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第一章 宮田颯の話
1-3 意思を無視する
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「今日さ、うちの学校にアルファが来たよ」
22時の桃との通話。
今日は仕事を終えるのが早かったのか、化粧を落とし風呂にも入ったラフな姿の桃が映し出される。
桃は自分の店での役割を『カワイイ』なのだと思っている。
人の好みは様々だが、自分が親から貰ったその可愛らしい顔はそのまま生かしていくべきなのだろうと。
だから可愛いを目指し彼は化粧をし、求められるように少し幼さを加えて話す。
自分の役割は、『劣等種の馬鹿で多少可愛いオメガなのだ』と。
『はやてちゃんの学校、普通の学校じゃなかったっけ』
ほわほわの頭が画面の向こうで揺れた。
「そうだよ。アルファなんか生きてる世界が違う。今まで見たこともなかった」
住んでいるところだって別れているのだ。
決まりがあるわけじゃない。ただ自然と別れている。
俺や桃が住んでいるのはベータやオメガばかりの場所だ。
桃はそれを楽だという。
仕事柄アルファの体液を注がれることもあり、彼は発情期がずれやすい。予定外の発情期が来てしまっても、周りがベータやオメガばかりならば問題ない。
「なぁ桃。アルファとやったことあるんだよな。怖くない?」
『んー、怖いけど、』
突然俺の目の前に現れた上条を俺は怖いと思った。
あんなものと対峙している桃を凄いとも思った。
『でもちょっとねー、馬鹿だなぁって心の中で笑ってるよ』
へへっと桃は笑う。
「どういうこと?」
『アルファでお店に来る人ってね、自分はオメガのフェロモンなんかに負けないって思ってるんだよ。だから抑制剤を飲んでいない発情期のオメガを注文するんだ』
ふわふわ笑うように喋る桃は、でもね、と続ける。
『沢山の人とやったわけじゃないけど、来た人は全員、ボクに中出ししていったよ』
きゃははと馬鹿にした笑い声。
『負けないと思ってて、でも実際にそんなのと遭遇したら怖いからわざわざお店で試すんだ。それで負けるとかほんと、バカみたい』
いつもの夢見る桃とは違う、現実を知る彼の心の中を見た気がした。
実際にオメガ性なんぞに負けないと思っているのなら、アルファが薬を飲む必要はない。
アルファの薬はオメガのものとは違うらしいけれど、それだって多少の副作用はあるだろう。
アルファも服薬することが一般的だということは、発情期のオメガに本能が負けてしまうということを意味する。
そう考えれば確かに、結局そんなものなのかと思えそうな気はした。
「そっか。俺もこいつは結局下半身に負けるんだなって思えば怖さもなくなりそうかも」
『その子がいい子で、はやてちゃんのただの友達になれたらいいけどね』
現実は友達なんかなれないけど、と桃は暗に匂わせた。
俺たちが心の中でアルファを馬鹿にして生きようと、所詮オメガは地を這う者なんだ。
望めど友人にはなれず、なんだったら視界に入らないことすら望めない。
『よくわかんないよ。お父さんは優しかったからアルファを嫌いなわけじゃない。でもお店に来るのはろくでもない人ばかり。なのにボクは、運命の人を信じてる。優しくってボクだけを好きになってくれる人』
「うん」
『ただ、――助けてくれる人が欲しい』
桃が零したそれはきっと、全てのオメガが願うこと。
***
「おはよう」
「あ、ああ、おはよ」
桃と話した後、すぐに眠りについた。
家は自分の陣地だからきっとストレスなく心が落ち着いていることも、副作用の緩和に役立っているのだろうと思う。
辛ければ寝込んでしまえばいい。
痛い苦しいと叫んでもいい。
でも学校は違う。
「具合悪いの?」
「俺オメガだから、ほっといて」
きっとわかっているだろうに、そう言って上条を遠ざけた。
お前にとっても良いことないよと言いたかった。
「良い匂いがするからわかるよ。もし手伝えることがあったら声かけて」
手で追い払うようにやったのに、返ってきた声は優しい。
「薬効いてねーの?」
「効いてる、はず」
日暮の問いに曖昧な答えを返す。
薬は効いている。効いていると思う。
