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言葉通り?
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それは閨への合図かと思われた。
「あの……何を……」
突然手を取られて指先から腕へと視線が流れた。窓がなく月明かりも入らない寝室にあるのはろうそくの灯りだけ。
「言った通りだ。怪我がないか確かめている」
「でも、こんなに暗くては……」
「ちゃんと見えてるから問題ない」
始まったのは言葉通り怪我がないかの確認だった。ヴォルフ様は夜目が利くらしく、ろうそくの灯りがあれば十分だと言い、医師が診察するように私の身体を確かめていった。恥ずかしいし沈黙が重い。何か話さないといけないような妙な焦燥感が湧いてくる。
「ヴォルフ様、お、囮にするなら……事前に言って下さい」
焦った末に出てきたのはそんな言葉だった。太くて硬さのある指が肌を滑って粟立つ。
「ティオに叱られたぞ」
「ティオは真面目ですし立場上そう言いますわ。でも、必要な時もおありなのでしょう?」
そう問いかけたけれど返事はなかった。直ぐに返事をされないなんてらしくない。ティオがああいう手前言えないのかしら。
「事前にわかっていたら私も心の準備が出来ますし対処出来ますわ。いえ、囮でなくても何か起きそうな時は事前に教えてください」
そう言っている間にも夜着を脱がされて背中を確かめられていた。下着を取られないのは幸いかしら。返事がないわ。背を向けているからヴォルフ様の表情がわからない。
「わかった」
返事があったのは足の確認に進んでいた頃だった。恥ずかしさとくすぐったさに何とも居た堪れない気持ちになる。確認だけだと言われてもドキドキしてしまうわ。
「痣があるな」
「っ?」
さらりと撫でられたのはふくらはぎの裏側だった。帰宅後にザーラたちが確認した時には気付かなかったのに。ヴォルフ様は時間が経って目立ってきたのだろうと言うけれど私にはわからなかったわ。軽く押すと薄い痛みを感じたから間違いではないようだけど。
「この程度なら直ぐに消えるだろうが、念のために湿布をしておくか?」
「いえ……痛みはありませんし、遅いので今から準備させるのは悪いわ。酷くなっていたら頼みます」
湿布を準備するにしても薬草を煎じたりして手間がかかる。使用人はもう寝ている時間帯だから起こしてまでお願いするのは申し訳ないわ。
「次の外出はベルトラムの婚姻式だったな」
「ええ」
半月後にはエルマ様の婚姻式があって夫婦で招待されているけれど、今のところそれ以外の予定はない。人に会う予定は三日後のリーゼ様とのお茶の約束くらいだけどそれはこちらに来て頂くことになっているし。
「五侯爵家の婚姻式で騒ぎを起こす馬鹿はいないとは思っていたが、我が家の時はいたからな。気を抜くなよ」
「わかりましたわ」
そうね、あの時は警戒していたのに騒ぎが起きたわ。ベルトラム家の警備はこの屋敷ほどではない気がするから気を付けた方がいいわよね。
「婚姻式から日も経った。そろそろ茶会の誘いも出てくるだろう。行くのは構わないが警備が十分ではなさそうな相手は断れ。そこで狙われる可能性もある」
「ええ」
そうね、格下の家では警備の問題が出てくるのは確かね。もしそこでこの前のような賊が侵入したら参加者も危険に晒してしまうかもしれない。
「友人に会いたければここに呼べばいい。その方が安全だ」
「そうしますわ」
移動中も警戒しなきゃいけないから、それを思うとここに招いた方がずっと負担が少ないわ。
「疲れただろう。今日は休め」
てっきりそのまま閨になるかと思っていたけれど本当に傷がないか確かめたかっただけだった。昼間よりも今のそれの方が疲れた気がするし目が冴えてしまったのだけど。そう思ったけれど身体は疲れていたようで、横になるとあっという間に意識が薄れていった。
目が覚めた時一人だった。ヴォルフ様が来たのは夢だったのかと思うほど深く眠っていたらしい。ベルを鳴らすとすぐにロッテが来てくれた。寝過ごしたかと思ったけれどいつもの時間と変わりないという。自室に移動して顔を洗い、着替えを済ませる。昨日ヴォルフ様に言われた場所を見ると、うっすらと皮膚の色が青くなっていた。
「イルーゼ様、この痣は?」
「昨夜ヴォルフ様が気付かれたの。馬車でぶつけたのかしらね」
「そうでしたか。それなら湿布を……」
「そこまでしなくてもいいわ。この程度なら放っておいても直ぐに消えるもの」
多分数日で消えてしまうわ。それくらいの痣だけど、ヴォルフ様はよくあの暗い中で気付かれたわね。
食堂へ向かうと既にヴォルフ様もフレディ様も来ていた。お待たせしてしまったかしら。お詫びを口にすると二人揃って待っていないと言う。お忙しい二人は遅ければ先に食べてしまうから言葉通りなのでしょうね。
「イルーゼ、痛みはないか?」
食事が始まって直ぐにヴォルフ様が尋ねてきた。
「大丈夫ですわ。少し青くなっていますが数日経てば消えるかと」
「そうか。痛みが増すようなら医師に診てもらえ」
「はい」
そこまでではないけれど一応気を付けておかないといけないわね。明後日はリーゼ様とのお茶会があるし。
「イルーゼ嬢、フィリーネは元気だったか?」
意外にもフレディ様が姉のことを尋ねてきたわ。フレディ様には既に姉が実姉ではなくいとこだったことも話してある。ゾルガー家に秘密なんか持てないから当然だわ。
「ありがとうございます。元気にしていましたわ」
「そうか」
姉がクラウス様に通じていたこともお聞きになったでしょうに、それでも気にして下さるフレディ様はやっぱりお優しいと思う。姉も馬鹿よね、見かけや噂で判断してフレディ様を避けていたんだから。最初から寄り添い親しくなるように心がけていたらフレディ様がアイシャ様に気を取られることもなく今頃この家で優雅に暮らせていたでしょうに。
「クラウスの行方を追っている。姉の身辺も調査中だ。もし何かあったらまた報告する」
「はい」
「お願いしますわ」
後継問題で不仲かと噂されていたお二人だけど仲は悪くない。ヴォルフ様は何かとフレディ様を気にかけているし、フレディ様はヴォルフ様を慕っていて何だか父息子のよう。いえ、年が離れた兄弟かしら。ガウス家なんかよりもよっぽどまともな家族のように見えるわ。
「お前の兄の熱が下がったらしい。だが手足に麻痺が残ったようだ」
「そうですか……」
わかっていたことだけど、決断したのは父だけど事の顛末を知っているだけに気が重いわね。でも、実家や領民、お義姉様のために必要なことだと理解している。今までずっと父やお義姉様が諫めてくれたのに聞く耳を持たなかったのは兄だもの。
「次の後継者はどうされるのですか?」
事情をご存じのフレディ様が尋ねた。後を継げるのは私とこれから生まれてくるカリーナの子、もしくはガウス家の分家から養子を迎えることになるかしら。私の子は産まれるかわからないしゾルガー家が優先されるからまだ先になる。子が出来るかわからないから私の子はまだ候補に入れられないわね。
「ガウス伯爵の子を兄の子にする」
「ガウス伯爵の子とは……侍女の?」
「ああ、子爵家出の母親よりもギーゼン伯爵家出の嫁の子の方が立場も強い。嫁には既に話をしてある」
この計画は以前、お義姉様がこの屋敷に来て下さった時に話をしてあった。カリーナの子をご自身の子として育てるつもりはありますかと。お義姉様は迷いなくその提案に頷かれた。実家に戻りたくない意志は固く、一方で兄との閨への嫌悪も強かった。父の子を実子として迎えられるなら有り難いと言い、その上で次期後継者の母として領地経営などを手掛けたいとも。兄なんかよりもずっと優秀だから領民のためにもその方がいいように思う。
「伯爵も実子が次の後継になるんだ、文句はないだろう」
ベティーナ様に似たカリーナとの子なら父も排除はしないでしょうね。出来ればその父こそ排除したいけれど今はまだ難しい。暫くはお義姉様と子のためにこき使ってやるわ。
「あの……何を……」
突然手を取られて指先から腕へと視線が流れた。窓がなく月明かりも入らない寝室にあるのはろうそくの灯りだけ。
「言った通りだ。怪我がないか確かめている」
「でも、こんなに暗くては……」
「ちゃんと見えてるから問題ない」
始まったのは言葉通り怪我がないかの確認だった。ヴォルフ様は夜目が利くらしく、ろうそくの灯りがあれば十分だと言い、医師が診察するように私の身体を確かめていった。恥ずかしいし沈黙が重い。何か話さないといけないような妙な焦燥感が湧いてくる。
「ヴォルフ様、お、囮にするなら……事前に言って下さい」
焦った末に出てきたのはそんな言葉だった。太くて硬さのある指が肌を滑って粟立つ。
「ティオに叱られたぞ」
「ティオは真面目ですし立場上そう言いますわ。でも、必要な時もおありなのでしょう?」
そう問いかけたけれど返事はなかった。直ぐに返事をされないなんてらしくない。ティオがああいう手前言えないのかしら。
「事前にわかっていたら私も心の準備が出来ますし対処出来ますわ。いえ、囮でなくても何か起きそうな時は事前に教えてください」
そう言っている間にも夜着を脱がされて背中を確かめられていた。下着を取られないのは幸いかしら。返事がないわ。背を向けているからヴォルフ様の表情がわからない。
「わかった」
返事があったのは足の確認に進んでいた頃だった。恥ずかしさとくすぐったさに何とも居た堪れない気持ちになる。確認だけだと言われてもドキドキしてしまうわ。
「痣があるな」
「っ?」
さらりと撫でられたのはふくらはぎの裏側だった。帰宅後にザーラたちが確認した時には気付かなかったのに。ヴォルフ様は時間が経って目立ってきたのだろうと言うけれど私にはわからなかったわ。軽く押すと薄い痛みを感じたから間違いではないようだけど。
「この程度なら直ぐに消えるだろうが、念のために湿布をしておくか?」
「いえ……痛みはありませんし、遅いので今から準備させるのは悪いわ。酷くなっていたら頼みます」
湿布を準備するにしても薬草を煎じたりして手間がかかる。使用人はもう寝ている時間帯だから起こしてまでお願いするのは申し訳ないわ。
「次の外出はベルトラムの婚姻式だったな」
「ええ」
半月後にはエルマ様の婚姻式があって夫婦で招待されているけれど、今のところそれ以外の予定はない。人に会う予定は三日後のリーゼ様とのお茶の約束くらいだけどそれはこちらに来て頂くことになっているし。
「五侯爵家の婚姻式で騒ぎを起こす馬鹿はいないとは思っていたが、我が家の時はいたからな。気を抜くなよ」
「わかりましたわ」
そうね、あの時は警戒していたのに騒ぎが起きたわ。ベルトラム家の警備はこの屋敷ほどではない気がするから気を付けた方がいいわよね。
「婚姻式から日も経った。そろそろ茶会の誘いも出てくるだろう。行くのは構わないが警備が十分ではなさそうな相手は断れ。そこで狙われる可能性もある」
「ええ」
そうね、格下の家では警備の問題が出てくるのは確かね。もしそこでこの前のような賊が侵入したら参加者も危険に晒してしまうかもしれない。
「友人に会いたければここに呼べばいい。その方が安全だ」
「そうしますわ」
移動中も警戒しなきゃいけないから、それを思うとここに招いた方がずっと負担が少ないわ。
「疲れただろう。今日は休め」
てっきりそのまま閨になるかと思っていたけれど本当に傷がないか確かめたかっただけだった。昼間よりも今のそれの方が疲れた気がするし目が冴えてしまったのだけど。そう思ったけれど身体は疲れていたようで、横になるとあっという間に意識が薄れていった。
