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奇天烈姫の行方
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アドリエンヌ様が見つかったとの報告を受けて、私達はまたセレスティーヌ様が滞在する棟のサロンに集まりました。王城から動けないお父様に代わってこの報をもたらしたのはリシャール様でした。
こんな状況だというのに、僅かでもお会い出来てこんなにも嬉しく思ってしまうなんて…これって完全にリシャール様中毒で、無自覚に禁断症状が出ていたみたいです…
でも、ずっとリシャール様はお父様と王城にお泊りだったのです。新年は一緒に…と期待していただけに、仕方ないじゃないですか…
今日はセレスティーヌ様にお兄様、テオドール様、セレスティーヌ様の恋人のリオネル様に側近で親友のディアーヌ様、そして私とリシャール様、お母様がサロンに集いました。お父様はまだ王城から帰れません。王宮はアドリエンヌ様の件で大騒ぎだそうですが、一体何が起きているのでしょうか…
「アドリエンヌ様が見つかったそうですわね?」
話を切り出したのは、この場では最上位にあるセレスティーヌ様でした。
「見つかったと言いますか、最初から閣下の影が付いておりました。ただ、どこに落ち着くのかがはっきりしなかったため、ずっと様子を見ていたのです」
リシャール様、お父様の事を閣下と呼ぶ事にしましたのね。まぁ、侯爵と呼ぶのはちょっと他人行儀ですものね。でもお義父様と呼ぶにはまだ早いですし。そしてなるほど、やはりお父様の影が付いていたのですね。まぁ、お兄様の事があるのでそうだとは思っていましたが。
「そうですか。それでアドリエンヌ様は今どちらに?」
「王女殿下はエストレ国に向かう街道沿いで、一昨日保護されました」
「保護?」
「はい。エストレ国からの使者が、国に向かっていた王女殿下を 発見して、保護したそうです」
「そうでしたか。ではご無事で?」
「はい」
セレスティーヌ様とリシャール様の会話から、とりあえず無事らしい事がわかり、その場にいた空気が緩んだ気がしました。さすがに我が国内で怪我でもされては後で面倒ですからね。ここは無事を喜んでいいのでしょう。
「でも、エストレ国の使者と合流されたのは厄介ではありませんか?」
お兄様が少し考えてからそう言いました。そう言えば、あの国の使者はどなたなのでしょうか。それによって我が国の対応も変わってきますわね。
「それが、どうやら使者と言いますが…どうやらあちらの王太子殿下のようです」
「王太子殿下、ですか…」
セレスティーヌ様が表情を曇らせました。どうしたというのでしょうか。
「エストレ国の王太子殿下はアドリエンヌ様を溺愛していると聞きましたわ」
「まぁ…」
「確かにそう聞いていますね。私も留学中、何度か王太子殿下に妹に近づくなと警告されましたから。あれは何と言いますか…やり過ぎな感じでしたね」
それは何と言いますか…厄介ですわね。シスコン確定ですか。そんな方がついてきたら益々増長しそうな気がします。
「それも厄介だけど…」
どうしたのでしょうか。お母様がそう言うと口を噤んでしまいました。何かあったのでしょうか…
「お母様、エストレの王太子殿下が何か?」
「それが…」
そう言いかけてお母様は、私とリシャール様に視線を向けました。何だか…嫌な予感が…この先を聞かない方がいいような気がしますわ…
「エストレの王太子殿下は…以前、レティを王太子妃にと言って来た事があるのよ」
「…はぁ?」
お、思わず変な声が出たのは許して欲しいですわ。だってそんなの初耳ですし、今までちらっともその可能性を耳にした事もなかったのですから。
こんな状況だというのに、僅かでもお会い出来てこんなにも嬉しく思ってしまうなんて…これって完全にリシャール様中毒で、無自覚に禁断症状が出ていたみたいです…
でも、ずっとリシャール様はお父様と王城にお泊りだったのです。新年は一緒に…と期待していただけに、仕方ないじゃないですか…
今日はセレスティーヌ様にお兄様、テオドール様、セレスティーヌ様の恋人のリオネル様に側近で親友のディアーヌ様、そして私とリシャール様、お母様がサロンに集いました。お父様はまだ王城から帰れません。王宮はアドリエンヌ様の件で大騒ぎだそうですが、一体何が起きているのでしょうか…
「アドリエンヌ様が見つかったそうですわね?」
話を切り出したのは、この場では最上位にあるセレスティーヌ様でした。
「見つかったと言いますか、最初から閣下の影が付いておりました。ただ、どこに落ち着くのかがはっきりしなかったため、ずっと様子を見ていたのです」
リシャール様、お父様の事を閣下と呼ぶ事にしましたのね。まぁ、侯爵と呼ぶのはちょっと他人行儀ですものね。でもお義父様と呼ぶにはまだ早いですし。そしてなるほど、やはりお父様の影が付いていたのですね。まぁ、お兄様の事があるのでそうだとは思っていましたが。
「そうですか。それでアドリエンヌ様は今どちらに?」
「王女殿下はエストレ国に向かう街道沿いで、一昨日保護されました」
「保護?」
「はい。エストレ国からの使者が、国に向かっていた王女殿下を 発見して、保護したそうです」
「そうでしたか。ではご無事で?」
「はい」
セレスティーヌ様とリシャール様の会話から、とりあえず無事らしい事がわかり、その場にいた空気が緩んだ気がしました。さすがに我が国内で怪我でもされては後で面倒ですからね。ここは無事を喜んでいいのでしょう。
「でも、エストレ国の使者と合流されたのは厄介ではありませんか?」
お兄様が少し考えてからそう言いました。そう言えば、あの国の使者はどなたなのでしょうか。それによって我が国の対応も変わってきますわね。
「それが、どうやら使者と言いますが…どうやらあちらの王太子殿下のようです」
「王太子殿下、ですか…」
セレスティーヌ様が表情を曇らせました。どうしたというのでしょうか。
「エストレ国の王太子殿下はアドリエンヌ様を溺愛していると聞きましたわ」
「まぁ…」
「確かにそう聞いていますね。私も留学中、何度か王太子殿下に妹に近づくなと警告されましたから。あれは何と言いますか…やり過ぎな感じでしたね」
それは何と言いますか…厄介ですわね。シスコン確定ですか。そんな方がついてきたら益々増長しそうな気がします。
「それも厄介だけど…」
どうしたのでしょうか。お母様がそう言うと口を噤んでしまいました。何かあったのでしょうか…
「お母様、エストレの王太子殿下が何か?」
「それが…」
そう言いかけてお母様は、私とリシャール様に視線を向けました。何だか…嫌な予感が…この先を聞かない方がいいような気がしますわ…
「エストレの王太子殿下は…以前、レティを王太子妃にと言って来た事があるのよ」
「…はぁ?」
お、思わず変な声が出たのは許して欲しいですわ。だってそんなの初耳ですし、今までちらっともその可能性を耳にした事もなかったのですから。
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