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やっと手に入れた~アレクSide

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 どれくらい眠っていたのだろう。目が覚めたらベッドの上にいて、エリーがベッドにもたれるようにして眠っていた。目覚めたばかりのせいか頭がぼーっとするし、ふわふわして実感が湧かない。

(これは…夢、か?)

 エリーがここにいる筈がないし、きっと都合のいい夢を見ているのだろう。だったら遠慮は要らない。そっとベッドの上に寝かせて、大事に包み込むように抱きしめた。夢の中だ、これくらいは許されるだろう……



 次に目が覚めた時、外は既に夕闇に包まれていた。騎士団の俺の執務室の奥にある仮眠室は、最近では使うことがなかった場所で、執務室に出るとそこにはエリーとジェラールがいた。どうしてこの二人が…いや、その前にどうしてここにいるのだとの俺の疑問は、ジェラールの説明で腑に落ちたが……

「すまない!」

 話を聞き終えた俺は、エリーに深々と頭を下げた。もしジェラールがいなかったら土下座していたかもしれない。それくらい俺は色々とやらかしていた。特にエリーに関する事で。
 護身用に渡してあったペンダントをそのままにしていたのは、わざとだ。彼女の身の安全が心配だったのもあるが……彼女が返すと言わなかったのを幸いに、俺も返せと言わなかった。あれがあればエリーを守れると言うのは大義名分で、本当は僅かでも繋がりを残しておきたかったのだ。ジェラールやサラには散々ヘタレだと言われたが、全くその通りだから反論もしなかった。

 だが、これをきっかけに俺とエリーの関係は一気に進んだ。俺の言い方が悪くて泣かせてしまったけれど、何とか言えずにいた言葉を言うことが出来た。スマートに彼女が喜ぶような求婚をと思っていたが、エリーを目の前にしたらそんなことは軽く吹っ飛んでいて、情けないくらいに言葉も足りなければ配慮も出来なかった。それでも…

「好きだというなら、他の人の手を取らないで!」

 エリーからの真っすぐな言葉に、俺の理性は焼き切れた。それでなくても目の前のエリーは眼鏡をしていなくて、可愛い素顔が晒されているのだ。ああ、明日にでも新しい眼鏡を用意しなければ…エリーの可愛い素顔を他の男に晒すなんて許し難い。そんな事を思いながらそのさくらんぼのような赤い唇を堪能していたら……

「…こ、んの、このケダモノっ!」

 いきなりグーで殴られた。それ思いっきりだ。容赦がないところもエリーらしい。聞けば昨夜はここに泊ったため、着替えなどもしていないと言う、そんな状態でことに及ぶなんて断じて断る、というのが彼女の主張だった。別に一晩くらい…と思うし、エリーは相変わらずいい匂いがしているのだから問題ないと思うが、ここで機嫌を損ねてはいけない事くらいは、俺でもわかる。直ぐに馬車を用意させて屋敷に連れて帰った。ここまで来て逃げられては沽券に関わるというものだ。やっと気持ちが通い合ったのだから、彼女がまた理由を付けてうだうだ言い出す前に既成事実を作ってしまうのが先だろう。既に身体を合わせているとはいえ、このタイミングという点が重要なのだ。

「エリー、愛しているんだ。俺に…お前を守らせてくれ」
「そ、そんなの、反則、だわ……」

 耳まで真っ赤にして顔を見られないように俺の胸に頭を寄せているが、それがどれほど俺を煽っているのか、わかっているのだろうか……それでなくても今のエリーは夜着姿で、その艶めかしい身体の線が服の上からでも伝わってくるというのに。

「エリー」

 そっと耳元で囁けば、ぴくっと身体が跳ねた。ああ、なんて可愛くて、小悪魔なんだ。無自覚なところも、普段とのギャップも、俺を煽るためのスパイスでしかなかった。

「愛したい」
「っ!」

 さらにそう囁けば、きゅっと俺のガウンを掴んだのがわかった。しっかりしているし、仕事では鬼と言われるほどに出来るくせに、色恋沙汰には滅法弱くて慣れていないのが一層情欲をかき立てた。前に抱いた時の痴態が思い出されて、これ以上耐えるのは不可能だった。抵抗がないのをいいことに俺は、心のままにエリーを貪って……

「こんのケダモノっ!信じられないっ!」

 翌日、立てなくなったエリーに散々罵倒され、それから三日間、口をきいて貰えなかったが……エリーが可愛すぎるのがわるい。俺は、そこまで悪くなかった……と思う。



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