目が覚めた時一人だった。ヴォルフ様が来たのは夢だったのかと思うほど深く眠っていたらしい。ベルを鳴らすとすぐにロッテが来てくれた。寝過ごしたかと思ったけれどいつもの時間と変わりないという。自室に移動して顔を洗い、着替えを済ませる。昨日ヴォルフ様に言われた場所を見ると、うっすらと皮膚の色が青くなっていた。
「イルーゼ様、この痣は?」
「昨夜ヴォルフ様が気付かれたの。馬車でぶつけたのかしらね」
「そうでしたか。それなら湿布を……」
「そこまでしなくてもいいわ。この程度なら放っておいても直ぐに消えるもの」
多分数日で消えてしまうわ。それくらいの痣だけど、ヴォルフ様はよくあの暗い中で気付かれたわね。
食堂へ向かうと既にヴォルフ様もフレディ様も来ていた。お待たせしてしまったかしら。お詫びを口にすると二人揃って待っていないと言う。お忙しい二人は遅ければ先に食べてしまうから言葉通りなのでしょうね。
「イルーゼ、痛みはないか?」
食事が始まって直ぐにヴォルフ様が尋ねてきた。
「大丈夫ですわ。少し青くなっていますが数日経てば消えるかと」
「そうか。痛みが増すようなら医師に診てもらえ」
「はい」
そこまでではないけれど一応気を付けておかないといけないわね。明後日はリーゼ様とのお茶会があるし。
「イルーゼ嬢、フィリーネは元気だったか?」
意外にもフレディ様が姉のことを尋ねてきたわ。フレディ様には既に姉が実姉ではなくいとこだったことも話してある。ゾルガー家に秘密なんか持てないから当然だわ。
「ありがとうございます。元気にしていましたわ」
「そうか」
姉がクラウス様に通じていたこともお聞きになったでしょうに、それでも気にして下さるフレディ様はやっぱりお優しいと思う。姉も馬鹿よね、見かけや噂で判断してフレディ様を避けていたんだから。最初から寄り添い親しくなるように心がけていたらフレディ様がアイシャ様に気を取られることもなく今頃この家で優雅に暮らせていたでしょうに。
「クラウスの行方を追っている。姉の身辺も調査中だ。もし何かあったらまた報告する」
「はい」
「お願いしますわ」
後継問題で不仲かと噂されていたお二人だけど仲は悪くない。ヴォルフ様は何かとフレディ様を気にかけているし、フレディ様はヴォルフ様を慕っていて何だか父息子のよう。いえ、年が離れた兄弟かしら。ガウス家なんかよりもよっぽどまともな家族のように見えるわ。
「お前の兄の熱が下がったらしい。だが手足に麻痺が残ったようだ」
「そうですか……」
わかっていたことだけど、決断したのは父だけど事の顛末を知っているだけに気が重いわね。でも、実家や領民、お義姉様のために必要なことだと理解している。今までずっと父やお義姉様が諫めてくれたのに聞く耳を持たなかったのは兄だもの。
「次の後継者はどうされるのですか?」
事情をご存じのフレディ様が尋ねた。後を継げるのは私とこれから生まれてくるカリーナの子、もしくはガウス家の分家から養子を迎えることになるかしら。私の子は産まれるかわからないしゾルガー家が優先されるからまだ先になる。子が出来るかわからないから私の子はまだ候補に入れられないわね。
「ガウス伯爵の子を兄の子にする」
「ガウス伯爵の子とは……侍女の?」
「ああ、子爵家出の母親よりもギーゼン伯爵家出の嫁の子の方が立場も強い。嫁には既に話をしてある」
この計画は以前、お義姉様がこの屋敷に来て下さった時に話をしてあった。カリーナの子をご自身の子として育てるつもりはありますかと。お義姉様は迷いなくその提案に頷かれた。実家に戻りたくない意志は固く、一方で兄との閨への嫌悪も強かった。父の子を実子として迎えられるなら有り難いと言い、その上で次期後継者の母として領地経営などを手掛けたいとも。兄なんかよりもずっと優秀だから領民のためにもその方がいいように思う。
「伯爵も実子が次の後継になるんだ、文句はないだろう」
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