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初めてのクラスメイトとのランチ

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「ほんっとに別人ですわね」

 私は今、学園の食堂の上位貴族だけが使用出来る個室で、ベルティーユ様と一緒に昼食を頂いていました。こんな風に誰かと昼食をとるのは初めてですわね。殿下の婚約者だった私は王族用の個室で食べるように命じられていましたが、殿下は仲のいいアネット様やご友人と別の個室を利用されていたので、いつも一人だったのです。

「ベルティーユ様、それもう十四回目ですわ」

 先ほどからしみじみと同じセリフを繰り返すベルティーユ様に、私は思わず突っ込んでしまいましたわ。

「…うるさいわね、一々数えないでよ」

 じろりとベルティーユ様が睨んできましたが…ベルティーユ様は華やかな紅色の髪と鮮やかな新緑の様な瞳を持つ美人なので、彼女に睨まれると迫力が違いますわね。親が政敵同士の私をどうしてここに連れてきたのか、その意図がわからないのでちょっと不安です。まぁ、私には影がついていますし、学園内で騒ぎを起こすような方ではないと思いますが…

「それにしても、よく婚約破棄出来たわね。あれって王家のごり押しだったんでしょう?」
「え?ええ。よくご存じでしたね」
「あのねぇ、我が家だってあなたの家と引けを取らない侯爵家なのよ。それにあの婚約、我が家にも打診があったしね」
「ええ?そうだったんですの?」
「そうよ。まぁ、その時には既に婚約の約束が出来上がっていたから辞退したけど」
「え?辞退したんですの?」
「そりゃあそうでしょう?ここだけの話、エルネスト殿下じゃ受け入れる側にメリットが少ないもの。どう見たってお守役でしょ?」

 意外にもベルティーユ様までそんな風に思っていたのですね。私に何かと突っ掛かってきていたので、殿下の婚約者になりたかったのだと思っていましたが。

「何よ、その顔は」

 どうやら思った事が顔に出てしまっていたようです。ベルティーユ様って感情が顔に出やすい方ですが、妙に察しがいいんですよね。

「いえ、ベルティーユ様がそんな風に思っていたのが意外で…」
「そうかしら?」
「ええ、私はてっきり、ベルティーユ様が殿下の婚約者になりかかったのだと思っていましたの」
「はぁあ?!」

 私がそう言うと、ベルティーユ様は立ち上がらんばかりに驚きを露わにしました。その顔には大きくはっきりと不本意と書かれていますわね。意外ですが、彼女は殿下には興味がなかったという事でしょうか。

「悪いけど、私、そこまで悪趣味じゃないわ。あんなお頭がお花畑の男、こちらから願い下げだわ」

 あらまぁ、まさかベルティーユ様にまで酷評されるとは思いませんでしたわ。てっきり真実の愛に感銘を受けているかと思っていましたのに。


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