52 / 238
働き始めてから一月半です
しおりを挟む
リシャール様のお店で働き始めてから一月半が経ちました。平日の二階と休日の一日が出勤日ですが、平日は学園の用事で、休日はお茶会や夜会があると休みを貰っています。一応お店には卒業前の学生で、今は就職に向けて社会勉強に来ているという設定なので、学業や家の用事を優先する形になっているのです。
私としては学園の用事やお茶会よりもお店に行きたいのですが…正体を隠しているうえ、私がお茶会などを欠席すると余計な詮索をされるので、それを無下にも出来ないのですよね…全く、筆頭侯爵家の立場もいろいろと面倒ですわ。
それは置いておいて、今日は休日の出勤日です。朝起きるとまずは朝食をしっかり頂きます。掃除などの身体を使った仕事もあるので、食事は重要です。それが終わればレアとしての変装です。
「お嬢様も変装が上手くなりましたね」
「そう?
「ええ。髪もご自分でまとめられるようになって、お一人でも大丈夫ですわ」
そうです、最初はかつらを被るために髪をまとめるのに四苦八苦しましたが、今では自分でもパパっと出来るようになりました。仕事用のワンピースを着れば、レアの出来上がりです。
出勤は今でも借り上げの辻馬車ですが、それも通いのメイドを乗せてやってきた馬車に乗っていく念の入れようです。ああ、御者は今では我が家の影がやっています。お父様はあの後も自分が行くと言っていましたが…
「あなた、それじゃ悪目立ちして逆効果だわ。レティを危険な目に遭わせるのは止めて頂戴」
お母様に諭され、最初の一回だけでした。さすがに服との反発が酷過ぎてとんでもなく目立っていたので、止めて下さってよかったですわ。
お店に着いたらまずは事務所の簡単な掃除です。事務所の窓を開けて空気を入れ替え、簡単な掃除をしますが…どうもこの掃除が苦手なのですよね。
「レアちゃん、そこまでしなくていいわよ」
「え?そうなんですか?」
「うん、朝は時間がないから、軽く床を掃いて机を拭けば十分よ」
う~ん、掃除は難しいですわね。やり始めるとあちこちが気になってしまって、つい手が出てしまうのです。どこでやめるかの線引きが、何と言いますか今一つ呑み込めないのですよね。
掃除の後はお茶を淹れますが、これは今では私の担当です。お茶を頂きながら今日の予定をリシャールから聞いた後、お仕事開始です。
私が最初に手を付けるのは、書類整理です。お店やリシャール様宛に来た手紙への返信や、お店で大きな買い物をして下さった貴族へのお礼状、役所に出す書類の清書も今でも私の担当です。
それが終わる頃に午前の休憩時間になるので、また皆さんにお茶を出します。時々家で焼いたクッキーなどを出す事もありますし、リシャール様は甘い物はあまりお好きではない様で、お客様に頂いたお菓子が振舞われる事もあります。
お茶が終わる頃には、発注していた商品が届くので、開梱して中身のチェックです。私は開梱とその片付けで、商品のチェックはリシャール様とダニエルさんのお仕事です。
それが終わる頃にはお昼です。普段はシェフに庶民風のお弁当を作ってもらいます。この時間はマリアさんとお喋りタイムで、ここでリシャール様やお店の事が聞けるので私の楽しみの一つです。
食後はもう、がっつり帳簿とのにらみ合いです。この帳簿の相手をするのは半月前、ちょっとしたトラブルがあってからでした。
私としては学園の用事やお茶会よりもお店に行きたいのですが…正体を隠しているうえ、私がお茶会などを欠席すると余計な詮索をされるので、それを無下にも出来ないのですよね…全く、筆頭侯爵家の立場もいろいろと面倒ですわ。
それは置いておいて、今日は休日の出勤日です。朝起きるとまずは朝食をしっかり頂きます。掃除などの身体を使った仕事もあるので、食事は重要です。それが終わればレアとしての変装です。
「お嬢様も変装が上手くなりましたね」
「そう?
「ええ。髪もご自分でまとめられるようになって、お一人でも大丈夫ですわ」
そうです、最初はかつらを被るために髪をまとめるのに四苦八苦しましたが、今では自分でもパパっと出来るようになりました。仕事用のワンピースを着れば、レアの出来上がりです。
出勤は今でも借り上げの辻馬車ですが、それも通いのメイドを乗せてやってきた馬車に乗っていく念の入れようです。ああ、御者は今では我が家の影がやっています。お父様はあの後も自分が行くと言っていましたが…
「あなた、それじゃ悪目立ちして逆効果だわ。レティを危険な目に遭わせるのは止めて頂戴」
お母様に諭され、最初の一回だけでした。さすがに服との反発が酷過ぎてとんでもなく目立っていたので、止めて下さってよかったですわ。
お店に着いたらまずは事務所の簡単な掃除です。事務所の窓を開けて空気を入れ替え、簡単な掃除をしますが…どうもこの掃除が苦手なのですよね。
「レアちゃん、そこまでしなくていいわよ」
「え?そうなんですか?」
「うん、朝は時間がないから、軽く床を掃いて机を拭けば十分よ」
う~ん、掃除は難しいですわね。やり始めるとあちこちが気になってしまって、つい手が出てしまうのです。どこでやめるかの線引きが、何と言いますか今一つ呑み込めないのですよね。
掃除の後はお茶を淹れますが、これは今では私の担当です。お茶を頂きながら今日の予定をリシャールから聞いた後、お仕事開始です。
私が最初に手を付けるのは、書類整理です。お店やリシャール様宛に来た手紙への返信や、お店で大きな買い物をして下さった貴族へのお礼状、役所に出す書類の清書も今でも私の担当です。
それが終わる頃に午前の休憩時間になるので、また皆さんにお茶を出します。時々家で焼いたクッキーなどを出す事もありますし、リシャール様は甘い物はあまりお好きではない様で、お客様に頂いたお菓子が振舞われる事もあります。
お茶が終わる頃には、発注していた商品が届くので、開梱して中身のチェックです。私は開梱とその片付けで、商品のチェックはリシャール様とダニエルさんのお仕事です。
それが終わる頃にはお昼です。普段はシェフに庶民風のお弁当を作ってもらいます。この時間はマリアさんとお喋りタイムで、ここでリシャール様やお店の事が聞けるので私の楽しみの一つです。
食後はもう、がっつり帳簿とのにらみ合いです。この帳簿の相手をするのは半月前、ちょっとしたトラブルがあってからでした。
92
お気に入りに追加
3,534
あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり(苦手な方はご注意下さい)。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる