44 / 238
騎士課のお二人
しおりを挟む
「おう、ベル。急に呼び出して何の用だ?」
ベルティーユ様の返事も待たずにドアが開き、現れたのは背の高い騎士科の制服を着た男子生徒二人でした。一人は金髪を短く切り揃え、碧眼は強い意志を感じさせます。何となく誰かに似ている気がしますが…男性的なイケメンですわね。黙っていれば貴公子に見えそうですが、口も態度も悪そうです。もう一人は黒髪をこちらも短く切り、深い緑色の瞳で、失礼ですが厳ついとの形容詞がぴったりです。金髪の男性よりもワイルド感が増し増しで背も少しだけ高いですわね。
「ちょっと、返事する前に入ってこないでよね!」
「ああ?呼び出したのはそっちだろう?一々細かいこと気にするな」
すかさずベルティーユ様が抗議の声をあげましたが、金髪の男性はそれをあっさりと聞き流しています。あのベルティーユ様に臆せず言い返すなんて…それなりの家の方のようですわね。
「もう!今日はクラスメイトがいるんだから気を使いなさいよ!」
「え?あ、ああ…し、失礼。何だお前、珍しく友達と一緒なのか?」
「珍しいって何よ?私に友達がいないとでも言いたいの?」
「そんなんじゃねぇけど、お前、特定の相手と群れる気はないっていつも言ってるじゃないか」
「そりゃあそうだけど。今はその事はいいでしょう!」
ぽんぽん交わされる会話のテンポが速すぎて面食らってしまいますわ。これはもしかして、相当仲が悪い…のでしょうか?
「うわ、めっちゃ美人じゃん!お前、どこでこんな美少女と知り合ったんだ?」
私に気が付いた男性が、徐に驚きの声をあげました。
「うるさいわね!悪かったわね、美人じゃなくて!」
「誰もそんな事言ってないだろう?妬いてるのか?」
「そんなわけないでしょ!馬鹿っ!」
またまたベルティーユ様が反論して、言い合いになってしまいましたわ。しかも貴族らしいご令息に馬鹿なんて言って大丈夫なのでしょうか…あまりの剣幕に心配になってきましたわ。
「ああもう、レティシア様、ごめんなさいね。こいつはロイク=シュマンで、後ろにいるのがクレマン=ダラス。二人とも騎士課の生徒で一つ上よ。そしてロイクは私の婚約者なの」
「え?この方がベルティーユ様の、婚約者…」
そう言えばベルティーユ様、エルネスト様との婚約直前に婚約の約束をしたと仰っていましたわね。その相手がこの方、ですか。とても砕けた口調で話すところを見るに、気安い間柄…なのでしょうか。
「ロイク、こちらはレティシア様。ラフォン侯爵家のご令嬢よ」
「はぁぁ?ラフォン家だって?ええ?このご令嬢が?」
「そうだと言っているでしょう」
「だ、だが…あの令嬢は縦ロールで…」
「それ、いつの情報よ。あんた、騎士になりたいくせに情報が遅すぎるわ!」
「いや、だって…でも、どうして…」
「殿下との婚約がなくなったからよ。あの縦ロールは王妃様のご命令だったの。これが本来のレティシア様よ」
「……」
ロイク様もクレマン様も固まっていますが…そんなに驚く事でしょうか。いえ、確かに以前の私の姿は酷かったとは思いますが…それにしても、ベルティーユ様はどうしてこのお二人をお呼びしたのでしょうか。
ベルティーユ様の返事も待たずにドアが開き、現れたのは背の高い騎士科の制服を着た男子生徒二人でした。一人は金髪を短く切り揃え、碧眼は強い意志を感じさせます。何となく誰かに似ている気がしますが…男性的なイケメンですわね。黙っていれば貴公子に見えそうですが、口も態度も悪そうです。もう一人は黒髪をこちらも短く切り、深い緑色の瞳で、失礼ですが厳ついとの形容詞がぴったりです。金髪の男性よりもワイルド感が増し増しで背も少しだけ高いですわね。
「ちょっと、返事する前に入ってこないでよね!」
「ああ?呼び出したのはそっちだろう?一々細かいこと気にするな」
すかさずベルティーユ様が抗議の声をあげましたが、金髪の男性はそれをあっさりと聞き流しています。あのベルティーユ様に臆せず言い返すなんて…それなりの家の方のようですわね。
「もう!今日はクラスメイトがいるんだから気を使いなさいよ!」
「え?あ、ああ…し、失礼。何だお前、珍しく友達と一緒なのか?」
「珍しいって何よ?私に友達がいないとでも言いたいの?」
「そんなんじゃねぇけど、お前、特定の相手と群れる気はないっていつも言ってるじゃないか」
「そりゃあそうだけど。今はその事はいいでしょう!」
ぽんぽん交わされる会話のテンポが速すぎて面食らってしまいますわ。これはもしかして、相当仲が悪い…のでしょうか?
「うわ、めっちゃ美人じゃん!お前、どこでこんな美少女と知り合ったんだ?」
私に気が付いた男性が、徐に驚きの声をあげました。
「うるさいわね!悪かったわね、美人じゃなくて!」
「誰もそんな事言ってないだろう?妬いてるのか?」
「そんなわけないでしょ!馬鹿っ!」
またまたベルティーユ様が反論して、言い合いになってしまいましたわ。しかも貴族らしいご令息に馬鹿なんて言って大丈夫なのでしょうか…あまりの剣幕に心配になってきましたわ。
「ああもう、レティシア様、ごめんなさいね。こいつはロイク=シュマンで、後ろにいるのがクレマン=ダラス。二人とも騎士課の生徒で一つ上よ。そしてロイクは私の婚約者なの」
「え?この方がベルティーユ様の、婚約者…」
そう言えばベルティーユ様、エルネスト様との婚約直前に婚約の約束をしたと仰っていましたわね。その相手がこの方、ですか。とても砕けた口調で話すところを見るに、気安い間柄…なのでしょうか。
「ロイク、こちらはレティシア様。ラフォン侯爵家のご令嬢よ」
「はぁぁ?ラフォン家だって?ええ?このご令嬢が?」
「そうだと言っているでしょう」
「だ、だが…あの令嬢は縦ロールで…」
「それ、いつの情報よ。あんた、騎士になりたいくせに情報が遅すぎるわ!」
「いや、だって…でも、どうして…」
「殿下との婚約がなくなったからよ。あの縦ロールは王妃様のご命令だったの。これが本来のレティシア様よ」
「……」
ロイク様もクレマン様も固まっていますが…そんなに驚く事でしょうか。いえ、確かに以前の私の姿は酷かったとは思いますが…それにしても、ベルティーユ様はどうしてこのお二人をお呼びしたのでしょうか。
80
お気に入りに追加
3,530
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる