黙の月ー神の獣に愛されし紅

ちい

文字の大きさ
上 下
29 / 47

第29話 血の涙と覚悟

しおりを挟む
 黄泉という世界は王という存在にはことごとく服従しつくす世界のようで、望む場所へ簡単にたどり着ける。
 一心がどこでもドアでももってんのかとからかってきたが、とりあえず、私は四次元ポケットレベルの仕事ができるらしいので鼻で笑ってやりすごした。
 いつぞやの泉がこの丘を下ればあるのだと、すぐにわかった。直感というより、表現に困るが脳内Google mapが正しく起動している感じだ。
 黄泉にいると私の五感がやけにさえすぎる。
 気づきたくはなかったが、吹き上がってくる風に血の臭いが混ざっている。
 血の匂いだ。
 私以外の誰もが首をかしげているが間違いない。
 数分前から臭いは濃くなっている。
 強烈な悪鬼の死臭に紛れてはいるが確実に鮮血の臭いがする。
 これは人間の血の香りだ。たった一人の血ではこんなにはっきりと臭いがするはずがない。
 複数が危険な状態に巻き込まれているのは間違いなさそうだ。
 黄泉で戦闘できるのは戦闘特化の時生、一心、壮馬に加えた8名きり。
 その内の一人は壮馬であるから、残りは7名。
 ここに一心、時生、咲貴がいるのだから、先に戦闘をしていたのは残り4名ということか。
 生きていてくれと願いたいが、方々に見える悪鬼の群れをみてその望みがかなり薄いことがわかった。悪鬼の姿形が黄泉使いのそれだということは、いくら黄泉の鬼であっても無傷では済まない。
 時生と一心が盛大に顔をしかめた。
 屠られた穂積一族が悪鬼に転化させられている。
 悪夢を通り過ぎたゾンビゲーム。
 脆弱な首を落せばそれで終わる。だが、それは見知った顔ばかりという苦しみが付属する。
 幾度となく、切り捨て、なぎ倒し、燃やし尽くし半時ほどした時だった。
 冥府に天寿を返し、ある意味で死から最も遠いはずの黄泉の鬼。だが、首をたたれればさすがに役割を果たすことなど出来ない。
 何かに気がついた咲貴が突然駆けだした。
 すぐにそれを追って、彼女から数秒遅れて私は眼前に広がるさらなる絶望を見た。
 胴体と首がつながっていない遺体を咲貴は躊躇せず抱き起こしていた。
 その声は苦しみに満ちた絶叫だった。熊野の黄泉の鬼だったのだろうか。
 名も顔を知らないその人を私が焼き尽くしてやるほかない。
 呆然としている咲貴に退けと小さく声をかけた。
 咲貴は身体を震わせたまま、ゆっくりと立ち上がり、その場を譲ってくれた。
「この人たちを二度殺してはならない」
 現世にいるよりもたやすく炎を呼び出せる。
 指先をパチンとならし、紅蓮の炎を呼び、一体目の遺体を燃やしながら、周囲を見渡した。あれだけの血の臭いだ、絶対に一人のはずがない。
 視界に違和感。赤黒い何かがある。
 そちらへと歩むと背の高いとがった葉をもつ雑草が赤黒く変色している場所をみつけた。
 さらに足を進めていくと、黒色の着物を着ている人影をみつけた。
 指先が震える。その背には梅の紋がある。
 うつ伏せになったままの背に指を当てるとまだあたたかい。
 声にならない声がこぼれ落ちるのを私はもう止められなかった。
 梅の家紋を身にまとってくれていた血族を私は救ってやれなかった。
 私が後少し早くたどりつけていれば救えたかもしれない命がここに倒れている。
 3人が互いを庇い合うように重なるようにして果てている。
 梅の家紋の部分を握りしめるとその拳の上に涙が落ちてくる。
 何だ、私だってこんな気持ちになれるんじゃないかと自嘲気味に笑う。
 悔しいを通り過ぎてもう何の感情なのかがわからない。
 一心がその遺体達をそっと抱き起こし、それぞれに仰向けにしてくれた。
 そうか、あなた方が残りの3名の黄泉の鬼だったのか。
 見開いたままの瞼に手を触れ、そっと閉じてやる。