この頭痛は副作用。でも発情期特有の熱っぽいのが下がらず、身体が苦しんでいるのがわかる。
近くにアルファが――上条がいるせいで身体が強く反応しているのかもしれない。
だとしたら本当に迷惑なことだ。
こいつはなんで俺の隣なのだろう。
後で先生に席を変えるように頼もう。
もし本当にこいつのせいで俺の体が過剰反応しているというのなら、俺はこいつがいる間まともに学校には来れない。
そう訴えれば席を変えることくらいはしてもらえるはず。
「日暮あとで、いろいろきく」
頭が痛い。体が熱い。手が上がらない。瞼が上がらない。
音が遠くなっていく。身体が重くなっていく。
いつの間にかそうして意識を失った。
目が覚めたのは見覚えのある保健室だった。
窓が見えず時間は分からないが、騒がしくないからそんなに長いこと寝ていたわけではないのだろう。
しっかり肩までかけられた布団の下で汗をかいている。
首筋を触り、このまま汗をほっておくと痒くなりそうだなと思った。
欠伸をして起き上がる。
重く鈍い頭痛は健在だが、体の熱は少しは引いたようだった。
「せんせー」
仕切りのカーテンを開け保健室の先生がいる場所を見るが誰もいない。
起きてしまった以上このまま寝ているのもなんだし授業には戻りたい。
でも。
時計は10時を指している。
でも、教室に戻るとアルファがいる。
出来ればせめて席替えをして欲しいし、それなら休み時間までここにいてもいいだろう。
俺のクラスには他にオメガはいない。
それなら俺から離すだけで済むし、近くにアルファが来ることを喜ぶ奴らも多いだろう。
昨日の登場時の歓声はすごかった。
自分たちと違う生き物だとみんな認識しただろうし、それと仲良くなりたがるやつはいる。
また欠伸を一つ。
これは酸素が足りていないのかもしれないなと思いつつ、先ほどのベッドに戻る。
上履きを脱いでぽてりと転がる。
大人しく寝ているっぽく布団を寄せた。
桃とはそんなに長く話していたわけじゃない。寝不足はない。
あの話を聞いて、今は怖いというより迷惑だという気持ちが勝っている。
あいつはさっき「良い匂いがする」といった。
あいつに感じられる程に、身体が抑制剤を超えて反応している。
オメガ性として自分の意思を無視し体が反応している。
あまりにも動物的な虚しさがあった。
22時の桃との通話。
今日は仕事を終えるのが早かったのか、化粧を落とし風呂にも入ったラフな姿の桃が映し出される。
桃は自分の店での役割を『カワイイ』なのだと思っている。
人の好みは様々だが、自分が親から貰ったその可愛らしい顔はそのまま生かしていくべきなのだろうと。
だから可愛いを目指し彼は化粧をし、求められるように少し幼さを加えて話す。
自分の役割は、『劣等種の馬鹿で多少可愛いオメガなのだ』と。
『はやてちゃんの学校、普通の学校じゃなかったっけ』
ほわほわの頭が画面の向こうで揺れた。
「そうだよ。アルファなんか生きてる世界が違う。今まで見たこともなかった」
住んでいるところだって別れているのだ。
決まりがあるわけじゃない。ただ自然と別れている。
俺や桃が住んでいるのはベータやオメガばかりの場所だ。
桃はそれを楽だという。
仕事柄アルファの体液を注がれることもあり、彼は発情期がずれやすい。予定外の発情期が来てしまっても、周りがベータやオメガばかりならば問題ない。
「なぁ桃。アルファとやったことあるんだよな。怖くない?」
『んー、怖いけど、』
突然俺の目の前に現れた上条を俺は怖いと思った。
あんなものと対峙している桃を凄いとも思った。
『でもちょっとねー、馬鹿だなぁって心の中で笑ってるよ』
へへっと桃は笑う。
「どういうこと?」
『アルファでお店に来る人ってね、自分はオメガのフェロモンなんかに負けないって思ってるんだよ。だから抑制剤を飲んでいない発情期のオメガを注文するんだ』
ふわふわ笑うように喋る桃は、でもね、と続ける。
『沢山の人とやったわけじゃないけど、来た人は全員、ボクに中出ししていったよ』
きゃははと馬鹿にした笑い声。
『負けないと思ってて、でも実際にそんなのと遭遇したら怖いからわざわざお店で試すんだ。それで負けるとかほんと、バカみたい』
いつもの夢見る桃とは違う、現実を知る彼の心の中を見た気がした。
