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震える手
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王妃とカミラが貴族牢に向かう姿を見送った後、その場にはホッと息を吐く雰囲気が流れました。あの二人のせいで皆が疲れを感じたのは間違いありません。
「皆の者、すまなかった」
そう言って再び謝罪したのは父王でした。こんなに何度も頭を下げるなんて…母国にいた時にはこんな姿は想像もつきませんでした。
でも…母国の国力を思えば、ここで意地を張っても何一つ得られないのでしょう。国力低下もそうですが、獣人への差別などのせいもあって最近のマルダーンの評価はかなり低くなっています。そしてラルセンは獣人国で最近力を付けてきている国ですし、セーデンも獣人の国で、独自の技術で国力も統治も安定しています。マルダーンが喧嘩を売っていい相手ではありませんし、双方と戦争になれば…とても勝ち目ないでしょう。
「顔を上げられよ、マルダーン王よ。不届き者には罰を与えた。これ以上の謝罪は不要だ」
「そうだな」
父王に声をかけたのはジーク様で、それにエーギル様が賛同しました。ここで父王を責める事も可能ですが…そうしないのは私の母国で父親である事と、今日は両国の結婚式だからでしょう。エーギル様も招待国の王がそう言ってた以上、責を問うつもりはないようです。それに今はまだ、ラルセンとマルダーンの同盟のためのパーティーの最中なのです。ここでこの騒動が明るみに出れば、恥をかくのはラルセンも同様です。
「さぁ、我々は一旦戻ろう」
「うむ」
エーギル様がそう促すと、父王がそれに続きましたが…ジーク様は直ぐには応えませんでした。どうした事かと見上げると、ジーク様は不安そうに瞳を揺らして私を見ています。どうやらご心配をおかけしてしまったようです。
「あの…だ…」
「陛下、まさかこのままエリサ様を置いて会場にお戻りになりますの?」
私が大丈夫だと告げようとした声を遮ったのはマリーア様でした。扇で口元を隠し、チラと横目でジーク様に視線を向けています。
「エリサ様は突然の事に驚かれていらっしゃいますわ。不安に感じている新妻を放置されるのは如何かと思いますが。僅かな時間でもお側に寄り添ってもよろしいのではありません事?」
またしてもやれやれと言わんばかりのマリーア様でしたが、今は大事なパーティーの最中です。騒ぎを起こしたのは義理とは言え母と姉ですから、ここで私を優先するのは招待した皆様に申し訳ないのですが…
「それもそうだな」
「ジークヴァルト陛下、娘を…頼む」
そう言うとエーギル様と父王は連れ立って部屋を出て行ってしまいました。後に残された私は、何と言いますか…父にまで気を遣われてしまい複雑な気分です。
「さ、私達はあちらでお茶でも頂きましょう」
しかもこのタイミングで、マリーア様がベルタさん達に声をかけると、皆さん心得たと言わんばかりに部屋の反対側にあるもう一つのソファセットに腰を下してしまいました。間に衝立があるので見えませんが…この状況は逆に恥ずかしいです。でも…
「エリサ、大丈夫か?」
ジーク様が私の手を取ったままソファに座らされましたが、そこで私は自分の足が震えていた事に気が付きました。思った以上に王妃とカミラの存在への恐れが強かったようです。そしてその事に気が付くと、一層震えが強くなったのを感じてしまいました。
「あ、あの…」
「…もう大丈夫だ。その…落ち着くまで側に居てもいいだろうか…それとも、ラウラ達を呼んだほうが…」
「え?あ…」
遠慮がちにそう言われましたが…陛下が私を気遣って下さっているのが伝わってきました。まだ十分な信頼関係がない中では、陛下はご自身が私を慰めるのは難しいのではとお感じなのでしょうか。
でも、嫌なわけではありません。ただちょっと恥ずかしいと言いますか…すぐ側に皆さんがいるので、そちらも気になるのです…
「だ、大丈夫です」
そう答えてから私は、今の言葉がイエスともノートも取れる事に気付き慌てましたが、幸いにもその手が離れる事はなく、その事にほっとしている自分がいました。こうして気遣って頂けるのを嬉しく感じる自分がいたからです。先ほど陛下のお姿を目にした時の安堵感は疑いようもなく、今だって温かく大きな手から伝わる体温が、じんわりと冷えた心を温めてくれるような気がします。