 いつだったか出雲へ出向いた時に、ガイドだなんだと世話を焼いてくれていた。
 まさか、この人たちが残りの3名だったとは。
 遅すぎた。
 申し訳なかった。
 痛かったろう、苦しかったろう。
 もう闘わなくていい、今助けるという気持ちでパチンと指を鳴らした。
 火柱があがっていく、無情にも私が彼らを焼き尽くす。
 この弔いの煙はもうあいつらにも見えているはずだ。
 この人達が簡単に屠られるはずがない。でも、それが可能だったとしたらその相手は限られる。
「信頼していた者にやられたんだな……」
 壮馬だ。壮馬しかいない。
 皆、壮馬を見て安堵したんだ。
 青天霹靂だったろう。
 ただの悪鬼になどやられるはずのない彼らがあっさりと背を斬りつけられ、首薄皮一枚残すまでに断たれている。
「笑顔であいさつでもされたのか?」
 彼らが抜刀する間もなく、絶命しているのだ。
 微塵も疑っていなかったのだろう。
「どうして、この人達を裏切った?」
 壮馬以外の相手ならば彼らは不意を突かれて背を斬られることはなかっただろう。
 私を今度こそ狩るつもりの壮馬は、確実に石橋をたたく。
 黄泉の鬼に選ばれただけある彼らの戦力はいずれ邪魔になりかねない。
 だから、確実に屠った。
「どうせなら、私一人を狙えよ!」
 荒魂は最も本質に近い、その人の荒ぶる側面という。
 私を心底切れさせて、どうしたかったというのだろう。
 仲間の遺体を見て、茫然自失状態だった咲貴の横顔をみて、自分との違いを痛感したはずだったのに、私も同じだったようだ。
 咲貴のように私は心が優しくはできていない、遺体を見ても、この悲しみを表現できるだけの心がないと思っていたのに、驚きだ。
 私にも王としてすべての黄泉使いを護りたいという思いは一丁前にあったらしい。
 私は燃え行く彼らの亡骸をじっと見つめていられる時間がない。
 悲しみにひたり、嘆くばかりで動けないような私でいてはならない。
 涙をふいて呼吸を整えた。
 咲貴はまだ立ち上がれないでいる。
 咲貴はずっと強いと思っていたけれど、意外と私の方が図太いらしい。
 だから、正気に戻すために冬馬を探せと咲貴に命じた。
 冬馬の名前は彼女の心に火をともすには十分なはず、そう思った。
 咲貴ははっとしたように顔をあげ、静かに頷き、走り去っていく。
 時生が一人で行かせて良いのかと言いかけて、あぁそうかと頷いた。私のそばから望の姿がなくなっているのを確認したらしかった。
「望が無茶はさせない」
 わかったと言って、私より少し前を歩き出す時生の背を眺めながら歩き出すと、すぐ横にいた一心がぼやいた。
「もはや誰もが無茶しかしないの間違いやろ?」
 確かにと苦笑いを浮かべる。そうだな、もう無茶するほかない。
 エレガントに戦う方法などどの教術書にも書いていない。
「道反はどうなっていると思う?」
「穂積の亡骸だらけやろうな」
 一心は淡々と言ってのけているようにみえて、その頬には涙の筋ができていた。
 黄泉の鬼ですらこの状態。
 穂積一族が道反で粘っていたとしても考えられる未来は一つしかない。
 廃棄された人形の山のように、遺体が山積する未来。
 絶望的な景色をこの先にしっかりと自分の目でみることになるに違いないのに、今、目の前に広がっているのは有名画家が描いたような美しい景色。どこまでも済んだクリアブルーの湖に、鮮やかな緑の木々。
 眼前に広がる泉は天国じゃないかと思うほどに美しい。反吐がでるほどにいらだたせる景色だ。
「さすがに同じというわけにはいかないみたいだな」
 見た目は優雅であろうと、漂う死臭は隠しきれていない。
 少し先を行っているはずの咲貴の声がした。
 必死に冬馬の名前を呼んでいる声だ。徐々にその声が悲痛な叫びにかわっていく。
 ここからはまだ咲貴の姿はみえない。
 この小高い丘の先にいる。直感だ。