実際にオメガ性なんぞに負けないと思っているのなら、アルファが薬を飲む必要はない。
アルファの薬はオメガのものとは違うらしいけれど、それだって多少の副作用はあるだろう。
アルファも服薬することが一般的だということは、発情期のオメガに本能が負けてしまうということを意味する。
そう考えれば確かに、結局そんなものなのかと思えそうな気はした。
「そっか。俺もこいつは結局下半身に負けるんだなって思えば怖さもなくなりそうかも」
『その子がいい子で、はやてちゃんのただの友達になれたらいいけどね』
現実は友達なんかなれないけど、と桃は暗に匂わせた。
俺たちが心の中でアルファを馬鹿にして生きようと、所詮オメガは地を這う者なんだ。
望めど友人にはなれず、なんだったら視界に入らないことすら望めない。
『よくわかんないよ。お父さんは優しかったからアルファを嫌いなわけじゃない。でもお店に来るのはろくでもない人ばかり。なのにボクは、運命の人を信じてる。優しくってボクだけを好きになってくれる人』
「うん」
『ただ、――助けてくれる人が欲しい』
桃が零したそれはきっと、全てのオメガが願うこと。
***
「おはよう」
「あ、ああ、おはよ」
桃と話した後、すぐに眠りについた。
家は自分の陣地だからきっとストレスなく心が落ち着いていることも、副作用の緩和に役立っているのだろうと思う。
辛ければ寝込んでしまえばいい。
痛い苦しいと叫んでもいい。
でも学校は違う。
「具合悪いの?」
「俺オメガだから、ほっといて」
きっとわかっているだろうに、そう言って上条を遠ざけた。
お前にとっても良いことないよと言いたかった。
「良い匂いがするからわかるよ。もし手伝えることがあったら声かけて」
手で追い払うようにやったのに、返ってきた声は優しい。
「薬効いてねーの?」
「効いてる、はず」
日暮の問いに曖昧な答えを返す。
薬は効いている。効いていると思う。
この頭痛は副作用。でも発情期特有の熱っぽいのが下がらず、身体が苦しんでいるのがわかる。
近くにアルファが――上条がいるせいで身体が強く反応しているのかもしれない。
だとしたら本当に迷惑なことだ。
こいつはなんで俺の隣なのだろう。
後で先生に席を変えるように頼もう。
もし本当にこいつのせいで俺の体が過剰反応しているというのなら、俺はこいつがいる間まともに学校には来れない。
そう訴えれば席を変えることくらいはしてもらえるはず。
「日暮あとで、いろいろきく」
頭が痛い。体が熱い。手が上がらない。瞼が上がらない。
音が遠くなっていく。身体が重くなっていく。
いつの間にかそうして意識を失った。
目が覚めたのは見覚えのある保健室だった。
窓が見えず時間は分からないが、騒がしくないからそんなに長いこと寝ていたわけではないのだろう。
しっかり肩までかけられた布団の下で汗をかいている。
首筋を触り、このまま汗をほっておくと痒くなりそうだなと思った。
欠伸をして起き上がる。
重く鈍い頭痛は健在だが、体の熱は少しは引いたようだった。
「せんせー」
仕切りのカーテンを開け保健室の先生がいる場所を見るが誰もいない。
起きてしまった以上このまま寝ているのもなんだし授業には戻りたい。
でも。
時計は10時を指している。
でも、教室に戻るとアルファがいる。
出来ればせめて席替えをして欲しいし、それなら休み時間までここにいてもいいだろう。
俺のクラスには他にオメガはいない。
それなら俺から離すだけで済むし、近くにアルファが来ることを喜ぶ奴らも多いだろう。
昨日の登場時の歓声はすごかった。
自分たちと違う生き物だとみんな認識しただろうし、それと仲良くなりたがるやつはいる。
また欠伸を一つ。
これは酸素が足りていないのかもしれないなと思いつつ、先ほどのベッドに戻る。
上履きを脱いでぽてりと転がる。
大人しく寝ているっぽく布団を寄せた。
桃とはそんなに長く話していたわけじゃない。寝不足はない。
あの話を聞いて、今は怖いというより迷惑だという気持ちが勝っている。
あいつはさっき「良い匂いがする」といった。
あいつに感じられる程に、身体が抑制剤を超えて反応している。
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