104 / 155
だって君が大切だから
11
しおりを挟む季節はすっかり秋になっていた。
あれからおばちゃんは数日経って意識を取り戻したみたい。
そして奇跡的にも後遺症も特に残らず、今は少しずつリハビリをしている所だと優斗は言っていた。
「優斗、今日もお母さんのところ?」
「うん。まあ、着替えとかそういうのも持ってかなきゃだし」
「そうだよな。何かあったら頼れよ。優斗のためなら俺、飛んで行くから」
「私も、翔太と駆けつけるよ!」
「ありがと、2人とも」
学校が終わると優斗はすぐに病院に通うようになっていた。
バイトは家庭の都合とだけ伝えてしばらく休みを貰っている。
「優斗」
「なに?なな」
「…私も、もうちょっとおばさんが回復したら、お見舞い行ってもいいかな」
「もちろん。喜ぶと思う」
そうななに言って、優斗は教室を出て行く。
私は何となく皆に、優斗のおばさんが倒れた時に呼ばれて駆けつけたとは言えなかった。
さらに私もおばちゃんのことが心配だったから、バイトのない日はお見舞いに行ってたし、バイトのある日も優斗に電話をして話を聞いてあげることにしていた。
今日はバイトがあったから面会の時間には間に合わなかったけど、バイトが終わってからいつものように優斗に電話をしようと思っていた。
「あいつに会いに行くの?」
「わっお、類くん」
歩きながらスマホをいじって休憩室を出たら、出たすぐのところに類くんがドアの横でしゃがんでいて呼び止められる。
まさか人がいるなんて思わなくて変な声が出た。
「類くんももう上がりなの?」
「いや、ラストまで」
「じゃあ何でこんな所にいるの?あ、サボりだな」
そんな風にふざけて類くんの肩を突いたが無反応。
「最近バイト終わってもすぐ帰るじゃん。何か用事でもあるの」
「え?あー、まあ、うん」
「…あいつ?あんたの幼馴染の」
しゃがんだまま彼は私を見上げて聞いた。
私も類くんと向かい合わせにしゃがんでうん、と頷く。
「今日は会うわけじゃないんだけど、電話する用があって」
嘘ではないけど、別に用事ではない。
ただ優斗が心配だから話だけでも聞いてあげたくて。
すると類くんは私の制服の裾に手を伸ばして掴んだ。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
みられたいふたり〜変態美少女痴女大生2人の破滅への危険な全裸露出〜
冷夏レイ
恋愛
美少女2人。哀香は黒髪ロング、清楚系、巨乳。悠莉は金髪ショート、勝気、スレンダー。2人は正反対だけど仲のいい普通の女子大生のはずだった。きっかけは無理やり参加させられたヌードモデル。大勢の男達に全裸を晒すという羞恥と恥辱にまみれた時間を耐え、手を繋いで歩く無言の帰り道。恥ずかしくてたまらなかった2人は誓い合う。
──もっと見られたい。
壊れてはいけないものがぐにゃりと歪んだ。
いろんなシチュエーションで見られたり、見せたりする女の子2人の危険な活動記録。たとえどこまで堕ちようとも1人じゃないから怖くない。
***
R18。エロ注意です。挿絵がほぼ全編にあります。
すこしでもえっちだと思っていただけましたら、お気に入りや感想などよろしくお願いいたします!
「ノクターンノベルズ」にも掲載しています。
【R-18】イケメンな鬼にエッチなことがされたい
抹茶入りココア
恋愛
目を開けるとそこには美しい鬼がいた。
異世界に渡り、鬼に出会い、悩みながらも鬼に会いに行く。
そして、そこからエロエロな一妻多夫?生活が始まった。
ストーリーよりもエロ重視になります。タグなどを見て苦手かもと思われたら読まないことを推奨します。
*があるタイトルはエロ。
妻がエロくて死にそうです
菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。
美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。
こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。
それは……
限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常
女の子にされちゃう!?「……男の子やめる?」彼女は優しく撫でた。
広田こお
恋愛
少子解消のため日本は一夫多妻制に。が、若い女性が足りない……。独身男は女性化だ!
待て?僕、結婚相手いないけど、女の子にさせられてしまうの?
「安心して、いい夫なら離婚しないで、あ・げ・る。女の子になるのはイヤでしょ?」
国の決めた結婚相手となんとか結婚して女性化はなんとか免れた。どうなる僕の結婚生活。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる