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気になる過去
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その後バルドリック様も下がり、パーティーは混乱もなく終わった。私の時はロミルダ様が騒ぎを起こしたり荷馬車が門に突入したりと騒ぎもあったからそれに比べると平穏に終わったと思うわ。今日に至るまではエルマ様の方が色々あっただけに終わるまで安心出来なかったのよね。
馬車に乗って屋敷に戻る途中、小伯爵夫人たちがヴォルフ様の名を呼んでいたことが気になったのでヴォルフ様に尋ねてみた。ヴォルフ様を名で呼ぶのは王太子殿下や五侯爵家の当主くらいなのよね。名前呼びを許しているご友人はいらっしゃらないのかしら。
「……名前?」
眉間に皴を刻み怪訝そうな目で見下ろされた。今まで気にしたことがなかったのかしら。
「ええ、会場でヴォルフ様のお名前を呼んでいるご婦人方がいらっしゃいましたわ。随分親し気なご様子で愛人をご希望なさっているようでしたが」
ヴォルフ様はあんな品のない方に興味はないと思うわ。もしあの方々が選ばれるなら今頃は何人も愛人がいらっしゃったはずだもの。
「親しくした覚えはないな。何かとまとわりついてきた女がいたがあれか?」
「ドゥルム小伯爵夫人とそのご友人たちですわ。お許しになったかのような素振りでしたが……」
「許した覚えはないが。そういえば社交界に初めて出た時、名前で呼びたいと申し出てきた方が何人かいたな……返事をしなかったら何も言われなくなったが」
まさかの完全無視? いえ、ヴォルフ様らしいといえばらしいけれど。
「今にして思えば許さなくて正解だった。一部の者だけに許せば肩入れしていると思われただろう。かと言って平等に許せば侮られる一因になったかもしれない」
確かに仰る通りね。許されれば慢心を、許されなければ侮りを招いたかもしれない。私も誰にでも名前呼びを許さない方がいいのかしら?
「愛人など面倒なだけだ。お前以外の女を相手にする気はないから気にするな」
「は、はい」
素っ気ない言い方だけどじんわりと温かさが胸に広がった。あんな人たちを相手にすることはないと思いたかったけれど、経験豊富な女性を好む男性も少なくないと聞くから心配だったから。
親しい女性がいないのはわかったけれどヴォルフ様に仲のいいご友人はいるのかしら? 仕事以外の用件で誰かが訪ねてきたとか出かけたという話は聞いたことがない。今までにヴォルフ様に親し気に話しかけてきたのは王太子殿下だけだったわ。でも、殿下は友人という枠じゃないわよね。
「ねぇ、ティオ、ヴォルフ様にご友人はいらっしゃるのかしら?」
屋敷に戻った私はティオに尋ねてみた。
「旦那様にですか?」
「ええ、誰かと出かけたり、家に招いたり招かれたりって話を聞いたことがないから」
父ですら時々は当主の集まりに出たし、学生時代の友人が一人だけいたわ。でもヴォルフ様にはそんな気配がないのよね。
「左様でございますね……旦那様にはそのようなお相手は……」
それっきりティオが困った表情で黙り込んでしまったけれど、世間一般で友人と定義される関係の方はいないのね。ヴォルフ様らしいと思ってしまったけれど、友人がいないなんて寂しくないのかしら? いえ、筆頭侯爵家の当主として特定の相手と慣れ合うのはよくないとお考えなのかもしれないけれど。
ヴォルフ様のことを知れば知るほど最初に持っていたイメージとかけ離れていく。王族にも不遜な態度だと聞いていたから、驕慢で気難しい人かと思っていた。だけど実際はちゃんと話を聞いて下さるし、困った時はさりげなく手助けしてくれる優しさをお持ちだ。幼少期に殺されかけたせいで心が壊れ自分だけでなく他人の気持ちがわからないと言う……
「ティオ、ヴォルフ様は人の心がわからないと仰っていたわ。子どもの頃に襲われたのが原因だと……」
「そう、でございますね」
「何があったの、聞いてもいい?」
