11 / 29
第3章…俺の推しはお色気要員
推しの家でお風呂タイム②
しおりを挟む
いや、ちょっと待て。落ち着いてよく考えよう。
俺は入浴していて、俺の後ろで柚希が背中を流してくれて、柚希はバスタオル1枚巻いただけの姿で。
で、柚希の身を包んでいたはずのバスタオルは今、バスルームの床に置かれている。
ということはつまり……
柚希は今、素っ裸……スッポンポン……!?
「柊斗くん……今だけは絶対に、振り向かないでほしい……お願い」
「……!!!!!!」
俺の背後で、柚希の恥ずかしそうな声が……
これ確実にスッポンポンじゃないか。
マジかよ……今、俺の後ろに全裸の推しヒロインがいるのかよ。信じられない。
いや、バスルームで素っ裸になるのは当たり前なんだけど、今は俺がいるのに、なんで……!?
ゴクリと生唾を飲み込む。心臓が口から出そうなくらいドキドキする。
目の前には鏡。鏡は曇っていてよく見えない。もし鏡が曇ってなかったら、裸の柚希が映し出されているのか……?
今この瞬間ほど背中に目があったらよかったのにと思ったことはない。見てないけど見えないけど、神のようにスタイル抜群だ。
そして見てないけど見えないけど、自らの身体に泡立てたボディーソープを塗りたくっている柚希の姿がある。そんな音が聞こえる。
……え……まさか……ウソだろ……さすがにそれはないだろ、冗談だろ。いくらなんでもそこまでは……
―――むにゅっ
「!!!!!!!?!?!?」
柚希は俺の身体を後ろから抱きしめた。見なくてもわかる、見るまでもない、間違いなく裸の感触。
今……俺の背中には豊満で柔らかい二つの乳が押し当てられている。というか押し潰されている。
「おっぱいで洗ってあげる」
「……!!!!!!」
押しつけた乳をゆっくりとした動きで背中に擦りつけていく。
むにゅむにゅと、泡まみれの柔らかい感触が背中を滑る。
ああああああ!!!!!!
俺の魂の叫びが心の中でだけ大きく響く。
これはダメだ。これはえっちすぎる。俺の煩悩火山は大噴火した。俺の心の中ではとんでもない未曾有の大災害が吹き荒れて、とにかくかつてない性的興奮が俺をボコボコグチャグチャに蹂躙する。
こんなん原作のデータにはないぞ、どうなってるんだ。原作じゃ一番過激なシーンでもマイクロビキニで抱きついて押し倒してくるというものだった。素っ裸で抱きつかれて乳を擦りつけられるなんて童貞の俺にとって未知の領域。前世で行った風俗はノーカンだ。
「ねぇ、どうかな? 気持ちいい?」
「~~~ッ!!!!!!」
大きな胸で身体を擦られるのは柔らかくて気持ちよすぎる。気持ちよすぎて気持ちいいって返事できないくらい気持ちいい。幸せすぎて二度目の死がすぐに来るんじゃないかって思うほどだ。
「すごく気持ちよさそうだね、嬉しい……好きだよ、柊斗くん」
「!!!!!」
また『好き』って言われた。しかし今度は裸で抱きつかれて胸を押しつけられながら、耳元で甘く囁くように言われた。
柚希の声可愛すぎるんだよ、反則すぎる。彼女の可愛い声といい匂いで俺はゾクゾクして脳髄から蕩けそうになった。
「柊斗くん……お願い、私を選んでほしい。他の子とくっついちゃやだ」
「……!!」
そうか……柚希は他のヒロインに対抗するために身体を張ってここまで過激なことを……他のヒロインに差をつけられている現状を打破するために……
「私を選んでくれたら毎日こういうことしてあげるよ。柊斗くんのためならなんでもする……エッチなことだっていっぱいしてあげる……私の身体、いくらでも好きにしていいんだよ……? だからお願い、柊斗くん……」
「……ッ……!」
彼女の声は震えてて、切なげだった。今の彼女の姿は見ないようにしているが、泣きそうな瞳で、懇願するような表情をしているのが伝わってくる。
柚希の必死な気持ちを聞いた俺は拳を震わせて握りしめた。俯いて前を見れなくなる。
柚希を選べば毎日こういうことできる……? いくらでも身体を好きにしていい……? 思う存分そのでかい胸を揉んだり吸ったりぱふぱふしたり挟まれたりしてもいいってことか……?
そんなの男はみんな嬉しいと思うよ。だけど……そんなの……それって……
それって絶対負けるやつじゃねぇか……!!
それで勝ったら身も蓋もない。物語にならない。だから絶対負ける。
彼女は健気にすごく頑張っている。しかしお色気要員という設定である以上、こういうことしかできない。どうあがいても負けフラグを乱立して完全敗北する運命。
なんかすげぇ悲しくなってきた。原作でフラれて泣く柚希の姿を思い出して辛い。
嬉しくて幸せなのに切なくて悲しいというよくわからない複雑な気持ちだ。
俺は……俺はどうすればいいんだ。
大好きな女の子が泣きそうになってまで一生懸命頑張ってくれているのに何もできないなんて男じゃねぇ。
原作は……栗田柊斗はいくらお色気で迫られても最後まで彼女の気持ちに応えることはなかった。
俺は……俺はそれじゃイヤだ。
ヘタレでさっきから全然まともなことを話せてない俺だが……ここで何もできないようなら今すぐ死ぬべきだ。
そうだ、覚悟を決めたんだ俺は。お色気要員の柚希を幸せにする覚悟を。
行け、俺! 言葉にできねぇなら動け!!
―――ぎゅっ
「えっ……!? ちょっ、柊斗くん……!?」
「…………」
俺は柚希を抱きしめた。
絶対に振り向くなと言われたけどそれを破ってしまった。柚希の言いつけを守らなかった罪は重いが今だけは許してほしい。
「……柊斗くん、どうしたの……?」
「……すみません……」
伝えたいことはいっぱいあるのに言葉にできない俺はそれしか言えず、ひたすら裸の柚希を強く優しく抱きしめる。
何をやってるんだ俺は……こんなことしていいのか……? 彼女のために俺ができること……これでいいのか……?
これで正しいのかなんて俺には何もわからない。いや、裸の女の子にいきなり抱きついて正しいわけがない。ただのセクハラで性犯罪。
だけど不思議と今は邪な気持ちは湧いてこない。俺はスケベでおっぱい星人だから、柚希とエロいことをしたい気持ちは大いにあるが、今はそれよりも、ただただ彼女が愛おしい。一生大切にしたいって強く思う。
大好きだからこそ大切だからこそ、今は彼女に手を出さない。
ここで手を出したら彼女はエロしかとりえがないって認めてるようなもんだ。それは違うんだ絶対に。
無理して過激なことをしなくても柚希は十分すぎるほど魅力的で可愛い女の子だ。
柚希はお色気要員じゃねぇ、最高のヒロインだ。
「……柊斗くん……恥ずかしいよ……」
柚希の頬や身体が赤く染まっていくのを感じた。そしてこの熱さは風呂のせいだけじゃない。
年上のお姉さんなのに、さっきまであれだけ過激なことをしてたのに、意外とピュアなのが最高に可愛い。めっちゃ積極的に攻めてくるのに自分がちょっと攻められたらよわよわなの可愛すぎる。
柚希は恥ずかしがってはいるが、『離して』とは言わない。俺も嫌がられない限り当分の間は離したくない。
嫌がるどころか抱きしめ返してくれた。本当に少しだけ、そっと手を添える程度だったが、確かに彼女が俺の行動を受け入れてくれた。
俺たちはそのまま裸で抱き合い続けた。
―――
風呂から上がって柚希は酔いから醒めた。俺も正気を取り戻した。
俺たちはあまりにも恥ずかしすぎて小さく丸くなって悶えていた。お互いの顔をまともに見れない。
「……ごめんね柊斗くん……やっぱり迷惑かけちゃった……酔ってもここまで暴走したことなんて今までなかったのに……」
「迷惑なんかじゃないです。俺の方こそすみませんでした」
「柊斗くんは悪くないよ」
「柚希さんも悪くないです」
柚希は酔ってたから仕方ない。酔ってないのに全然感情のコントロールができず暴走した俺の方が悪い。
いや、正確には酔ってないってのは間違いだな。柚希に酔ってたわ。……全然上手いこと言えてねぇな。
「……俺、嬉しかったです」
「えっ……ホント?」
「はい」
柚希の生乳の感触を堪能できて嬉しかった気持ちも大いにあるが、柚希の純粋な気持ちや想いが、肌が重なることでしっかりと伝わってきて嬉しかった。
お色気要員はアホっぽく描写されてることも多々あるが、好きな相手に裸でぶつかることはすごく勇気がいること。彼女の勇気は心から尊敬する。
「……私も……」
「えっ?」
「私も嬉しかったよ」
―――チュッ
「!?!?!?」
柚希は俺の頬に軽くキスを施した。
ほんの一瞬だけ感じた、彼女の柔らかい唇の感触。
裸で抱きつかれるのもすごくよかったが、一瞬のキスもそれに負けないくらいすごくドキドキした。
キスをした後、柚希は満面の天使の笑顔を見せてくれた。
俺はただキスされた頬を手で抑えながらポーッと見惚れることしかできなかった。
―――
長かった雨が止み、俺は苺の家に帰宅した。
家に帰ってきても柚希の感触と温もりは未だに残っていた。
……あれでよかったのだろうか……俺も興奮しすぎて余裕なくて必死だったのであまりよく覚えてない。自分の行動に自信がない。
でも柚希はキスしてくれたし笑ってくれたし、よかっただろう、たぶん。
俺は柚希の愛に応えた。もう後戻りはできない。
抱きしめといて他の女の子を選びます、なんてことは絶対ありえない。そんなんクズ以下だ。
俺は柚希ルートに行く。
「ただいま」
「あら、遅かったわねあんた」
帰ってきてすぐに苺に会った。
「雨降ってたから雨宿りしてた」
世界一、いや宇宙一の雨宿りだったな。ニヤけそうになるのを全力で堪える。
「ふーん……で、醤油は?」
「は?」
「は? じゃないわよ。醤油買ってこいって言ったでしょ。醤油は?」
「…………あ」
そういえば苺にパシられてたんだった。
柚希にドキドキしっぱなしですっかり忘れてた。
「……忘れてた」
「殺す」
苺ブチギレだなぁ。本当に殺しそうな目だなぁ。
「待て待て、今から買ってくる」
「1分以内に買ってこないと殺す」
「いや無理だろ。せめて5分」
近所のスーパーまで全力ダッシュで行けばギリギリ5分でいけるかもしれない……くらいの距離だ。1分は瞬間移動でもしない限り無理。
まあいい、できる限り早く行ってこよう。
「……ん? ちょっと待ちなさい」
「なんだ?」
「あんたほっぺに何かついてるわよ。
……え、それキスマーク……!?」
「!!」
そこには、柚希にキスされた証がまだ残っていた。
慌てて手で隠すがもう遅い。苺にハッキリ見られてしまった。
「……なんとなく不愉快ね。やっぱり今すぐ殺す」
「…………」
俺はダッシュで逃げた。
「待ちなさいバカ柊斗!」
苺も全力で追いかけてくる。死ぬ気で追いかけっこをする。なんか浮気がバレて修羅場みたいな感じになっちまった。別に苺と付き合ってるわけじゃないのに。
付き合ってるわけじゃないが、苺ルートなのがほぼ決まっている現状。
二股とかハーレムをする気がない俺は、柚希ルートに行くのなら苺と破局しなければならない。
俺は入浴していて、俺の後ろで柚希が背中を流してくれて、柚希はバスタオル1枚巻いただけの姿で。
で、柚希の身を包んでいたはずのバスタオルは今、バスルームの床に置かれている。
ということはつまり……
柚希は今、素っ裸……スッポンポン……!?
「柊斗くん……今だけは絶対に、振り向かないでほしい……お願い」
「……!!!!!!」
俺の背後で、柚希の恥ずかしそうな声が……
これ確実にスッポンポンじゃないか。
マジかよ……今、俺の後ろに全裸の推しヒロインがいるのかよ。信じられない。
いや、バスルームで素っ裸になるのは当たり前なんだけど、今は俺がいるのに、なんで……!?
ゴクリと生唾を飲み込む。心臓が口から出そうなくらいドキドキする。
目の前には鏡。鏡は曇っていてよく見えない。もし鏡が曇ってなかったら、裸の柚希が映し出されているのか……?
今この瞬間ほど背中に目があったらよかったのにと思ったことはない。見てないけど見えないけど、神のようにスタイル抜群だ。
そして見てないけど見えないけど、自らの身体に泡立てたボディーソープを塗りたくっている柚希の姿がある。そんな音が聞こえる。
……え……まさか……ウソだろ……さすがにそれはないだろ、冗談だろ。いくらなんでもそこまでは……
―――むにゅっ
「!!!!!!!?!?!?」
柚希は俺の身体を後ろから抱きしめた。見なくてもわかる、見るまでもない、間違いなく裸の感触。
今……俺の背中には豊満で柔らかい二つの乳が押し当てられている。というか押し潰されている。
「おっぱいで洗ってあげる」
「……!!!!!!」
押しつけた乳をゆっくりとした動きで背中に擦りつけていく。
むにゅむにゅと、泡まみれの柔らかい感触が背中を滑る。
ああああああ!!!!!!
俺の魂の叫びが心の中でだけ大きく響く。
これはダメだ。これはえっちすぎる。俺の煩悩火山は大噴火した。俺の心の中ではとんでもない未曾有の大災害が吹き荒れて、とにかくかつてない性的興奮が俺をボコボコグチャグチャに蹂躙する。
こんなん原作のデータにはないぞ、どうなってるんだ。原作じゃ一番過激なシーンでもマイクロビキニで抱きついて押し倒してくるというものだった。素っ裸で抱きつかれて乳を擦りつけられるなんて童貞の俺にとって未知の領域。前世で行った風俗はノーカンだ。
「ねぇ、どうかな? 気持ちいい?」
「~~~ッ!!!!!!」
大きな胸で身体を擦られるのは柔らかくて気持ちよすぎる。気持ちよすぎて気持ちいいって返事できないくらい気持ちいい。幸せすぎて二度目の死がすぐに来るんじゃないかって思うほどだ。
「すごく気持ちよさそうだね、嬉しい……好きだよ、柊斗くん」
「!!!!!」
また『好き』って言われた。しかし今度は裸で抱きつかれて胸を押しつけられながら、耳元で甘く囁くように言われた。
柚希の声可愛すぎるんだよ、反則すぎる。彼女の可愛い声といい匂いで俺はゾクゾクして脳髄から蕩けそうになった。
「柊斗くん……お願い、私を選んでほしい。他の子とくっついちゃやだ」
「……!!」
そうか……柚希は他のヒロインに対抗するために身体を張ってここまで過激なことを……他のヒロインに差をつけられている現状を打破するために……
「私を選んでくれたら毎日こういうことしてあげるよ。柊斗くんのためならなんでもする……エッチなことだっていっぱいしてあげる……私の身体、いくらでも好きにしていいんだよ……? だからお願い、柊斗くん……」
「……ッ……!」
彼女の声は震えてて、切なげだった。今の彼女の姿は見ないようにしているが、泣きそうな瞳で、懇願するような表情をしているのが伝わってくる。
柚希の必死な気持ちを聞いた俺は拳を震わせて握りしめた。俯いて前を見れなくなる。
柚希を選べば毎日こういうことできる……? いくらでも身体を好きにしていい……? 思う存分そのでかい胸を揉んだり吸ったりぱふぱふしたり挟まれたりしてもいいってことか……?
そんなの男はみんな嬉しいと思うよ。だけど……そんなの……それって……
それって絶対負けるやつじゃねぇか……!!
それで勝ったら身も蓋もない。物語にならない。だから絶対負ける。
彼女は健気にすごく頑張っている。しかしお色気要員という設定である以上、こういうことしかできない。どうあがいても負けフラグを乱立して完全敗北する運命。
なんかすげぇ悲しくなってきた。原作でフラれて泣く柚希の姿を思い出して辛い。
嬉しくて幸せなのに切なくて悲しいというよくわからない複雑な気持ちだ。
俺は……俺はどうすればいいんだ。
大好きな女の子が泣きそうになってまで一生懸命頑張ってくれているのに何もできないなんて男じゃねぇ。
原作は……栗田柊斗はいくらお色気で迫られても最後まで彼女の気持ちに応えることはなかった。
俺は……俺はそれじゃイヤだ。
ヘタレでさっきから全然まともなことを話せてない俺だが……ここで何もできないようなら今すぐ死ぬべきだ。
そうだ、覚悟を決めたんだ俺は。お色気要員の柚希を幸せにする覚悟を。
行け、俺! 言葉にできねぇなら動け!!
―――ぎゅっ
「えっ……!? ちょっ、柊斗くん……!?」
「…………」
俺は柚希を抱きしめた。
絶対に振り向くなと言われたけどそれを破ってしまった。柚希の言いつけを守らなかった罪は重いが今だけは許してほしい。
「……柊斗くん、どうしたの……?」
「……すみません……」
伝えたいことはいっぱいあるのに言葉にできない俺はそれしか言えず、ひたすら裸の柚希を強く優しく抱きしめる。
何をやってるんだ俺は……こんなことしていいのか……? 彼女のために俺ができること……これでいいのか……?
これで正しいのかなんて俺には何もわからない。いや、裸の女の子にいきなり抱きついて正しいわけがない。ただのセクハラで性犯罪。
だけど不思議と今は邪な気持ちは湧いてこない。俺はスケベでおっぱい星人だから、柚希とエロいことをしたい気持ちは大いにあるが、今はそれよりも、ただただ彼女が愛おしい。一生大切にしたいって強く思う。
大好きだからこそ大切だからこそ、今は彼女に手を出さない。
ここで手を出したら彼女はエロしかとりえがないって認めてるようなもんだ。それは違うんだ絶対に。
無理して過激なことをしなくても柚希は十分すぎるほど魅力的で可愛い女の子だ。
柚希はお色気要員じゃねぇ、最高のヒロインだ。
「……柊斗くん……恥ずかしいよ……」
柚希の頬や身体が赤く染まっていくのを感じた。そしてこの熱さは風呂のせいだけじゃない。
年上のお姉さんなのに、さっきまであれだけ過激なことをしてたのに、意外とピュアなのが最高に可愛い。めっちゃ積極的に攻めてくるのに自分がちょっと攻められたらよわよわなの可愛すぎる。
柚希は恥ずかしがってはいるが、『離して』とは言わない。俺も嫌がられない限り当分の間は離したくない。
嫌がるどころか抱きしめ返してくれた。本当に少しだけ、そっと手を添える程度だったが、確かに彼女が俺の行動を受け入れてくれた。
俺たちはそのまま裸で抱き合い続けた。
―――
風呂から上がって柚希は酔いから醒めた。俺も正気を取り戻した。
俺たちはあまりにも恥ずかしすぎて小さく丸くなって悶えていた。お互いの顔をまともに見れない。
「……ごめんね柊斗くん……やっぱり迷惑かけちゃった……酔ってもここまで暴走したことなんて今までなかったのに……」
「迷惑なんかじゃないです。俺の方こそすみませんでした」
「柊斗くんは悪くないよ」
「柚希さんも悪くないです」
柚希は酔ってたから仕方ない。酔ってないのに全然感情のコントロールができず暴走した俺の方が悪い。
いや、正確には酔ってないってのは間違いだな。柚希に酔ってたわ。……全然上手いこと言えてねぇな。
「……俺、嬉しかったです」
「えっ……ホント?」
「はい」
柚希の生乳の感触を堪能できて嬉しかった気持ちも大いにあるが、柚希の純粋な気持ちや想いが、肌が重なることでしっかりと伝わってきて嬉しかった。
お色気要員はアホっぽく描写されてることも多々あるが、好きな相手に裸でぶつかることはすごく勇気がいること。彼女の勇気は心から尊敬する。
「……私も……」
「えっ?」
「私も嬉しかったよ」
―――チュッ
「!?!?!?」
柚希は俺の頬に軽くキスを施した。
ほんの一瞬だけ感じた、彼女の柔らかい唇の感触。
裸で抱きつかれるのもすごくよかったが、一瞬のキスもそれに負けないくらいすごくドキドキした。
キスをした後、柚希は満面の天使の笑顔を見せてくれた。
俺はただキスされた頬を手で抑えながらポーッと見惚れることしかできなかった。
―――
長かった雨が止み、俺は苺の家に帰宅した。
家に帰ってきても柚希の感触と温もりは未だに残っていた。
……あれでよかったのだろうか……俺も興奮しすぎて余裕なくて必死だったのであまりよく覚えてない。自分の行動に自信がない。
でも柚希はキスしてくれたし笑ってくれたし、よかっただろう、たぶん。
俺は柚希の愛に応えた。もう後戻りはできない。
抱きしめといて他の女の子を選びます、なんてことは絶対ありえない。そんなんクズ以下だ。
俺は柚希ルートに行く。
「ただいま」
「あら、遅かったわねあんた」
帰ってきてすぐに苺に会った。
「雨降ってたから雨宿りしてた」
世界一、いや宇宙一の雨宿りだったな。ニヤけそうになるのを全力で堪える。
「ふーん……で、醤油は?」
「は?」
「は? じゃないわよ。醤油買ってこいって言ったでしょ。醤油は?」
「…………あ」
そういえば苺にパシられてたんだった。
柚希にドキドキしっぱなしですっかり忘れてた。
「……忘れてた」
「殺す」
苺ブチギレだなぁ。本当に殺しそうな目だなぁ。
「待て待て、今から買ってくる」
「1分以内に買ってこないと殺す」
「いや無理だろ。せめて5分」
近所のスーパーまで全力ダッシュで行けばギリギリ5分でいけるかもしれない……くらいの距離だ。1分は瞬間移動でもしない限り無理。
まあいい、できる限り早く行ってこよう。
「……ん? ちょっと待ちなさい」
「なんだ?」
「あんたほっぺに何かついてるわよ。
……え、それキスマーク……!?」
「!!」
そこには、柚希にキスされた証がまだ残っていた。
慌てて手で隠すがもう遅い。苺にハッキリ見られてしまった。
「……なんとなく不愉快ね。やっぱり今すぐ殺す」
「…………」
俺はダッシュで逃げた。
「待ちなさいバカ柊斗!」
苺も全力で追いかけてくる。死ぬ気で追いかけっこをする。なんか浮気がバレて修羅場みたいな感じになっちまった。別に苺と付き合ってるわけじゃないのに。
付き合ってるわけじゃないが、苺ルートなのがほぼ決まっている現状。
二股とかハーレムをする気がない俺は、柚希ルートに行くのなら苺と破局しなければならない。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
男女比1:10000の貞操逆転世界に転生したんだが、俺だけ前の世界のインターネットにアクセスできるようなので美少女配信者グループを作る
電脳ピエロ
恋愛
男女比1:10000の世界で生きる主人公、新田 純。
女性に襲われる恐怖から引きこもっていた彼はあるとき思い出す。自分が転生者であり、ここが貞操の逆転した世界だということを。
「そうだ……俺は女神様からもらったチートで前にいた世界のネットにアクセスできるはず」
純は彼が元いた世界のインターネットにアクセスできる能力を授かったことを思い出す。そのとき純はあることを閃いた。
「もしも、この世界の美少女たちで配信者グループを作って、俺が元いた世界のネットで配信をしたら……」
貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
女子大生家庭教師・秘密の成功報酬
芦屋 道庵 (冷月 冴 改め)
恋愛
弘前さくらは、大手企業・二村建設の専務の家に生まれた。何不自由なく育てられ、都内の国立大学に通っていたが、二十歳になった時、両親が飛行機事故で亡くなった。一転して天涯孤独の身になってしまったさくらに、二村建設社長夫人・二村玲子が救いの手を差し伸べる。二村の邸宅に住み込み、一人息子で高校三年の悠馬の家庭教師をすることになる。さくらと悠馬は幼なじみで、姉と弟のような存在だった。それを受けたさくら。玲子はさらに、秘密のミッションを提示してきた……。
冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~
メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」
俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。
学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。
その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。
少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。
……どうやら彼は鈍感なようです。
――――――――――――――――――――――――――――――
【作者より】
九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。
また、R15は保険です。
毎朝20時投稿!
【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】
手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる