【完結】悪役令嬢だって真実の愛を手に入れたい~本来の私に戻って初恋の君を射止めます!

灰銀猫

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働き始めてから一月半です

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 リシャール様のお店で働き始めてから一月半が経ちました。平日の二階と休日の一日が出勤日ですが、平日は学園の用事で、休日はお茶会や夜会があると休みを貰っています。一応お店には卒業前の学生で、今は就職に向けて社会勉強に来ているという設定なので、学業や家の用事を優先する形になっているのです。
 私としては学園の用事やお茶会よりもお店に行きたいのですが…正体を隠しているうえ、私がお茶会などを欠席すると余計な詮索をされるので、それを無下にも出来ないのですよね…全く、筆頭侯爵家の立場もいろいろと面倒ですわ。

 それは置いておいて、今日は休日の出勤日です。朝起きるとまずは朝食をしっかり頂きます。掃除などの身体を使った仕事もあるので、食事は重要です。それが終わればレアとしての変装です。

「お嬢様も変装が上手くなりましたね」
「そう?
「ええ。髪もご自分でまとめられるようになって、お一人でも大丈夫ですわ」

 そうです、最初はかつらを被るために髪をまとめるのに四苦八苦しましたが、今では自分でもパパっと出来るようになりました。仕事用のワンピースを着れば、レアの出来上がりです。
 出勤は今でも借り上げの辻馬車ですが、それも通いのメイドを乗せてやってきた馬車に乗っていく念の入れようです。ああ、御者は今では我が家の影がやっています。お父様はあの後も自分が行くと言っていましたが…

「あなた、それじゃ悪目立ちして逆効果だわ。レティを危険な目に遭わせるのは止めて頂戴」

 お母様に諭され、最初の一回だけでした。さすがに服との反発が酷過ぎてとんでもなく目立っていたので、止めて下さってよかったですわ。

 お店に着いたらまずは事務所の簡単な掃除です。事務所の窓を開けて空気を入れ替え、簡単な掃除をしますが…どうもこの掃除が苦手なのですよね。

「レアちゃん、そこまでしなくていいわよ」
「え?そうなんですか?」
「うん、朝は時間がないから、軽く床を掃いて机を拭けば十分よ」

 う~ん、掃除は難しいですわね。やり始めるとあちこちが気になってしまって、つい手が出てしまうのです。どこでやめるかの線引きが、何と言いますか今一つ呑み込めないのですよね。

 掃除の後はお茶を淹れますが、これは今では私の担当です。お茶を頂きながら今日の予定をリシャールから聞いた後、お仕事開始です。

 私が最初に手を付けるのは、書類整理です。お店やリシャール様宛に来た手紙への返信や、お店で大きな買い物をして下さった貴族へのお礼状、役所に出す書類の清書も今でも私の担当です。
 それが終わる頃に午前の休憩時間になるので、また皆さんにお茶を出します。時々家で焼いたクッキーなどを出す事もありますし、リシャール様は甘い物はあまりお好きではない様で、お客様に頂いたお菓子が振舞われる事もあります。
 お茶が終わる頃には、発注していた商品が届くので、開梱して中身のチェックです。私は開梱とその片付けで、商品のチェックはリシャール様とダニエルさんのお仕事です。
 それが終わる頃にはお昼です。普段はシェフに庶民風のお弁当を作ってもらいます。この時間はマリアさんとお喋りタイムで、ここでリシャール様やお店の事が聞けるので私の楽しみの一つです。
 食後はもう、がっつり帳簿とのにらみ合いです。この帳簿の相手をするのは半月前、ちょっとしたトラブルがあってからでした。


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