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第二部
妻としての覚悟
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涙を流してそう訴えられた。彼女の嘆きもわからなくはないわ。父と兄が自分の想い人を陥れようとしていたことも、自分の恋心が利用されていたことも想像出来なかったでしょうから。ある意味彼女も父や兄の犠牲者なのかもしれない。そう思ったから彼女の妄言を聞き流すつもりだったけれど……その一言だけは流せなかった。
「……私の気持ちを、決めつけないで下さい」
「……え?」
思った以上に声が低くなってしまったらしく、尚も言い募ろうとしていたクラリッサ様の口が止まった。
「……な……何を……」
「私の気持ちを決めつけないで下さい、と申しました。私は夫を、ヴォルフ様を一人の男性としてお慕いしています」
真っ直ぐにクラリッサ様の目を見てそう告げた。
「う、うそよ!!……あなたたちは政略で……あなたなんか没落寸前の伯爵家じゃない! どうせ権力と財力が目当てだったのでしょう!! この泥棒猫!! 私のヴォルフ様を返してよ!!」
「……確かに、最初は政略でした。ですが、共に過ごしヴォルフ様の為人を知った今は誰よりも大切な方とお慕いしています。この身を賭してもいいと思うほどに」
愛されなくてもいい。そうなったらいいとは思うけれどヴォルフ様にそれを願うのは難しいと理解しているわ。でも迷惑だとも言われていないから想うのは自由よね。
「う、うそよ……そんなこと……」
「そう思いたければご自由にどうぞ。ああ、先ほど私に何故ここにいるのか尋ねられましたね。お答えしますわ。夫が襲われたと聞いて軍馬で駆けつけたのですよ。騎士服を着て騎士たちと共に」
「……ぐ、軍、馬って……」
「乗馬だけでなく剣の鍛錬もしております。いざという時に備えて」
「……どういうこと? 貴族夫人がそんなこと……」
異形の者を見るような目を向けられたわ。確かに傅かれて育った彼女には理解し難いかもしれない。もっとも剣技や乗馬は私が望んだことでやる必要はないのかもしれないけれど。
「夫の危機にじっとなんかしていられませんでした。それに先ほど夫も言いましたが、命を狙われるのは本当です。王都の屋敷に暗殺者が忍び込んできたことも何度かありました」
「…あ、暗殺って……」
笑顔でそう告げると表情を強張らせたけれど、彼女はそんな危険に遭ったことはないのかしら? 王族なら誘拐などの危険もありそうだけれど。
「筆頭侯爵は国を背負う柱の一つ、命を狙う者は後を絶ちません。友人とのお茶会ですら気が抜けません。今回も夫と王都の屋敷は襲われました。あなた様の家族によって」
「あ……」
「あなた様に覚悟はありますか? 常に命を狙われる毎日がどんなものか想像出来ますか? 私は死を覚悟してここにおります」
いつの間にか狙われているのが普通になってしまったから、実はそれほど大層な覚悟を感じているわけじゃない。それでも時々死の気配は感じるし、それで心が軋むこともある。そんな覚悟があるのか、持てるのかとの思いを込めてじっと彼女の青玉のような瞳を見つめた。
クラリッサ様は一言も発せず、さっきまで紅潮していた頬は血色を失い灰色に見えた。彼女は砂糖菓子のように甘くて宝石のように煌めく結婚生活を夢見ていたのでしょうね。甘く蕩けるような愛の言葉をささやくヴォルフ様……ダメだわ、全く想像出来ない……
私が想像力の限界に挑んでいる間にクラリッサ様はその場に座り込んでしまったわ。十年見続けてきた夢が幻想だったと気付いたかしら? 私も昔は結婚に憧れていたけれど姉のせいでそれは早々に打ち砕かれてしまった。あの頃は姉を恨んだりもしたけれど、今にして思えば早いうちに現実を知れてよかったのかもしれないわね。クラリッサ様もどこかで初恋の夢から覚めていたら違う未来もあったかもしれないのに。周りがそうさせなかったのでしょうね。そう思うと気の毒に思えた。
その後、外で控えていた王家の騎士が公爵一家と医師らしい高齢の男性を拘束していった。ゲオルグ様と医師とみられる男性一人は激しく抵抗したけれど、だったらヴォルフ様に飲ませる予定だった薬を飲ませるかと殿下が呟くと大人しくなった。それほど危険な薬を飲ませようとしていたのかと彼らに憤りが益々増したわ。でも彼らのことは国同士の問題になってしまったから陛下と殿下にお任せするしかないわ。殿下は私達と一緒に戻ると言い張ったけれどヴォルフ様に一蹴され、渋々ながらも彼らと共に帰っていった。
陛下たちは離宮でお過ごしだから後処理は殿下がされるのかしら? もちろん筆頭侯爵で当事者でもあるヴォルフ様も関わることになるのでしょうね。一歩間違えたら開戦の可能性もあったから、内々に片付けられたのは幸いだったと思う。彼らの処分はこれから証拠なども鑑みて陛下が正式にお決めになるのでしょうね。
外は夜の女王が空を支配始め、青の中に鮮やかな赤みが増していた。雨が降らなかったのは幸いだったわ。道がぬかるむと馬に負担がかかって動けなくなるから。ゾルガーの騎士がニッセル子爵の別邸から回収した馬車で屋敷に戻る。馬車にも目立った傷がなくてよかったわ。さすがに今から馬に乗って帰る元気はないもの……
「戻るぞ」
ヴォルフ様は先に乗り込むと進行方向に背をむけて座られた。逆向きだと酔うこともあるから気遣って下さっているのね。そんな細やかさが嬉しくて幸せを感じる。それに狭いから向かい合わせになるしかなかったのも今はありがたかった。絶対に汗臭くなっているはずだもの。馬車がゆっくりと進み始める。二人きりのこの空間に途方もない安心感が全身を満たした。
「フレディ様たちは大丈夫でしょうか?」
「向こうにも騎士はいるし影も置いてある。代々襲撃があった場合の対処法を使用人は受け継いでいる。滅多なことはない」
そう言われてもロッテのように護身術を習って日が浅い者もいるわ。無事な姿を確かめるまでは安心出来そうになかった。
「疲れただろう。少し休め」
「ですが……」
「何だ? 不安定なのが気になるなら隣で支えるか?」
それはとても魅力的なお誘いだったけれどお断りしたわ。だって丸二日以上湯あみをしていないのよ。昨夜は野営だったし、今日も汗をかいたから匂いが気になるし、髪も顔もきっと酷いことになっているわ。帰って湯あみをしたら少しだけでも抱きしめて下さるかしら? それを楽しみに今は我慢するわ。ヴォルフ様が両腕を組んで目を閉じられた。仮眠されるのね。私も壁にもたれかけて目を閉じた。揺れは酷いけれど疲れているせいかあまり気にならないわ……
「……ルーゼ……イルーゼ!」
大好きな声に名を呼ばれて、何ていい夢なのかしらと顔が勝手に緩んだ。浅い眠りが気持ちいい……このままでいさせてほしい……
「抱き上げて運ぶぞ」
その言葉と共に身体に触れる存在に驚いて目が開いた。真っ暗な中にヴォルフ様の姿が見えて、抱きかかえられようとしている自分がいた。
「じ、自分で降りますわ!」
さすがにこの身体で密着するのは遠慮したかった。慌てて起き上がろうとするとヴォルフ様が放してくれたけれど、危なかったわ、臭くなかったかしら……
いつの間にか屋敷に着いていたらしい。真っ暗だからよく見えないけれど、屋敷には変わったところはないように見えた。玄関の扉の前には燭台を持ったティオを先頭にロッテたちが並んでいた。フレディ様の姿もその奥に見えるわ。無事な姿に足元から力が抜けてしまいそうだった。
「イルーゼ?」
「大丈夫です。ちょっと……安心したら気が抜けて……」
せめて部屋までは、出来れば湯あみが終わるまでは頑張ってほしい。そう足に念じて玄関へと歩を進めた。
「イルーゼ嬢、大丈夫か?」
「ええ、ありがとうございます。フレディ様もご無事で?」
「ああ、私も屋敷も使用人の皆も無事だ。怪我をした者はいない」
「それはようございました」
ゲオルグ様の襲撃は結果を出せなかったのね。今はそれだけがわかれば十分だわ。
「イルーゼ様!! よくご無事で……!」
