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第16章…体育祭

徒競走

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―――



 新学期になってから3週間くらい過ぎて、すっかり秋になった。
2日後には体育祭が行われる。

そして2ヶ月後には文化祭もある。秋はイベントが多くて楽しみだ。


授業前の休み時間。次の授業は体育。
オレは太陽が照りつけるポカポカしたグラウンドでサッカーをして遊んでいた。
1人で黙々とリフティングの練習をする。


すると、制服を着た2人の女の子がこっちへ向かってくるのが見えた。
1人はオレの大切な彼女、美希。


「こんにちは、竜先輩」

「お、おっす、美希」


この時間に美希が会いに来てくれるなんて思わなかったので、オレは驚いた。
そして、嬉しい。美希と一緒にいるとドギマギしてしまうクセを直したい。


もう1人は、知らない女の子だった。
その女の子の特徴は、黒髪のポニーテール、頭に赤いリボンをつけた大人っぽい印象の女の子。


「こんにちはー! 初めまして、滝川先輩ー。私、美希の親友で同じクラスの宮澤みやざわ愛美まなみといいまーす! ちなみに部活はブラスバンド部でーす。よろしくですー!」

「あ、ああ、よろしく」


宮澤さんと名乗ったポニーテールの女の子は元気にニコニコしながらオレに挨拶してきた。

美希の親友か……知らなかった。彼氏なんだからそのくらいは知っておかないといけないだろう。


「すいません竜先輩。愛美が竜先輩に挨拶したいって言うもので……」

「そうですよー! 美希の彼氏さんなんですよね? 一度くらいは挨拶しないとって思ったんですよ!」

すごく明るくていい子そう。さすが美希の友達。


「竜先輩ってサッカーもお上手なんですね! 私、竜先輩がリフティングを落とさずにずっと続けてるの教室から見てましたよ。すごいですね」

「っ……!」

確かに2年校舎の教室からグラウンドが見えるようになっているが、まさか美希に見られていたとは。
美希に褒められて、オレは照れた。


「そうなんですよ、聞いてくださいよ滝川先輩! 美希ったら最近いっつも滝川先輩の話ばっかりして惚気るんですよ? さっきだってサッカーしてる滝川先輩をずっと教室の窓から眺めてて見惚れてたんですから!」

「ちょっ、愛美! 言わないでよ恥ずかしい!」


美希は顔を真っ赤にして宮澤さんの口を塞いだ。

美希がオレに見惚れてくれてた……? そんなに嬉しすぎることがあるのか? 顔が緩んでしまう。調子に乗ってしまいそうになる。


「じゃ、じゃあ次の授業が始まるので、これで失礼します。体育頑張ってくださいね、竜先輩!」

美希が照れくさそうにそう言って宮澤さんを連れて校舎に戻っていった。


「う……うん、またな、美希。それと、宮澤さん」


帰っていく美希の後ろ姿をガン見する。
歩く度にヒラヒラと揺れるミニスカート。そのミニスカからチラチラと見える白い太もも。


ああ……今日も相変わらず可愛いな……美希。

しばらく美希に見惚れていたオレは、親友の柏崎に話しかけられるまで上の空だった。



―――



 そして、とうとう体育祭の日がやってきた。

オレら3年生にとって最後の体育祭。悔いのないように、受験勉強のことは今日は忘れて大暴れするつもりである。


青葉高校の体育祭は、赤組と白組に分かれて行われる。学年は関係なく、クラス別に赤と白に分けている。

オレのクラスは白組、美希のクラスも白組だ。美希と同じ組になれて嬉しい。


様々な競技が行われ、オレは棒倒し、玉入れ、リレーに出場する。

特にリレーは、一番最後にやる競技であり、赤組と白組との戦いの決着をつける重要な競技である。


 オレは朝早くに学校に来て、開会式が始まる1時間前にグラウンドで入念にストレッチを行う。

他の人も気合いが入っているみたいで、すでに何人かがグラウンドで準備している。
だが、気合いではオレも負けない。
競技で活躍して美希にいいところを見せる。そして白組を勝利に導く!

