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一夜明けまして…
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「レティ、あの二人がやらかしたぞ」
翌朝、朝食を頂いてみんなでのんびりとお茶を頂いていた時、お父様が嬉しそうにそう仰いました。私がお膳立てした通り、エルネスト様とアドリエンヌ様は一夜を共にしたそうです。目が覚めた二人はそこで一緒に寝ていた相手に驚いて大きな声を上げ、その声を聞いて駆けつけた侍女と近衛騎士達がベッドで言い合いをしていた二人を目撃して…と、あっという間に衆目に晒されてしまったのです。こうなってはいくら陛下がかん口令を敷きたくても、どうにもならないでしょう。
「それでは…」
「ああ、あれを隠し通すのは無理だ。目撃者が多すぎる」
思った通りに事が進み、私はようやくほっと身体の緊張が抜けた気がしました。お兄様は一緒にいたので心配はなかったのですが、セレスティーヌ様の事が気がかりだったのですよね。なんせ王妃様が絡んでいるのです、よく知らない他国の王城で用意周到に押し入られては、セレスティーヌ様も逃げ場がありません。どんな手を使ってくるか予想がつかなかっただけに不安でしたが、思った通りに事が運び、最悪の事態を回避出来た事にホッとしました。
「それで…今あのお二人は?」
「ああ、見つかった直後は二人とも騒いで大変だったらしいが、今はそれぞれの部屋に籠っている。エルネスト殿下は陛下が謹慎を命じて取り調べ中だ」
「アドリエンヌ様はどうなりますの?」
「あの王女が自らあの部屋に入る姿を多数の者が見ている。しかも先にエルネスト殿下が部屋に入っていたのは、リスナール国の方々も見ていた。状況からエルネスト殿下に襲われたと言うには無理があるだろう」
お兄様はリスナール国の皆様と一緒に、酔いつぶれたエルネスト様をあの部屋に運んだそうです。そしてアドリエンヌ様は既成事実を大々的に知らしめるため、あえて人目に付くように部屋に入ったのだとか。どうやら事は思った以上にうまく進んだようです。
「それでは」
「そうは言っても、他国の王女が我が国で純潔を失った事実は重い。多少は揉めるだろうな」
「そう、ですか…」
あれが最善の手とは言い難いのは承知の上ですが…やはりまだ詰めが甘かったですわね。リスナール国との戦争は避けられましたが…エストレ国とは揉めるのは確実でしょう。あの国の王はアドリエンヌ様を溺愛していますし…
「そうは言っても、公式な書簡一つなく我が国に押しかけてきたんだ。我が国は要請を受けていない以上、あの王女の安全について公には何の責任はない」
「でも…エルネスト様が…」
「あの王女は、我が国の第三王子に媚薬を盛って襲ったんだ」
「…あ!」
確かに、そう言われればそうとも言えます。この状況であれば我が国は、エルネスト様がアドリエンヌ様に一服盛られて襲われたと訴える事も可能ですわね。
「でも、あの媚薬を使うよう命じられたのは…」
そうです、媚薬を使うようにアネット様に命じたのは王妃様なので、彼らは共犯とも言えます。となれば、アドリエンヌ様だけを責めるのはフェアではないでしょう。
「そこも心配は無用だ」
お父様が仰るには、王妃様は絶対にその事を認めないし、自分とエルネスト様の立場を守るためにも認められない。一方でアドリエンヌ様も媚薬を使った事もセレスティーヌ様を襲おうとした事も知られれば身の破滅で、黙って事実を受け入れるしかないとの事でした。エルネスト様も王太子の地位にある女性を襲おうとしたなどと知れれば、こちらも破滅まっしぐらで、絶対に認められないでしょう。結局彼らは自身の保身と名誉のために事実を受け入れるしかなく、真相を口にするなど決して出来ないのです。
(そうは言っても、あの方々ですし…これで丸く収まるかしら…)
常識が通じない相手なだけに、まだ手放しで喜ぶのは早いような気がするのは、考えすぎでしょうか…
翌朝、朝食を頂いてみんなでのんびりとお茶を頂いていた時、お父様が嬉しそうにそう仰いました。私がお膳立てした通り、エルネスト様とアドリエンヌ様は一夜を共にしたそうです。目が覚めた二人はそこで一緒に寝ていた相手に驚いて大きな声を上げ、その声を聞いて駆けつけた侍女と近衛騎士達がベッドで言い合いをしていた二人を目撃して…と、あっという間に衆目に晒されてしまったのです。こうなってはいくら陛下がかん口令を敷きたくても、どうにもならないでしょう。
「それでは…」
「ああ、あれを隠し通すのは無理だ。目撃者が多すぎる」
思った通りに事が進み、私はようやくほっと身体の緊張が抜けた気がしました。お兄様は一緒にいたので心配はなかったのですが、セレスティーヌ様の事が気がかりだったのですよね。なんせ王妃様が絡んでいるのです、よく知らない他国の王城で用意周到に押し入られては、セレスティーヌ様も逃げ場がありません。どんな手を使ってくるか予想がつかなかっただけに不安でしたが、思った通りに事が運び、最悪の事態を回避出来た事にホッとしました。
「それで…今あのお二人は?」
「ああ、見つかった直後は二人とも騒いで大変だったらしいが、今はそれぞれの部屋に籠っている。エルネスト殿下は陛下が謹慎を命じて取り調べ中だ」
「アドリエンヌ様はどうなりますの?」
「あの王女が自らあの部屋に入る姿を多数の者が見ている。しかも先にエルネスト殿下が部屋に入っていたのは、リスナール国の方々も見ていた。状況からエルネスト殿下に襲われたと言うには無理があるだろう」
お兄様はリスナール国の皆様と一緒に、酔いつぶれたエルネスト様をあの部屋に運んだそうです。そしてアドリエンヌ様は既成事実を大々的に知らしめるため、あえて人目に付くように部屋に入ったのだとか。どうやら事は思った以上にうまく進んだようです。
「それでは」
「そうは言っても、他国の王女が我が国で純潔を失った事実は重い。多少は揉めるだろうな」
「そう、ですか…」
あれが最善の手とは言い難いのは承知の上ですが…やはりまだ詰めが甘かったですわね。リスナール国との戦争は避けられましたが…エストレ国とは揉めるのは確実でしょう。あの国の王はアドリエンヌ様を溺愛していますし…
「そうは言っても、公式な書簡一つなく我が国に押しかけてきたんだ。我が国は要請を受けていない以上、あの王女の安全について公には何の責任はない」
「でも…エルネスト様が…」
「あの王女は、我が国の第三王子に媚薬を盛って襲ったんだ」
「…あ!」
確かに、そう言われればそうとも言えます。この状況であれば我が国は、エルネスト様がアドリエンヌ様に一服盛られて襲われたと訴える事も可能ですわね。
「でも、あの媚薬を使うよう命じられたのは…」
そうです、媚薬を使うようにアネット様に命じたのは王妃様なので、彼らは共犯とも言えます。となれば、アドリエンヌ様だけを責めるのはフェアではないでしょう。
「そこも心配は無用だ」
お父様が仰るには、王妃様は絶対にその事を認めないし、自分とエルネスト様の立場を守るためにも認められない。一方でアドリエンヌ様も媚薬を使った事もセレスティーヌ様を襲おうとした事も知られれば身の破滅で、黙って事実を受け入れるしかないとの事でした。エルネスト様も王太子の地位にある女性を襲おうとしたなどと知れれば、こちらも破滅まっしぐらで、絶対に認められないでしょう。結局彼らは自身の保身と名誉のために事実を受け入れるしかなく、真相を口にするなど決して出来ないのです。
(そうは言っても、あの方々ですし…これで丸く収まるかしら…)
常識が通じない相手なだけに、まだ手放しで喜ぶのは早いような気がするのは、考えすぎでしょうか…
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