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君じゃなきゃダメなんだ!

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梅雨も明けてついでにテストもぼちぼち全部返ってきた。

そしてようやく久しぶりに類くんとシフトが被ったのだ。

しかもラストまでだし優斗たちもシフトに入ってないしで、手紙の感想を聞くには打って付けのタイミングときた。

意気揚々と私はバイトに行くが、休憩室で呑気に髪を整えていると突然ガバッと休憩室のドアが開いた。


「おい」

「は、はいッ」

「団体客が来てる。早くホール来い」


そうぶっきらぼうに言い捨ててさっさと消えてしまった、あまりにも味気ない再会の仕方をした類くん。

とりあえず文句は後にして急いで休憩室を出ると、まだ時間は早いのにピーク時のような厨房とホールの様子が。


「あ、めいちゃん遅いよ!これ4番と6番に、はい生持ってって」

「て、店長、何で今日こんなに忙しいの?」

「たまたま団体の予約が続いちゃって、5時過ぎからすでにてんやわんやなんだよねー」


そう言う店長に生ジョッキを大量に持たされてふらふらと運んでいく。

初っ端からこんな調子で、結局ラストまで全員ノンストップで働かされて余計な事を考える暇なんかなかった。

類くんともその間は今までの溝が嘘だったみたいに普通に会話してて、まあオーダーがどうとか肉が切れたから注文断れとかそんなんだけど。

こんな日に限ってラストまでの私と類くんは社員に混ざって片付けをして、終わった時にはあとちょっとで日付が変わるぞって時間。


「やー、めいちゃんも一条くんもおつかれ!戸締りはしとくから上がっちゃいなさい」


店長に背中を押されて私たちはやっと制服を脱ぐ事ができた。

お互い更衣室で着替えて、休憩室でなんとなく落ち合うかのように椅子に腰を下ろす。


「…今日、疲れたね」

「ああ」

「たまにあるんだよね、こういう日。しかもこんな時に限ってラストまでって、クタクタだよね」


文句を言いながら、でもこの久しぶりの感覚がなんだか楽しかった。

類くんは水を飲むとペットボトルをゴミ箱に捨てて部屋を出て行こうとする。

私も後を追いかけて、勇気を出して聞いてみた。


「類くんっ、手紙!手紙…読んでくれた?」


途端に緊張してきて心臓がバクバクと強く高鳴った。
 
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