・スチーム一味がいないか?調べるでござる」
「肯定であります」
しかし不運が親父たちを襲った。
狂戦士と化した村正がやって来たのだった。
手にはさっきまで持っていなかった剣を持ち、どこから調達したのかサングラスをしている。
「うむ、まずいことになったな!」
「さっきに比べて、怒りのオーラは見えないが、危険なのは本能的に感じる」
「急いで、機関車に向かうでござる。クレイ・スチームがいたら簀巻きにして村正にやらないとこっちが細切れになるのは確実でござる」
「そのとおりであります」
しかし、親父たちが機関車に向かうよりも速く、列車は動き始めた。
「どうなっているんだ?煙も音も出ていないのに動くなんて、おかしい」
「うむ、ブドウ、これはゴーレム列車だ。今までみたこのの世界の列車が我々の世界にあった列車の常識にあまりにも当てはまりすぎて、それが常識だと思ってしまっていたんだ」
「そんな常識よりも列車に飛び乗るでござる!」
「肯定であります」
そう言って親父たちはなんとか、最後尾の列車に飛び乗ることに成功した。
「うむ、結局村正を置いていく形になってしまったが、後の事が心配だ!」
「教授どの。大丈夫でござるクレイ・スチーム持って帰れば、村正どのの怒りも治まるでござる」
「肯定であります」
「そう考えるのは早計みたいだぞ」
「うむ、どうしたのかね?ブドウ」
「村正を見ればわかる」
親父たちが見た村正は居合切りの構えをしていた。
「どう見てもこれから必殺技を放ちますと、言っているようなポーズだ」
「まさかあの距離から列車を斬るつもりなのか?」
「うむ、物理的に言って不可能だ。そんなこと」
「でも、さっきから常識的に考えられないことを村正どのはやっているでござる」
「「「た、確かに!」」」
そんな親父たちの会話をしている間に村正は居合を放った。
「うむ、やはり届くわけがない」
「いや、届く」
「あれを見るでござる」
「水の刃が機関車めがけて飛んでいるであります」
水の刃は機関車に当たったが、何事もなく走るのだった。
「うむ、おそらくだが、あれは村雨斬りの応用だろう」
「水のカマイタチであります」
「威力は弱いとは言え遠距離攻撃もできるとは!」
「村正どのは一体何に向かえって進んでいるのでござるか?」
こうして親父たちを乗せた列車はトンネルを抜けて荒野を進むのだった。
一方、その頃のクレイ・スチーム一味。
列車が動いたのかクレイ・スチームの協力者ボーガン・アースロールは一安心していた。
「あのバカ息子ども。やっと列車を動かしたか!秘密基地はなくなったが、まあいい。こんなこともあろうかと、この列車には金や物資を満載にしていたから、やり直しはできるし、クレイ・スチームもいる」
そう言って気絶しているクレイ・スチームを見下ろしていた。
村正が暴走した時、後ろからクレイ・スチームを殴って気絶させたのだ。
「あの暴走男の水芸には驚いたが、大したことはなかったし、体制を立て直したら、お礼参りといこうじゃないか!」
列車に乗っている者たちは誰一人気づく者はいなかった。
自分たちが乗った列車が、地獄行きであることを。
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