「奥様……ご無事のお帰り、心から安堵しました」
「ティオ、ロッテも……よく無事で……心配をかけたわね。屋敷を守ってくれてありがとう」
泣き出してしまったロッテに目の奥が熱くなった。こんなにも心配してくれる人がいるのよ。私は幸せだわ。
「……私の気持ちを、決めつけないで下さい」
「……え?」
思った以上に声が低くなってしまったらしく、尚も言い募ろうとしていたクラリッサ様の口が止まった。
「……な……何を……」
「私の気持ちを決めつけないで下さい、と申しました。私は夫を、ヴォルフ様を一人の男性としてお慕いしています」
真っ直ぐにクラリッサ様の目を見てそう告げた。
「う、うそよ!!……あなたたちは政略で……あなたなんか没落寸前の伯爵家じゃない! どうせ権力と財力が目当てだったのでしょう!! この泥棒猫!! 私のヴォルフ様を返してよ!!」
「……確かに、最初は政略でした。ですが、共に過ごしヴォルフ様の為人を知った今は誰よりも大切な方とお慕いしています。この身を賭してもいいと思うほどに」
愛されなくてもいい。そうなったらいいとは思うけれどヴォルフ様にそれを願うのは難しいと理解しているわ。でも迷惑だとも言われていないから想うのは自由よね。
「う、うそよ……そんなこと……」
「そう思いたければご自由にどうぞ。ああ、先ほど私に何故ここにいるのか尋ねられましたね。お答えしますわ。夫が襲われたと聞いて軍馬で駆けつけたのですよ。騎士服を着て騎士たちと共に」
「……ぐ、軍、馬って……」
「乗馬だけでなく剣の鍛錬もしております。いざという時に備えて」
「……どういうこと? 貴族夫人がそんなこと……」
異形の者を見るような目を向けられたわ。確かに傅かれて育った彼女には理解し難いかもしれない。もっとも剣技や乗馬は私が望んだことでやる必要はないのかもしれないけれど。
「夫の危機にじっとなんかしていられませんでした。それに先ほど夫も言いましたが、命を狙われるのは本当です。王都の屋敷に暗殺者が忍び込んできたことも何度かありました」
「…あ、暗殺って……」
笑顔でそう告げると表情を強張らせたけれど、彼女はそんな危険に遭ったことはないのかしら? 王族なら誘拐などの危険もありそうだけれど。
「筆頭侯爵は国を背負う柱の一つ、命を狙う者は後を絶ちません。友人とのお茶会ですら気が抜けません。今回も夫と王都の屋敷は襲われました。あなた様の家族によって」
「あ……」
「あなた様に覚悟はありますか? 常に命を狙われる毎日がどんなものか想像出来ますか? 私は死を覚悟してここにおります」
いつの間にか狙われているのが普通になってしまったから、実はそれほど大層な覚悟を感じているわけじゃない。それでも時々死の気配は感じるし、それで心が軋むこともある。そんな覚悟があるのか、持てるのかとの思いを込めてじっと彼女の青玉のような瞳を見つめた。
クラリッサ様は一言も発せず、さっきまで紅潮していた頬は血色を失い灰色に見えた。彼女は砂糖菓子のように甘くて宝石のように煌めく結婚生活を夢見ていたのでしょうね。甘く蕩けるような愛の言葉をささやくヴォルフ様……ダメだわ、全く想像出来ない……
私が想像力の限界に挑んでいる間にクラリッサ様はその場に座り込んでしまったわ。十年見続けてきた夢が幻想だったと気付いたかしら? 私も昔は結婚に憧れていたけれど姉のせいでそれは早々に打ち砕かれてしまった。あの頃は姉を恨んだりもしたけれど、今にして思えば早いうちに現実を知れてよかったのかもしれないわね。クラリッサ様もどこかで初恋の夢から覚めていたら違う未来もあったかもしれないのに。周りがそうさせなかったのでしょうね。そう思うと気の毒に思えた。
その後、外で控えていた王家の騎士が公爵一家と医師らしい高齢の男性を拘束していった。ゲオルグ様と医師とみられる男性一人は激しく抵抗したけれど、だったらヴォルフ様に飲ませる予定だった薬を飲ませるかと殿下が呟くと大人しくなった。それほど危険な薬を飲ませようとしていたのかと彼らに憤りが益々増したわ。でも彼らのことは国同士の問題になってしまったから陛下と殿下にお任せするしかないわ。殿下は私達と一緒に戻ると言い張ったけれどヴォルフ様に一蹴され、渋々ながらも彼らと共に帰っていった。