ストレッチしてると、武井に会った。


「よう、滝川」

「……おっす、武井」


武井は赤組だから敵だ。しかも、最後のリレーで対決する。体育祭でもオレの前に立ちはだかるライバルだ。


「滝川、今日の体育祭は楽しみだな。言っとくけど、負けねーぞ」

「オレだって負けねーぞ!」


オレにとって武井の存在は大きい。ずっと超えたいと思っていた目標だ。かなり燃えてきた。



 開会式の時間が近づいてきて、だんだんと生徒が集まってきた。

オレは頭に白のハチマキを巻きながら、辺りを見て知り合いを探す。


体操服を着た女子たちがいっぱいいる。今日は体操服を着用した美希を見れる。クラスも学年も違う女子の体操服姿なんてなかなか見れる機会はないが、今日は確実に見れる。


……体操服の美希を想像したらドキドキしてきた。
いかんいかん……今日は最後の体育祭だぞ。もっと集中しないと……!


「竜せーんぱいっ」


! 美希!!
いつの間にか、目の前に美希が立ってニコニコしていた。


「あ、お、おう、美希。おはよう」

「おはようございます、竜先輩。体育祭、頑張りましょうね」

「あ……ああ!」


当然オレが期待してた通り美希は体操服を着ていた。

白のハチマキを巻き、長い髪をサイドテールにまとめ、ウサギの形をした髪飾りをつけている。
白の体操服を押し上げる豊満な胸。紺の短パンからスラリと伸びた白くてムチムチした太もも。


……いい……! 体操服を着た運動モードの美希もめちゃくちゃ可愛い。めっちゃエロい。体操服最高。

美希と付き合い始めてからまだ2ヶ月くらいしか経ってないけど、水着、浴衣、私服、体操服といったいろいろな姿の美希を見ることができて、マジで目の保養になる。


「……竜先輩、あまりジロジロ見ないでください……」

「あ、ご、ごめん!」


オレは慌てて美希から目を逸らす。
……まずいな。美希が可愛すぎて、ドキドキして集中できなくなってきた。



―――



 というわけで体育祭が始まった。午前の部スタート。

美希がさっそく競技に出るらしい。これは必見だ。同じ白組だし、彼氏としてしっかりと応援する。


まず最初に美希が出場する競技は徒競走らしい。
美希の出番が来たとき、オレは美希が見やすいように応援席の一番前に行った。柏崎もオレと一緒に美希を応援するらしい。


「なあ滝川、桐生さんの体操服姿いいな~」

「当たり前だ」


 美希と他の女子が位置について、よーい……

ドン!!


女子たちが一斉に走り出した。


「頑張れ美希ーっ!!」


オレは大声で美希に声援を送る。美希は全力で走る。美希が走る姿を瞬きもせずに目に焼きつける。


タタタタ…………
タタタ……
タタ…


……非常に言いにくいが、美希はめちゃくちゃ足が遅い……

美希が運動苦手なのは知っていたけどここまでとは。5人で競い合う徒競走だが、美希がぶっちぎりで最下位だ。美希はぎこちない走りで、必死に前の走者を追いかける。

遅いけどすごく頑張っているのは伝わるし、何より可愛いからOK。鼻血出そう……
……つーか……かなりエロい。


美希の胸が上下にたゆんたゆんと揺れている。息を切らして、汗が飛び散り、乱れてかなりエロい表情になっている。

これは……ベッドの上で喘いでいる時と同じ顔をしている……!

ヘタなAVよりもエロい。いいのかコレ……小さい子供も見ているというのに、あんなにエロい走りをしていいのか。


……体育祭中だというのに勃起してしまった。

大きな胸を揺らして、顔を紅潮させてハァハァしてる可愛い女の子を見せられたら、勃起するなと言われても無理だ。

まぁ、走っている美希を見て興奮したのはオレだけじゃないはず。
隣の柏崎を見る。よく見ないとわからないが下半身を隠すような体勢になってる。柏崎も勃起してることを察したオレは見なかったことにした。

周りを見てもほとんどの男たちが走る美希に釘付けになっていた。男子生徒も、父兄の人たちも、先生までもが、美希に夢中になってる。


……美希はオレのものだ。エロい美希を見ていいのはオレだけだ。なのに今大勢の男に見られてて、正直オレは気に入らない。
体育祭だから仕方ないんだけど。
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