「…マリーア様に、お願いされたと伺いましたが…」
さすがに無言でいるのも耐えられず、私は先ほど疑問に感じた事を口にしました。先ほどマリーア様はジーク様の依頼で私の元に来てくださったと言っていましたから。
「ああ、マルダーンの王妃と王女の事だから何かやりかねんと思って。我が国の騎士も、他国の王族の動きが怪しいと思っても、そう簡単に捕縛する事も出来ぬ。他国の王女が側に居れば、そう無体な事も出来ぬだろうと思ったのだ」
「…も、申しわけございません…」
そう想定されていた事も恥ずかしいですが、予想を裏切らずに事を起こした王妃とカミラには言葉もありません。今回巻き込まれたのはセーデンだけで、そのセーデンはマルダーンと直接国交はなく、エーギル様やマリーア様が周りに吹聴するような方ではないのが幸いですが…協力して下さったマリーア様には感謝しかありません。
「エリサのせいではない。それに、マルダーンだけが問題なわけではないのだ。この同盟を良しと思わない国はあるし、私自身を良しとしない者もいる。だが、我が国最大の友好国のセーデンを巻き込んで事を成そうとする者もそういない。だから彼女に頼んだのだ。まぁ、他国の王女でこの様な事を頼める者がいなかったのもあるが…」
なるほど、やはり色んな事情がおありになるのですね。そしてジーク様にとってマリーア様は信頼に足る人物なのでしょう。まぁ、アンジェリカ王女みたいな方が何人もいらっしゃったと聞いているので、人選が難しいとは思いますが…
マリーア様の初恋がジーク様だと聞いていたので、もしかしたら私に反感をお持ちかと思っていましたが…そうでもないのですね。そう言えば、マリーア様に求婚したという虎人の方はどうなったのでしょうか…今のマリーア様の婚約者はルーズベールの王子だったと聞いていますが…
「マルダーンの事も、今は時間がないから詳しく話せぬが…」
「いえ、それは仕方ありませんわ。急にやってきたと聞きますし…」
「明日以降に父君を交えて話をする予定だ」
「父と、ですか?」
「ああ、父君にもいろんな事情がおありらしい」
「そうですか…」
そう言えば私は、父の事はあまりよく知りません。いえ、それをいえば王妃やカミラ達も同じで、彼らの事を知る機会もありませんでした。
私が知っているのは、父王は本来は王位を継ぐ立場にはなかった事、父王と王妃は政略結婚で、王妃側が乗り気だった事、王妃の実家の力で父王が王位に就いた事、くらいでしょうか。父王が王位に興味がなく、無気力な王と裏では嘲笑されているのを聞いた事がありますが…父王にも何か思うところがあったのでしょうか…王太子がここにいるのに、どうして国を空けて駆けつけたのかも気になります。通常、王か王太子のどちらかは必ず国に留まるものですから…
もしかしたら明日は、その事も含めてわかるのでしょうか…多分、この機会を逃せば私が父王と話をする機会はないような気がします。出来れば…母の事も聞いてみたいですわね。
「…私も慣例通り、パーティーは途中で退席する。それまではここで待っていて欲しい。その後共に自室に戻ろう。もしエリサが望むなら、その後で説明しよう」
「わかりました。後でお願いします」
「疲れているなら無理はしないで欲しいが…今はここで休んでいてくれ。でも、まだ脅威が去ったわけではないから気を付けて欲しい」
「はい」
そう言うとジーク様は私の手の甲に軽く唇を落とされました。私は直ぐには何が起きたのかわからず見ているしか出来ませんでしたが…そうしている間にジーク様はマリーア様達に声をかけると、部屋から出ていかれました。
い、今のは一体何だったのでしょうか…初めての事に私の心臓がバクバク騒ぐのを止める事が出来ませんでした。も、もしかして…キス…されたのでしょうか…
「エリサ様?顔が赤いですけど…どうされましたの?」
「え?そ、そう、かしら?」
ジーク様が去った後、こちらに戻ってきたラウラにそう聞かれましたが…私は何と答えていいのかもわからず、適当に誤魔化すしか出来ませんでした。何があったかなんて…恥ずかしくて言えそうもありません。
「さ、お茶を淹れ直しましょうね」
