黒ヒツジ

サンタ様

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自分がおかしかっただけ…

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気がつけば路地を出ていた。真っ暗な場所から人混みへと逃げてきた。さっきまで僕を追っていた何かはもう追ってはきてないようだった。僕はほっと、息を吐いた。あいつらは何か、を考える。誰だ、思い出せない、そもそも人なのか?なにも分からなかった。でも、一つ言えることがあるとするのならば…僕は異常なのだろう。なにせ…みんな僕を恐れているかのように逃げていくのだから。周りは僕を化け物のような目でみる。僕は、人か?わからない。僕は僕から逃げる人の目線から逃げて、トイレに行った。すぐに、安心したかった。鏡をみて、自分が人間だと言うことを確認して、安心したかった。鏡の前の前に行く。まだ、自分からは自分の姿は確認できない。そこに立って、不安が僕をおそった。もしかして、人間ではないのでは?化け物なのでは?僕の、手を見る。人間の手だ、どこからどう見ても…僕は勇気を振り絞り、鏡の前に立った。そこに映ったのは…首のない、自分だった…


「は?…嘘…だろ……?」

自分の頭に手を伸ばす、確かに感触はある。鼻も、目も、口も、耳も、髪も、ある。でも鏡には映っていない。何が…僕の身に起きているんだ…こんな体じゃ…生きていけないよ……僕は鏡の前で、膝から崩れ落ちた。すると、

「何やってんのこんなところで。邪魔なんだけど。早く退いてくんね?」

僕はそいつらに自分のあるはずの頭を隠しながら立ち上がった。

「何やってんのお前。ないものを隠したって無駄だろ。変な奴だな。」

僕は隠すことをやめた。この人は、僕の理解者だと感じたからだ。ないことを認めている、そんな気がした。それは間違ってはいなかったのだが。そいつは僕に向かって何かを投げた。その何かは僕の横を過ぎ去っていく。そして、後ろで何かが切れる音がした。振り向くと、トイレが真っ二つに切れていた。死。それを感じた僕は、あいつを押しのけ、逃げた。

「おい!テメェ!バルトのくせに逃げてんじゃねぇぞ化け物が!」

走った。そうだ。僕はこいつらから逃げてきたんだ。走る。走る。走る。殺されてたまるか!物が、切れていく。ポスト、看板、家…全てが豆腐のように切れていく。僕には何か力はないのか!!クソっ!
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