陛下たちは離宮でお過ごしだから後処理は殿下がされるのかしら? もちろん筆頭侯爵で当事者でもあるヴォルフ様も関わることになるのでしょうね。一歩間違えたら開戦の可能性もあったから、内々に片付けられたのは幸いだったと思う。彼らの処分はこれから証拠なども鑑みて陛下が正式にお決めになるのでしょうね。
外は夜の女王が空を支配始め、青の中に鮮やかな赤みが増していた。雨が降らなかったのは幸いだったわ。道がぬかるむと馬に負担がかかって動けなくなるから。ゾルガーの騎士がニッセル子爵の別邸から回収した馬車で屋敷に戻る。馬車にも目立った傷がなくてよかったわ。さすがに今から馬に乗って帰る元気はないもの……
「戻るぞ」
ヴォルフ様は先に乗り込むと進行方向に背をむけて座られた。逆向きだと酔うこともあるから気遣って下さっているのね。そんな細やかさが嬉しくて幸せを感じる。それに狭いから向かい合わせになるしかなかったのも今はありがたかった。絶対に汗臭くなっているはずだもの。馬車がゆっくりと進み始める。二人きりのこの空間に途方もない安心感が全身を満たした。
「フレディ様たちは大丈夫でしょうか?」
「向こうにも騎士はいるし影も置いてある。代々襲撃があった場合の対処法を使用人は受け継いでいる。滅多なことはない」
そう言われてもロッテのように護身術を習って日が浅い者もいるわ。無事な姿を確かめるまでは安心出来そうになかった。
「疲れただろう。少し休め」
「ですが……」
「何だ? 不安定なのが気になるなら隣で支えるか?」
それはとても魅力的なお誘いだったけれどお断りしたわ。だって丸二日以上湯あみをしていないのよ。昨夜は野営だったし、今日も汗をかいたから匂いが気になるし、髪も顔もきっと酷いことになっているわ。帰って湯あみをしたら少しだけでも抱きしめて下さるかしら? それを楽しみに今は我慢するわ。ヴォルフ様が両腕を組んで目を閉じられた。仮眠されるのね。私も壁にもたれかけて目を閉じた。揺れは酷いけれど疲れているせいかあまり気にならないわ……
「……ルーゼ……イルーゼ!」
大好きな声に名を呼ばれて、何ていい夢なのかしらと顔が勝手に緩んだ。浅い眠りが気持ちいい……このままでいさせてほしい……
「抱き上げて運ぶぞ」
その言葉と共に身体に触れる存在に驚いて目が開いた。真っ暗な中にヴォルフ様の姿が見えて、抱きかかえられようとしている自分がいた。
「じ、自分で降りますわ!」
さすがにこの身体で密着するのは遠慮したかった。慌てて起き上がろうとするとヴォルフ様が放してくれたけれど、危なかったわ、臭くなかったかしら……
いつの間にか屋敷に着いていたらしい。真っ暗だからよく見えないけれど、屋敷には変わったところはないように見えた。玄関の扉の前には燭台を持ったティオを先頭にロッテたちが並んでいた。フレディ様の姿もその奥に見えるわ。無事な姿に足元から力が抜けてしまいそうだった。
「イルーゼ?」
「大丈夫です。ちょっと……安心したら気が抜けて……」
せめて部屋までは、出来れば湯あみが終わるまでは頑張ってほしい。そう足に念じて玄関へと歩を進めた。
「イルーゼ嬢、大丈夫か?」
「ええ、ありがとうございます。フレディ様もご無事で?」
「ああ、私も屋敷も使用人の皆も無事だ。怪我をした者はいない」
「それはようございました」
ゲオルグ様の襲撃は結果を出せなかったのね。今はそれだけがわかれば十分だわ。
「イルーゼ様!! よくご無事で……!」
「奥様……ご無事のお帰り、心から安堵しました」
「ティオ、ロッテも……よく無事で……心配をかけたわね。屋敷を守ってくれてありがとう」
泣き出してしまったロッテに目の奥が熱くなった。こんなにも心配してくれる人がいるのよ。私は幸せだわ。
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