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はろーまいぷりんす!
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しおりを挟むそれは従業員だけじゃなくてもちろんお客さんもで。
「お姉さん、あの人新しく入った子なの?」
「あ、はい。今日からなんです」
「へー。次あの子にここ持ってきてって言っといてー!」
「あー、タイミングが合えばー、ははは」
女子のグループはもちろん、なぜかおじさんたちにも目を引かれている。
「あのでかい子、新入り?」
「はい、今日からです」
「やっぱイケメンはどこにいてもモテモテだねぇ。あ、でも俺らはめーちゃん推しだから!」
「ありがとうございますぅー、今日もジャンジャンお酒飲んでってくださいね!いっぱい持ってきますから!」
20時を過ぎてより忙しくなりバタバタと私が駆け回っていると、レジで新人の彼が入ってるのが見えた。
ちらっと見に行くとお客さんはもういないけど画面がエラーになっていて、それをどうしたらいいか困っていたみたい。
「このエラー私も最初出しました。んーっと、どうやるんだっけなあ」
タブレットを爪でタップして画面を戻していく。
記憶を辿ってやっていくと画面のエラーは消えて元に戻ってくれた。
はい、と彼にタブレットを返すとありがとうと言われる。
「えっと、類くんですよね」
「うん」
「私田端めいこって言います。ほんとはななよりここの歴長いんですよー」
「それ、聞いた」
うわー、超あっさり塩対応ー!
やっぱイケメンともなると女子にまとわりつかれて大変なんだろうなあ。
「あ、安心してください。類くんのこと確かにイケメンだと思うけど、昔イケメンには痛い目を見たので私は好きにはなりません!」
「…いやそんな宣言俺にされても」
そうそう、昔好きになったイケメンが8股してて吐きかけた覚えがあるもん。
私は一途な人がいいからね!
いくら顔が良くても私だけを見てくれる人じゃないと!
「めーちゃーん!こっち生4つお願いーッ」
「はーい!ただいま!あ、じゃあね類くんっ」
慌ただしく私はそう言ってレジから走り去った。
それからの時間もあっという間で、ある程度お客さんも落ち着いたから私は時間通り21時に上がれた。
店を後にして電車に乗り、最寄りの駅に着く。
そして私の家を通り過ぎた辺りで優斗に連絡した。
『もうすぐ着くよ』
春の夜風はまだ肌寒い。
住宅街はひっそりと静かで、空気が澄んでいて昨日の晩とは全く気持ちが違う。
優斗の家が見えてきた。
いつも通り彼は律儀に家の前に立っていた。
「中にいてもいいのに」
「いつも思うけど駅着く前に連絡しろよ」
「だってそしたら優斗、駅まで迎えに来ちゃうじゃん」
「悪いかよ」
そう言って優斗は私の肩に触れてドアを開けてくれる。
温かい明かりが眩しく思えた。
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