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第13章…初体験

心臓がいくつあっても足りない

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―――



 美希との行為が終わってしばらく時間が経ってもも、身体の熱はなかなか冷めない。
壊れるほどに興奮し、溶けるほどに愛し合った。

オレの隣にいる美希を見る。美希は身体を火照らせ、息を荒くしながら恍惚としていた。


「……大丈夫か、美希」

まだぐったりとしている美希に声をかけた。

「……はい、大丈夫ですよ」

美希は顔を赤くしたままニコッと笑った。


「……もっと優しくできればよかったんだけど……ちょっと乱暴になっちまった。ごめん」

「そんなことないです。十分優しかったですよ。私嬉しかったです」

「そ、そうか……?」

「そうですよ。竜先輩はどうでしたか? 気持ちよかったですか……?」

「溶けるかと思うくらい気持ちよかった」

「あはは、なんですかそれ」


笑い合うオレと美希。お互い全裸でベッドに寝そべる。
すると、美希が腕を絡めてきた。


「お、おい、どうした美希?」

「えへへ……」


……可愛すぎる。オレはデレデレすることしかできない。


オレの左腕に柔らかい胸が当たって、ドキッとする。

右手で美希の胸を触る。弾むような弾力。さっきから何度も美希の胸を触ってるけど、全く飽きない。


「……竜先輩、もう元気になってませんか……?」

「……いや、これは不可抗力というか……」


あんなに激しく身体を重ねたばかりなのに、また勃起してしまった。体力には自信があるけどさすがに復活するのが早すぎる。

それだけ気持ちよかったということだ。1回じゃ足りない。何度でもヤりたくなる。
もう完全にどっぷりと美希とのセックスにハマってしまった。


「……美希……もう1回、いいか?」

「……もう、エッチ」


美希はプイッと顔を逸らしながらもコクッと頷いてくれた。


ヤれる……! もう1回ヤれる!!

すぐに元気を取り戻したオレは新しいゴムを用意し2回戦突入の準備は整った。



 ―――その時だった。


ガチャッ


「!!!!!!」


家のドアが開く音がかすかに聞こえた。
誰かが帰ってきた。

ビクッとしたオレに対し、美希はきょとんとした表情で上半身を起こす。


「あの、竜先輩? どうかしましたか?」

「……どうやら、ウチの家族が帰宅したみてーだ。この足音は父さんだな」

「そうですか……ちょっと残念ですけど2回目のエッチはまた今度にしましょう。見られたら恥ずかしいですし、音を聞かれるのも恥ずかしいですし」

「……ああ……そうだな……」


時計を見る。午後5時34分。
おかしいな、父さんは普段こんなに早く帰ってこないのに。なんで今日に限って……


……くっそー!! 美希ともう1回セックスしたかったぁー!!

オレは心の中で悲痛の叫び声を上げた。
テンションがガタ落ちしたオレの頭を、美希がそっと撫でてくれる。


「そんなにガッカリしないでください。次はもっと気持ちよくなってもらえるように頑張りますから」

「……美希……!」


美希の笑顔を見るだけでオレのテンションはまた最高潮に達した。HPも全回復した。本当にチョロすぎる、オレ……

まあオレがチョロいとかは置いといて、オレたち裸なんだから服を着なくては……



―――



 その後、父さんに美希を紹介して普通に挨拶した。

オレみたいなしょぼい男にこんなに可愛い彼女がいるとは思ってなかった父さんはメチャクチャびっくりしていた。
まあオレ自身美希と付き合えるとは夢にも思ってなかったから驚くのもわかるけど。


……オレもいつか美希の家に行って、美希のご両親に挨拶しないとな……
彼女のお父さんといったらメチャクチャ怖い人なのがお約束だよな。正直不安だ。
でも避けては通れない道。美希を想う気持ちは誰にも負けないから恐れずにぶつかっていくつもりだ。



―――



 夜になり、オレは美希を家まで送ることにした。

暗い夜道を美希と手を繋いで歩く。

美希の手は柔らかくて、暖かくて、すべすべしてて、小さくて……ドキドキして、自分の手に汗が滲む。


「……竜先輩」

「うぇっ!? な、なに?」


ドキドキしすぎて、話しかけられただけでテンパってしまう情けないオレ。


「私たち、カラダの相性すごくいいと思うんですよ」

「っ!?」


エロい話題が飛んできてオレは心臓が跳ね上がった。


「竜先輩って、今日が初めてだったんですよね?」

「えっ……あ、その……」


っ、とかあっ、とか言いすぎだろ情けない。

オレ、初めてだって美希に言ったっけ? ついさっきまで童貞だったって言ったっけ……?
いや、セックスの時テンパりまくりだったからバレバレか……


「初めてとは思えないくらい気持ちよかったから……私たち絶対相性いいですよ」


「っ……!」


オレと美希がカラダの相性がいい……? もし本当にそうだとしたら、オレは運命を信じる。必ず。

気持ちよかったって言ってくれたのがお世辞だとしても気遣っただけだとしても、単純なオレは舞い上がるほど嬉しくて、ただひたすら赤面する。


「……本当に気持ちよかったですよ?」

考えていることを見透かされているのか、美希は上目遣いでオレの顔を覗き込んできた。

オレの心臓が撃ち抜かれる。なんでこの子はこう、オレのツボにドハマりするようなことばかりしてくるんだ。


「あ、ありがとう……そう言ってくれるのは本当に嬉しいよ」

「むっ、信じてませんね。少しは自分に自信を持ってください。痛みもありましたけど、本当によかったのに……」

ほっぺたをプクッと膨らませる美希。またしてもオレの心臓は撃ち抜かれた。心臓がいくつあっても足りない。


「あ、じゃあこうしましょう。気持ちよくしていただいたお礼に、1つだけなんでも質問に答えちゃいますよ!」

「えっ!? いや、お礼したいのはむしろこっちの方なんだけど……」

「いいから! 私の気が済まないんです」


な、なんでも質問に答えてくれる……!?
美希のこともっともっと知りたいと思っていたオレにめっちゃ好都合な展開がきた。

なんでもと言われるとエロいことしか思いつかない悲しい男の性……

自分の本能に正直になってみた結果、今一番知りたいのは美希の胸は何カップか……
いやいくらなんでもこれは引かれるって。普通は誕生日とか血液型とか好きな食べ物とかだろう。

まともな質問しようとしてもオレの視線はつい美希の胸に行ってしまう。己の煩悩が憎い。


「……胸はFカップですけど」

「っ……!?」


言ってないのになんでわかるんだよ。普通に心を読まれて本当に恥ずかしい。
いや心を読むまでもないか。ジロジロ胸を見てるのバレバレだし。

……Fカップか……少なくともEはあるだろうとは思っていたが。
美希はFカップ……人生で一番有益な情報だと思う。この情報だけでしばらくはオカズに困らなさそうだ。


「ふふっ……竜先輩のことならよくわかりますよ」

「……まあ、オレってめちゃくちゃわかりやすいからな……よく言われるんだ」

「それもありますけど、私が一番よくわかってる自信があります。
―――好きだから」


そう言った美希は手を繋いだまま身体を密着させてきた。

いい匂いがふわりと広がり、心臓の鼓動が超高速になる。


「っ……! く、くっつきすぎだよ、美希っ」


熱がグングンと上がる。顔を真っ赤にしてデレデレするオレ。
勃ってしまいそう……あ、いや、もう勃ってる。


「竜先輩のハジメテの相手になることができてとても嬉しいです」


美希はオレの腕に頬をスリスリと擦りつける。
甘えてくる美希が可愛すぎて、たまらず抱きしめる。

そして、月の光に照らされながら、オレと美希は熱いキスをした。


―――
愛してる、美希。どうしようもないくらい。美希への想いが無限に溢れてくる。

好き……
好き……
大好きだ……

しつこいと言われてもずっと好きって言いたい。何回でも言いたい。何回言っても足りない。
美希のことが好きすぎて、狂っている。狂うほど愛してる。
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