鬼ごっこ

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「助けてあげないの?」

 突然後ろから声がしてハッと振り返った。

 立っていたのは黒髪にメガネのいかにも真面目って感じのやつ。

「お前、いつからそこに」

「最初からいたよ。僕影薄いから。」

 いくら影が薄いやつでも私が気づかないなんて、と驚いた。

「それで、助けてあげないの?」

「助ける意味、ある?」

「さっきは助けたでしょ?」

「それは偶然。倒そうとしたら周りが助かっただけ。」

「なんで倒そうとしたの?」

「実験したかったから。」

 お互いに軽く睨み合いながら会話する。

「実験って何。」

「倒せるかの実験。」

「それのせいでみんな期待してる。助けてくれる、って。」

「そんなの勝手に思ってるだけ。関係ない。」

「同級生をそんな簡単に見捨てるの?」

「私からしたら他人。」

「っていうか、そんなに言うんだったらお前が助けに行けば?」

 そう言うとメガネは黙ってしまった。

「なに?自分は非力で倒せないから私に倒せって?それは自分勝手すぎない?周りも含めてさ。」

 挑発するように言ってやると、メガネは言い返してきた。

「違う!倒せないわけじゃない。武器があれば、僕でも倒せる。でも、僕は今目立てないんだ。目立ったら...」

と、そこまで言ってまた黙り込んでしまった。
 
 なんだろ、こいつ厨二病?

 目立ったら左手が疼くんだ!みたいな?

 えー、どうしよ。

 まぁどうもしないけど。

「とりあえず私に頼らないでどうにかしたら?私もう疲れちゃった。」

「はァ、もういいや。どうせ僕にも関係ないし。」

「、え?」

「だって僕にも助ける意味ないし。一緒にここで観戦するよ。」
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