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これが私の本当の姿ですわ
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「う、うそだろう?あれがレティシア様って…」
「縦ロールとあのメイクは?どうしたんだ?」
「全く別人じゃないか…」
「でも、髪と瞳の色は同じですわ…」
私の姿にクラスの皆さんの動揺が凄いですわ。そう言えば今日はコレット達が、一層張り切って準備してくれたのですよね。髪はサイドは耳の辺りまでを後ろでまとめて結び、後ろは持ち前のウェーブをそのまま生かして下ろしています。塗りたくっていた化粧はやめて薄くファンデーションだけを塗り、真っ赤だった唇も今日は唇の色を生かしてグロスだけです。王妃様の侍女とは真逆の、ナチュラルメイクと髪形でしたわね。
「めちゃくちゃ美少女じゃないかよ!」
「めっちゃ透明感あるし…」
「あ、ああ…もしかしてアネット様よりも美人なんじゃ…」
「…今までのあの姿は一体…」
コレット達の仕事が功を奏したのか、皆さん、私の変わり様に驚いていますわね。今まではセンスの欠片もない残念令嬢と言われていましたから、確かに別人に見えても仕方ないかもしれませんわ。
「な…ど、どうして…」
ベルティーユ様は未だに私だと信じられない様で、ショックから立ち直れないようです。そう言えば彼女も私によく、あの髪型とメイクは似合っていないから止めるように言ってきていましたわね。
「どうしてって…殿下との婚約を破棄出来たからですわ」
私はにっこりと笑みを浮かべてそう答えると、再び教室内にざわめきが広がりました。
「破棄したからって…」
「あの縦ロールも濃いメイクも衣装も、全ては王妃様のご命令でしたの」
「ご命令って…」
「殿下のお好み通りにと、王妃様の派遣された侍女によってあの姿にさせられていたのですわ」
「王妃様が…」
まさかあの姿が王妃様のご命令だとは思わなかったのでしょうね。中には口を噤んで気まずそうにしているご令嬢もいますわ。主に私の姿を散々馬鹿にしていた方ですが…あれが王妃様のご意志となれば不敬罪にもなりかねないだけに、慌てているようです。
「殿下との婚約が破棄されたので、やっと自分の好きなように出来ますの」
「そ、そう…」
「ええ。自分の好きなようにお洒落が出来るって、とっても楽しいですわね。私、これまで自分の好きなように出来ない事ばかりでしたので、婚約がなくなってやっと幸せを感じておりますのよ」
私がそう言うと、またしても教室内が騒めきました。夜会に来ていた方は事の次第をある程度ご存じでしょうが、私があの婚約を嫌がっていた事を改めて皆さんの前で宣言出来ましたわ。ベルティーユ様はまだ驚きから覚め切らないようでしたが、そうしている間に予鈴が鳴り、先生がいらっしゃいました。
「縦ロールとあのメイクは?どうしたんだ?」
「全く別人じゃないか…」
「でも、髪と瞳の色は同じですわ…」
私の姿にクラスの皆さんの動揺が凄いですわ。そう言えば今日はコレット達が、一層張り切って準備してくれたのですよね。髪はサイドは耳の辺りまでを後ろでまとめて結び、後ろは持ち前のウェーブをそのまま生かして下ろしています。塗りたくっていた化粧はやめて薄くファンデーションだけを塗り、真っ赤だった唇も今日は唇の色を生かしてグロスだけです。王妃様の侍女とは真逆の、ナチュラルメイクと髪形でしたわね。
「めちゃくちゃ美少女じゃないかよ!」
「めっちゃ透明感あるし…」
「あ、ああ…もしかしてアネット様よりも美人なんじゃ…」
「…今までのあの姿は一体…」
コレット達の仕事が功を奏したのか、皆さん、私の変わり様に驚いていますわね。今まではセンスの欠片もない残念令嬢と言われていましたから、確かに別人に見えても仕方ないかもしれませんわ。
「な…ど、どうして…」
ベルティーユ様は未だに私だと信じられない様で、ショックから立ち直れないようです。そう言えば彼女も私によく、あの髪型とメイクは似合っていないから止めるように言ってきていましたわね。
「どうしてって…殿下との婚約を破棄出来たからですわ」
私はにっこりと笑みを浮かべてそう答えると、再び教室内にざわめきが広がりました。
「破棄したからって…」
「あの縦ロールも濃いメイクも衣装も、全ては王妃様のご命令でしたの」
「ご命令って…」
「殿下のお好み通りにと、王妃様の派遣された侍女によってあの姿にさせられていたのですわ」
「王妃様が…」
まさかあの姿が王妃様のご命令だとは思わなかったのでしょうね。中には口を噤んで気まずそうにしているご令嬢もいますわ。主に私の姿を散々馬鹿にしていた方ですが…あれが王妃様のご意志となれば不敬罪にもなりかねないだけに、慌てているようです。
「殿下との婚約が破棄されたので、やっと自分の好きなように出来ますの」
「そ、そう…」
「ええ。自分の好きなようにお洒落が出来るって、とっても楽しいですわね。私、これまで自分の好きなように出来ない事ばかりでしたので、婚約がなくなってやっと幸せを感じておりますのよ」
私がそう言うと、またしても教室内が騒めきました。夜会に来ていた方は事の次第をある程度ご存じでしょうが、私があの婚約を嫌がっていた事を改めて皆さんの前で宣言出来ましたわ。ベルティーユ様はまだ驚きから覚め切らないようでしたが、そうしている間に予鈴が鳴り、先生がいらっしゃいました。
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