そう言ってラウラが新しくお茶を淹れ直してくれましたが…私はジーク様が触れた手の甲が熱を持っているような気がして、その後も意識せずにはいられませんでした。
「皆の者、すまなかった」
そう言って再び謝罪したのは父王でした。こんなに何度も頭を下げるなんて…母国にいた時にはこんな姿は想像もつきませんでした。
でも…母国の国力を思えば、ここで意地を張っても何一つ得られないのでしょう。国力低下もそうですが、獣人への差別などのせいもあって最近のマルダーンの評価はかなり低くなっています。そしてラルセンは獣人国で最近力を付けてきている国ですし、セーデンも獣人の国で、独自の技術で国力も統治も安定しています。マルダーンが喧嘩を売っていい相手ではありませんし、双方と戦争になれば…とても勝ち目ないでしょう。
「顔を上げられよ、マルダーン王よ。不届き者には罰を与えた。これ以上の謝罪は不要だ」
「そうだな」
父王に声をかけたのはジーク様で、それにエーギル様が賛同しました。ここで父王を責める事も可能ですが…そうしないのは私の母国で父親である事と、今日は両国の結婚式だからでしょう。エーギル様も招待国の王がそう言ってた以上、責を問うつもりはないようです。それに今はまだ、ラルセンとマルダーンの同盟のためのパーティーの最中なのです。ここでこの騒動が明るみに出れば、恥をかくのはラルセンも同様です。
「さぁ、我々は一旦戻ろう」
「うむ」
エーギル様がそう促すと、父王がそれに続きましたが…ジーク様は直ぐには応えませんでした。どうした事かと見上げると、ジーク様は不安そうに瞳を揺らして私を見ています。どうやらご心配をおかけしてしまったようです。
「あの…だ…」
「陛下、まさかこのままエリサ様を置いて会場にお戻りになりますの?」
私が大丈夫だと告げようとした声を遮ったのはマリーア様でした。扇で口元を隠し、チラと横目でジーク様に視線を向けています。
「エリサ様は突然の事に驚かれていらっしゃいますわ。不安に感じている新妻を放置されるのは如何かと思いますが。僅かな時間でもお側に寄り添ってもよろしいのではありません事?」
またしてもやれやれと言わんばかりのマリーア様でしたが、今は大事なパーティーの最中です。騒ぎを起こしたのは義理とは言え母と姉ですから、ここで私を優先するのは招待した皆様に申し訳ないのですが…
「それもそうだな」
「ジークヴァルト陛下、娘を…頼む」
そう言うとエーギル様と父王は連れ立って部屋を出て行ってしまいました。後に残された私は、何と言いますか…父にまで気を遣われてしまい複雑な気分です。
「さ、私達はあちらでお茶でも頂きましょう」
しかもこのタイミングで、マリーア様がベルタさん達に声をかけると、皆さん心得たと言わんばかりに部屋の反対側にあるもう一つのソファセットに腰を下してしまいました。間に衝立があるので見えませんが…この状況は逆に恥ずかしいです。でも…
「エリサ、大丈夫か?」
ジーク様が私の手を取ったままソファに座らされましたが、そこで私は自分の足が震えていた事に気が付きました。思った以上に王妃とカミラの存在への恐れが強かったようです。そしてその事に気が付くと、一層震えが強くなったのを感じてしまいました。
「あ、あの…」
「…もう大丈夫だ。その…落ち着くまで側に居てもいいだろうか…それとも、ラウラ達を呼んだほうが…」
「え?あ…」
遠慮がちにそう言われましたが…陛下が私を気遣って下さっているのが伝わってきました。まだ十分な信頼関係がない中では、陛下はご自身が私を慰めるのは難しいのではとお感じなのでしょうか。
でも、嫌なわけではありません。ただちょっと恥ずかしいと言いますか…すぐ側に皆さんがいるので、そちらも気になるのです…
「だ、大丈夫です」
そう答えてから私は、今の言葉がイエスともノートも取れる事に気付き慌てましたが、幸いにもその手が離れる事はなく、その事にほっとしている自分がいました。こうして気遣って頂けるのを嬉しく感じる自分がいたからです。先ほど陛下のお姿を目にした時の安堵感は疑いようもなく、今だって温かく大きな手から伝わる体温が、じんわりと冷えた心を温めてくれるような気がします。
「…マリーア様に、お願いされたと伺いましたが…」
