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ストーカー上等!

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そうして皆と別れて早速類くんの通う大学に潜入した。

制服は浮くと思ったから律儀に私服を用意しておいたのだ。 

とは言え颯爽と大学内に紛れ込んだはいいものの、構内は広いし入り組んでるしで何がどこにあるのかもわからない。

 というか、大学って人多いんだなぁ。

昼時に来たからか構内は人でごった返してて、その人混みに紛れてキョロキョロ見渡しながら歩いていたら食堂のような場所に着いた。


「そっか、昼だから類くんもご飯食べてるかも!」


ちょうど私もお腹空いてたし何か食べようかなーと、呑気にメニューを選んでAランチを受け取りそのまま類くん探しを続行。

それでも中々見つからないし、ついでに空いてる席も見つからなくてどうしようかと歩いていたら誰かに肩をつつかれる。


「さっきからずっとうろうろしてるけど、席探してんの?」

「あ、はい、というか人を探してて」

「じゃあとりあえず俺らん所で食べてきなよ。ご飯冷めちゃうし」

「いや大丈夫です。ありがとうございます」

「いいからいいから」


男の人2人に腰に手を回されご飯も奪われ、本当にいいから返してくださいと手を伸ばしてもがっちりと手を固定されてゾワッとした。

と、前を歩いていた人が私と話しながら歩いていたから誰かにぶつかったらしい。


「あっごめんごめん、ぶつかっちった」

「…いってぇんだけど」

「げ、一条じゃん」

「類くんっ?!」


ひょっこり彼らの後ろから私が顔を出すと、さらに怪訝そうな顔をして類くんは私を睨んだ。


「どうして大学にあんたがいるんだよ」

「今日テスト終わって学校早く終わったから来ちゃった」


唖然とする類くんににこにこと私は笑う。

そして苛ついたらしい類くんの怒りの矛先は一度彼らに向いたらしい。


「…いつまでいんの?邪魔なんだけど」

「ぅ、あ、ごめんっ、これ返すわ」


2人組は私にランチを押し付けるとそそくさとどこかへ消えてしまう。

また助けてくれた、のか?

やっぱり類くんって私の王子様みたいな人なんだー!


「どうせ助けてくれて王子様みたいとか思ってんだろ」

「すごい!類くんって私の心まで読めるのッ?」

「……あんたのそのご都合主義には感心するわ。つか着いてくんな」


そうは言われても食べる場所もないし、何より類くんに会いに来たんだからついていかないわけがない。

歩くスピードの速い類くんの後ろを小走りでついていくと、窓際に荷物と男の人が1人座っているテーブルに類くんはたどり着いた。


「あれ、一条珍しいね。女の子ナンパしてきたの?」

「ちがう。ストーカーが俺を探しに勝手についてきただけ」

「あ。この子が例の!えー可愛いじゃん、座んな座んなー」

「ありがとうございます!」


ニコニコ顔の彼に促されてちょこんと座り、とりあえず私はいただきますをする。


「俺、田辺透。なにちゃん?」

「田端明子です」

「めいちゃんかー。名前もかわいいね。俺、一条とは中学からなんだかんだ一緒にいるから、なんでも聞いてよ」


にこっと細い目をさらに細めて笑うこの人はすごく物腰柔らか。

終始苛ついてこっちを見向きもしない隣の誰かさんとは雰囲気がまるで違って、本当に友達やってられるのかなってくらい。


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