何度も殺されかけて、最後は死んだことにされて分家に預けられていたというヴォルフ様。心を壊すほどの体験をしたと言われると下手に尋ねるのも憚られて聞くに聞けなかった。そりゃあヴォルフ様は何でも聞けばいいと仰って下さるけれど、心の傷を抉るようなことを不躾に聞いていいのかと思うと躊躇する。いくらご本人がいいとは言っても……
「私が旦那様にお仕えするようになったのは、旦那様がこの家に戻られてからのことです。それ以前のことは……」
ティオも知らないのよね。でも仕方がないわ。ティオは先代のお義父様に仕えていたのだから。
「以前のことを知っている方はいないのかしら?」
分家に預けられていたというのなら、その家の人は知っているのかしら。でも、勝手に過去を探るのは失礼よね。
「気になりますか?」
「そうね。ヴォルフ様のことをもっと知りたいと思うわ。私などには想像もつかない人生を送られているのでしょうけれど、その一片だけでも理解したいと思うの。そんな風に思うのは不遜かしら?」
一回り年が離れている上社会経験もない私がそんな風に思うのは身の程知らずかもしれないけれど気になるわ。形だけの妻だけどもっと知りたいと思うのは我儘かしら。
「そんなことはございません。奥様が旦那様を理解しようと思って下さること、私めはとてもありがたいと思います」
「そうかしら?」
「そうでございますよ。これまでイルーゼ様のように正面から妻にして欲しいと乗り込んでこられた方も理解したいと仰る方もいらっしゃいませんでした。それは長年旦那様の一番側でお仕えしていた私が証明します」
乗り込んで来たことは忘れてほしいわ……今にして思えば随分失礼なことをしたと思っているのだから。あの時は怒りで頭に血が上っていて勢いで動いてしまったのよ。
「直接お尋ねしては?」
「でも……感情を失うほど辛いことだったのでしょう? 興味本位で聞くのはちょっと……ヴォルフ様も思い出したくないかもしれないし……」
感情がないから気にされないかもしれないけれど、だからと言ってズカズカと乗り込んでいいわけじゃないと思うわ。
「きっと大丈夫でございますよ。むしろ知らないところで調べられるよりはいいと思いますよ」
「あ……」
そう言われてみればそれもそうね。確かにコソコソ調べられるのはいい気持ちはしないわね。
「旦那様は奥様の真っすぐぶつかって来られる無鉄砲さを好ましいと思われています。是非その思いを旦那様にぶつけなさいませ」
ティオが笑みを浮かべてそう言ってくれたけれど無鉄砲って言い過ぎじゃない? いえ、否定出来ないのだけど。でも、夫婦として理解し合うには話し合いが大事ですぞと言われてしまったら尋ねるしかないわよね。
その日の夜、私はヴォルフ様の寝室でヴォルフ様を待った。今日はあまり忙しくないから早めにいらっしゃると思いますよとティオが言うのなら今日がチャンスよね。湯あみを終えて夜着に着替え、寝室のソファに掛けてお茶を飲みながらヴォルフ様を待った。いざと思うと緊張するわ。
「イルーゼ、寝ていなかったのか?」
夜着に着替え、まだ髪を湿らせたヴォルフ様がやって来たのは確かにいつもよりも早い時間帯だった。それでも待っている間に眠ってしまうことも多かったのは否めないわ。そんな時はヴォルフ様がベッドまで運んで下さるのだけど今日は眠れなかったわ。
「ヴォルフ様、お聞きしたいことがあります」
言ってから言ってしまったと思ったけれど、もう後には引けないわよ。
「どうした?」
大きな身体が私の隣に並んだ。向かい合わせて置いてあったソファだけど、ティオやスージーが「向かい合わせでは中々距離は縮まりませんから」とか言っていつの間にか三人が座れるような大き目なソファ一つになっていた。
「あの……ヴォルフ様の、ことを……ど、どんな子ども時代だったのかとか、分家に預けられた経緯などを、お聞き出来たらと……」
じっと探るように見られて段々語尾が小さくなってしまったわ。もしかして気を悪くされてしまったかしら。
「あ、あの、でも、言いたくなかったら言わなくてもいいですから! 無理に嫌なことを思い出す必要は……」
そうよね、誰だって言いたくない過去の一つや二つや三つあっても仕方ないわよ。しかもヴォルフ様は私よりもずっと長く生きていて、ずっと苦労されていて、そのせいで大きな傷を負われたのだから……
馬車に乗って屋敷に戻る途中、小伯爵夫人たちがヴォルフ様の名を呼んでいたことが気になったのでヴォルフ様に尋ねてみた。ヴォルフ様を名で呼ぶのは王太子殿下や五侯爵家の当主くらいなのよね。名前呼びを許しているご友人はいらっしゃらないのかしら。
「……名前?」
眉間に皴を刻み怪訝そうな目で見下ろされた。今まで気にしたことがなかったのかしら。
「ええ、会場でヴォルフ様のお名前を呼んでいるご婦人方がいらっしゃいましたわ。随分親し気なご様子で愛人をご希望なさっているようでしたが」
ヴォルフ様はあんな品のない方に興味はないと思うわ。もしあの方々が選ばれるなら今頃は何人も愛人がいらっしゃったはずだもの。
「親しくした覚えはないな。何かとまとわりついてきた女がいたがあれか?」
「ドゥルム小伯爵夫人とそのご友人たちですわ。お許しになったかのような素振りでしたが……」
「許した覚えはないが。そういえば社交界に初めて出た時、名前で呼びたいと申し出てきた方が何人かいたな……返事をしなかったら何も言われなくなったが」
まさかの完全無視? いえ、ヴォルフ様らしいといえばらしいけれど。
「今にして思えば許さなくて正解だった。一部の者だけに許せば肩入れしていると思われただろう。かと言って平等に許せば侮られる一因になったかもしれない」
確かに仰る通りね。許されれば慢心を、許されなければ侮りを招いたかもしれない。私も誰にでも名前呼びを許さない方がいいのかしら?
「愛人など面倒なだけだ。お前以外の女を相手にする気はないから気にするな」
「は、はい」
素っ気ない言い方だけどじんわりと温かさが胸に広がった。あんな人たちを相手にすることはないと思いたかったけれど、経験豊富な女性を好む男性も少なくないと聞くから心配だったから。
親しい女性がいないのはわかったけれどヴォルフ様に仲のいいご友人はいるのかしら? 仕事以外の用件で誰かが訪ねてきたとか出かけたという話は聞いたことがない。今までにヴォルフ様に親し気に話しかけてきたのは王太子殿下だけだったわ。でも、殿下は友人という枠じゃないわよね。
「ねぇ、ティオ、ヴォルフ様にご友人はいらっしゃるのかしら?」
屋敷に戻った私はティオに尋ねてみた。
「旦那様にですか?」
「ええ、誰かと出かけたり、家に招いたり招かれたりって話を聞いたことがないから」
父ですら時々は当主の集まりに出たし、学生時代の友人が一人だけいたわ。でもヴォルフ様にはそんな気配がないのよね。
「左様でございますね……旦那様にはそのようなお相手は……」
それっきりティオが困った表情で黙り込んでしまったけれど、世間一般で友人と定義される関係の方はいないのね。ヴォルフ様らしいと思ってしまったけれど、友人がいないなんて寂しくないのかしら? いえ、筆頭侯爵家の当主として特定の相手と慣れ合うのはよくないとお考えなのかもしれないけれど。
ヴォルフ様のことを知れば知るほど最初に持っていたイメージとかけ離れていく。王族にも不遜な態度だと聞いていたから、驕慢で気難しい人かと思っていた。だけど実際はちゃんと話を聞いて下さるし、困った時はさりげなく手助けしてくれる優しさをお持ちだ。幼少期に殺されかけたせいで心が壊れ自分だけでなく他人の気持ちがわからないと言う……
「ティオ、ヴォルフ様は人の心がわからないと仰っていたわ。子どもの頃に襲われたのが原因だと……」
「そう、でございますね」
「何があったの、聞いてもいい?」
何度も殺されかけて、最後は死んだことにされて分家に預けられていたというヴォルフ様。心を壊すほどの体験をしたと言われると下手に尋ねるのも憚られて聞くに聞けなかった。そりゃあヴォルフ様は何でも聞けばいいと仰って下さるけれど、心の傷を抉るようなことを不躾に聞いていいのかと思うと躊躇する。いくらご本人がいいとは言っても……
「私が旦那様にお仕えするようになったのは、旦那様がこの家に戻られてからのことです。それ以前のことは……」
ティオも知らないのよね。でも仕方がないわ。ティオは先代のお義父様に仕えていたのだから。
「以前のことを知っている方はいないのかしら?」
分家に預けられていたというのなら、その家の人は知っているのかしら。でも、勝手に過去を探るのは失礼よね。
「気になりますか?」
「そうね。ヴォルフ様のことをもっと知りたいと思うわ。私などには想像もつかない人生を送られているのでしょうけれど、その一片だけでも理解したいと思うの。そんな風に思うのは不遜かしら?」
一回り年が離れている上社会経験もない私がそんな風に思うのは身の程知らずかもしれないけれど気になるわ。形だけの妻だけどもっと知りたいと思うのは我儘かしら。
「そんなことはございません。奥様が旦那様を理解しようと思って下さること、私めはとてもありがたいと思います」
「そうかしら?」
「そうでございますよ。これまでイルーゼ様のように正面から妻にして欲しいと乗り込んでこられた方も理解したいと仰る方もいらっしゃいませんでした。それは長年旦那様の一番側でお仕えしていた私が証明します」
乗り込んで来たことは忘れてほしいわ……今にして思えば随分失礼なことをしたと思っているのだから。あの時は怒りで頭に血が上っていて勢いで動いてしまったのよ。
「直接お尋ねしては?」
「でも……感情を失うほど辛いことだったのでしょう? 興味本位で聞くのはちょっと……ヴォルフ様も思い出したくないかもしれないし……」
感情がないから気にされないかもしれないけれど、だからと言ってズカズカと乗り込んでいいわけじゃないと思うわ。
「きっと大丈夫でございますよ。むしろ知らないところで調べられるよりはいいと思いますよ」
「あ……」
そう言われてみればそれもそうね。確かにコソコソ調べられるのはいい気持ちはしないわね。
「旦那様は奥様の真っすぐぶつかって来られる無鉄砲さを好ましいと思われています。是非その思いを旦那様にぶつけなさいませ」
ティオが笑みを浮かべてそう言ってくれたけれど無鉄砲って言い過ぎじゃない? いえ、否定出来ないのだけど。でも、夫婦として理解し合うには話し合いが大事ですぞと言われてしまったら尋ねるしかないわよね。
その日の夜、私はヴォルフ様の寝室でヴォルフ様を待った。今日はあまり忙しくないから早めにいらっしゃると思いますよとティオが言うのなら今日がチャンスよね。湯あみを終えて夜着に着替え、寝室のソファに掛けてお茶を飲みながらヴォルフ様を待った。いざと思うと緊張するわ。
「イルーゼ、寝ていなかったのか?」
夜着に着替え、まだ髪を湿らせたヴォルフ様がやって来たのは確かにいつもよりも早い時間帯だった。それでも待っている間に眠ってしまうことも多かったのは否めないわ。そんな時はヴォルフ様がベッドまで運んで下さるのだけど今日は眠れなかったわ。
「ヴォルフ様、お聞きしたいことがあります」
言ってから言ってしまったと思ったけれど、もう後には引けないわよ。
「どうした?」
大きな身体が私の隣に並んだ。向かい合わせて置いてあったソファだけど、ティオやスージーが「向かい合わせでは中々距離は縮まりませんから」とか言っていつの間にか三人が座れるような大き目なソファ一つになっていた。
「あの……ヴォルフ様の、ことを……ど、どんな子ども時代だったのかとか、分家に預けられた経緯などを、お聞き出来たらと……」
じっと探るように見られて段々語尾が小さくなってしまったわ。もしかして気を悪くされてしまったかしら。
「あ、あの、でも、言いたくなかったら言わなくてもいいですから! 無理に嫌なことを思い出す必要は……」
そうよね、誰だって言いたくない過去の一つや二つや三つあっても仕方ないわよ。しかもヴォルフ様は私よりもずっと長く生きていて、ずっと苦労されていて、そのせいで大きな傷を負われたのだから……
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