さすがに無言でいるのも耐えられず、私は先ほど疑問に感じた事を口にしました。先ほどマリーア様はジーク様の依頼で私の元に来てくださったと言っていましたから。
「ああ、マルダーンの王妃と王女の事だから何かやりかねんと思って。我が国の騎士も、他国の王族の動きが怪しいと思っても、そう簡単に捕縛する事も出来ぬ。他国の王女が側に居れば、そう無体な事も出来ぬだろうと思ったのだ」
「…も、申しわけございません…」
そう想定されていた事も恥ずかしいですが、予想を裏切らずに事を起こした王妃とカミラには言葉もありません。今回巻き込まれたのはセーデンだけで、そのセーデンはマルダーンと直接国交はなく、エーギル様やマリーア様が周りに吹聴するような方ではないのが幸いですが…協力して下さったマリーア様には感謝しかありません。
「エリサのせいではない。それに、マルダーンだけが問題なわけではないのだ。この同盟を良しと思わない国はあるし、私自身を良しとしない者もいる。だが、我が国最大の友好国のセーデンを巻き込んで事を成そうとする者もそういない。だから彼女に頼んだのだ。まぁ、他国の王女でこの様な事を頼める者がいなかったのもあるが…」
なるほど、やはり色んな事情がおありになるのですね。そしてジーク様にとってマリーア様は信頼に足る人物なのでしょう。まぁ、アンジェリカ王女みたいな方が何人もいらっしゃったと聞いているので、人選が難しいとは思いますが…
マリーア様の初恋がジーク様だと聞いていたので、もしかしたら私に反感をお持ちかと思っていましたが…そうでもないのですね。そう言えば、マリーア様に求婚したという虎人の方はどうなったのでしょうか…今のマリーア様の婚約者はルーズベールの王子だったと聞いていますが…
「マルダーンの事も、今は時間がないから詳しく話せぬが…」
「いえ、それは仕方ありませんわ。急にやってきたと聞きますし…」
「明日以降に父君を交えて話をする予定だ」
「父と、ですか?」
「ああ、父君にもいろんな事情がおありらしい」
「そうですか…」
そう言えば私は、父の事はあまりよく知りません。いえ、それをいえば王妃やカミラ達も同じで、彼らの事を知る機会もありませんでした。
私が知っているのは、父王は本来は王位を継ぐ立場にはなかった事、父王と王妃は政略結婚で、王妃側が乗り気だった事、王妃の実家の力で父王が王位に就いた事、くらいでしょうか。父王が王位に興味がなく、無気力な王と裏では嘲笑されているのを聞いた事がありますが…父王にも何か思うところがあったのでしょうか…王太子がここにいるのに、どうして国を空けて駆けつけたのかも気になります。通常、王か王太子のどちらかは必ず国に留まるものですから…
もしかしたら明日は、その事も含めてわかるのでしょうか…多分、この機会を逃せば私が父王と話をする機会はないような気がします。出来れば…母の事も聞いてみたいですわね。
「…私も慣例通り、パーティーは途中で退席する。それまではここで待っていて欲しい。その後共に自室に戻ろう。もしエリサが望むなら、その後で説明しよう」
「わかりました。後でお願いします」
「疲れているなら無理はしないで欲しいが…今はここで休んでいてくれ。でも、まだ脅威が去ったわけではないから気を付けて欲しい」
「はい」
そう言うとジーク様は私の手の甲に軽く唇を落とされました。私は直ぐには何が起きたのかわからず見ているしか出来ませんでしたが…そうしている間にジーク様はマリーア様達に声をかけると、部屋から出ていかれました。
い、今のは一体何だったのでしょうか…初めての事に私の心臓がバクバク騒ぐのを止める事が出来ませんでした。も、もしかして…キス…されたのでしょうか…
「エリサ様?顔が赤いですけど…どうされましたの?」
「え?そ、そう、かしら?」
ジーク様が去った後、こちらに戻ってきたラウラにそう聞かれましたが…私は何と答えていいのかもわからず、適当に誤魔化すしか出来ませんでした。何があったかなんて…恥ずかしくて言えそうもありません。
「さ、お茶を淹れ直しましょうね」
そう言ってラウラが新しくお茶を淹れ直してくれましたが…私はジーク様が触れた手の甲が熱を持っているような気がして、その後も意識せずにはいられませんでした。
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