 膝ほどの高さもある生い茂った雑草の壁に足をとられる。
 かけつけたいが、身体が思うように動かない。痛みはもう麻痺してきているものの、やはり痛んだ。
 先に行ってくれと時生と一心を促したが彼らはダメだと首を横に振った。
 苛立ちの声をあげようとした瞬間、ふいに身体が持ち上げられた。
「置いていくことが出来ない、それだけや」
 一心が私の身体を肩にかけるようにして抱き上げてくれた。
 視界が高く持ち上がる。
 後方にはまだ煙が見えていた。同胞達の亡骸を悪鬼などにくれてやるかと迷う余裕すらなく燃やし尽くしたが、やはり胸が痛い。
 彼らを護るのが私の仕事だったのに、任務不履行とはこのことだ。
 泣くな、歯を食いしばれ。この痛みを私は忘れちゃ行けない。
 逃げるな、見ろと目をそらさずにその煙が立ち上っている方角をみつめた。
 どんなに私がクズでネガティブ馬鹿でも、こんな私が生きていてごめんなさいなんて口にしない。
 私の玉座が血塗れだというなら、それでも構うものかと座ってやる。
 しばらくして、一心がポンポンと私の背をたたいた。おろすぞという合図だ。
 地に足をつけて、振り返る。
 咲貴が血塗れの冬馬をかばうように立ち抜刀していた。
 冬馬は片膝をつき、刀で身体を支えながら肩で息をしている。
 激しい攻防の跡は、その着ている装束をみれば一目瞭然だ。
 黒色の布地がさらに重々しい黒にかわっている。
 咲貴の長くさらさらとした綺麗な髪が血に塗れていた。背に大きな傷痕をつけられ、津島の桜紋が真っ二つに裂かれている。
 2人ともまだ無事だ。
 そう思うと、ほんの少しだけ勝った気になる。
 時生が私の意をくんでくれたかのように、風の壁をつくり、一心が2人の身体を抱きあげて退避させてくれた。
 冬馬が私を見上げる目は怯えなのか、罪悪感なのか、どうにも緊張しているよう。
 いつもの幼なじみの彼の目ではない。
 近くに顔を寄せてみると、さらにその目に緊張が走る。
 見れば見るほどにボロボロ、傷口は深く、布で縛るくらいのことをしなければ出血もただではすまないほどにやられている。
 わずかに目をそらした後、まだ戦えると立ち上がろうとする冬馬。
 最後の最後まで粘って、それでもダメなら相打ちとでも考えていそうだと思っていたが、冬馬はまだ自分自身を諦めず、投げ出すつもりはなかったようだ。
 私はそれが嬉しくて、無意識に冬馬を抱きしめていた。
「俺は穂積だ」
「いいや、お前は宗像だ」
 冬馬の体が震えている。大丈夫だとしっかりと抱きしめる。
「今、決めたことがある。 私の代では津島も穂積も白川もない。 皆、宗像だ」
 いちいち線をひくことはしない。
 線を引くからこうなった。
 王1人を護り、それが何になる。
 王というものはそれを王と呼んでくれる多くの仲間がいてこそのものだ。
「これまでの穂積が何をしていようと、津島が何をしていようと、白川が何をしていようと私は知らない。 ただし、私がおかしいと思うことはすべて覆していく。 そう決めた」
 穂積が何をしてきたのか。
 津島が何をしてこなかったのか。
 白川が何をみようとしなかったのか。
 そして、宗像が一人で何を背負おうとしてきたのか。

「泥を飲むのはそもそも大将のやることだ。 だから、黙ってみていればいい」

 古の血族であり続ける必要性はある。
 だが、維持方法が間違っていたのだ。
 ゆっくりと立ち上がり、視線をあげる。
 あの時と同様に泉を挟んで立っている。
 彼女の横には壮馬、私の側には一心と時生。そして、負傷してはいるが冬馬と咲貴がいる。

「負ける気がしないだろう? なぁ、冬馬」

 一人では闘わない。
 私は皆で闘う。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

処理中です...