99 / 238
苦手を素敵に変える魔法?
しおりを挟む
「レティ、これを貴女に」
そう言ってリシャール様が取り出したのは、ネックレスとピアスでした。今日はコレット達に「アクセサリーは婚約者様から頂いて下さいね!」と言われていてので、また何か贈って下さるのだと思っていましたが…
「これは…!」
「ドレスに合わせて作らせたものです。初めて参加する舞踏会の記念に」
「…あ、ありがとうございます…」
こ、この感動をどう表現したらいいのでしょうか…!この前は婚約した記念にと素敵なネックレスを頂いたばかりですのに…!
「まぁ…何て素敵なお品!」
「大した物だな…」
お母様もお父様も感嘆の声を上げていらっしゃいますが…私も思わずため息が出てしまいました。今日のネックレスは金の地にエメラルドをあしらったネックレスです。エメラルドが繊細な花の形の金細工の中心に配置されて、可愛らしくもあります。ピアスも似たようなデザインで、蜂蜜色のドレスに凄く映えますわね。ただ、私の水色の髪や瞳に合うのか心配でしたが…
「思った以上に映えるな」
「ええ、レティにはその色は難しいと思っていましたわ…」
実際に身に付けてみると…確かに違和感がありません。私も両親も私に緑色は合わないと避けていましたが…とても意外ですわ。これはリシャール様のセンスがいいからでしょうか。普段はアクセサリーに興味を持たないお父様まで繁々と眺めていますわ。
「ああ、思った以上にお似合いですね。よかった」
「嘘みたいです。ずっとこの色は合わないと思っていましたから…」
「そうですか?大変お似合いで、まるで妖精のようです」
「…っ!う、嬉しいです…」
そう言ってリシャール様がホッとしたように笑みを浮かべ、私はその言葉と笑みにまた急所を撃ち抜かれた気がしました。
(恐るべき破壊力ですわ、リシャール様…)
リシャール様はドレスの色を聞いてそれなら…とエメラルドを思いつかれたそうですが、実際に身に付けるまでは心配だったそうです。私もずっと苦手に感じていた色だったのもあって、まるで魔法のように感じられます。さすがはリシャール様ですわ…
ふと視線を感じると、その先には両親が生暖かい笑みを浮かべて私達を見ています。そ、そう言えばお父様達もいらっしゃいましたわね…
「そ、そう言えばリシャール様!ア、アデライト様のご依頼はどうなりましたの?」
気恥ずかしくてこの空気を何とかしたくて話題を変えましたが…わざとらしかったでしょうか。でもアデライト様のご依頼も気になっていたのですよね。
「ああ、あちらは先週のうちにご依頼の品をお納めしました」
「せ、先週ですか?」
「ええ、直接ご連絡する伝がありませんでしたので、侯爵様にお願いしました」
「お父様が?」
「ああ、私が直接アデレイド様の元にお届けしたんだよ」
お父様がお届けしたなんて、意外ですわね。でも、リシャール様が届けに行った場合、門前払いにされたり、よく思わない者から横槍が入るかもしれないと、お父様がアデレイド様にお礼を申し上げるついでにお伺いしたそうです。
「お喜びであったから、問題ないだろう」
お父様の言葉に無事ご依頼が成功したと知って、一つ肩の荷が下りた気がしました。
そう言ってリシャール様が取り出したのは、ネックレスとピアスでした。今日はコレット達に「アクセサリーは婚約者様から頂いて下さいね!」と言われていてので、また何か贈って下さるのだと思っていましたが…
「これは…!」
「ドレスに合わせて作らせたものです。初めて参加する舞踏会の記念に」
「…あ、ありがとうございます…」
こ、この感動をどう表現したらいいのでしょうか…!この前は婚約した記念にと素敵なネックレスを頂いたばかりですのに…!
「まぁ…何て素敵なお品!」
「大した物だな…」
お母様もお父様も感嘆の声を上げていらっしゃいますが…私も思わずため息が出てしまいました。今日のネックレスは金の地にエメラルドをあしらったネックレスです。エメラルドが繊細な花の形の金細工の中心に配置されて、可愛らしくもあります。ピアスも似たようなデザインで、蜂蜜色のドレスに凄く映えますわね。ただ、私の水色の髪や瞳に合うのか心配でしたが…
「思った以上に映えるな」
「ええ、レティにはその色は難しいと思っていましたわ…」
実際に身に付けてみると…確かに違和感がありません。私も両親も私に緑色は合わないと避けていましたが…とても意外ですわ。これはリシャール様のセンスがいいからでしょうか。普段はアクセサリーに興味を持たないお父様まで繁々と眺めていますわ。
「ああ、思った以上にお似合いですね。よかった」
「嘘みたいです。ずっとこの色は合わないと思っていましたから…」
「そうですか?大変お似合いで、まるで妖精のようです」
「…っ!う、嬉しいです…」
そう言ってリシャール様がホッとしたように笑みを浮かべ、私はその言葉と笑みにまた急所を撃ち抜かれた気がしました。
(恐るべき破壊力ですわ、リシャール様…)
リシャール様はドレスの色を聞いてそれなら…とエメラルドを思いつかれたそうですが、実際に身に付けるまでは心配だったそうです。私もずっと苦手に感じていた色だったのもあって、まるで魔法のように感じられます。さすがはリシャール様ですわ…
ふと視線を感じると、その先には両親が生暖かい笑みを浮かべて私達を見ています。そ、そう言えばお父様達もいらっしゃいましたわね…
「そ、そう言えばリシャール様!ア、アデライト様のご依頼はどうなりましたの?」
気恥ずかしくてこの空気を何とかしたくて話題を変えましたが…わざとらしかったでしょうか。でもアデライト様のご依頼も気になっていたのですよね。
「ああ、あちらは先週のうちにご依頼の品をお納めしました」
「せ、先週ですか?」
「ええ、直接ご連絡する伝がありませんでしたので、侯爵様にお願いしました」
「お父様が?」
「ああ、私が直接アデレイド様の元にお届けしたんだよ」
お父様がお届けしたなんて、意外ですわね。でも、リシャール様が届けに行った場合、門前払いにされたり、よく思わない者から横槍が入るかもしれないと、お父様がアデレイド様にお礼を申し上げるついでにお伺いしたそうです。
「お喜びであったから、問題ないだろう」
お父様の言葉に無事ご依頼が成功したと知って、一つ肩の荷が下りた気がしました。
67
お気に入りに追加
3,530
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる