Eternal Rain ~僕と彼の場合~

勇黄

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雨間

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栄醐えいごが目覚めたのは昼を過ぎて
もう夕暮れにさしかかる時間だった。











星斗せいとは寝返りをうったのか
背中を向けて無防備に
寝息をたてている。











その背中にそっとキスをして
栄醐えいごは起き上がると
スマホを見やった。











(点滅している…)











慌ててスマホをあけると何度か
知らない番号からの着信。











(もしかしてあのかん、とかいう子か?)









栄醐えいごはその番号に折り返してみた。









しかしコールするだけで
いっこうに出ない。









諦めてスマホを置き、水を飲んで
一息ついた時、星斗せいとが目を覚ました。











「ん…え…ご。」











栄醐えいごは駆け寄って
星斗せいとの頭を撫でる。










『起きたのか…水、飲む?』










コクンと頷き座る星斗せいとに口移しで
冷たい水を飲ませる。










「…ん……ゴクッ。……もっと…。」









『水?キス?』









「両方………。んぅ…ん…んく…」









『ふふ…。可愛い。』










栄醐えいごは何度もキスをし水を飲ませた。









ふたりでシャワーを浴び
星斗せいとは買ってきた服に袖を通す。











『お、いいじゃん!やっぱ若いな。
若者ファッションが似合う。』











「ふ…若者ファッションって
言っちゃうところが…ふふふ………」










『なぁんだよ!あ、おじさんって
言いたいんだろ!こら、星斗せいと!』











「あはは…ごめん、栄醐えいご!だって…」












『だってもくそもない!
こうしてやる~!』











栄醐えいご星斗せいとの脇腹を
くすぐりにかかる。











「や、だ!あは!くすぐったいよ!
わ、や!うふふ!やめ!わ!」











バランスを崩した星斗せいとを抱きとめて
深くキスをする栄醐えいご










「はぁ…栄醐えいご…。愛してる…。」










ふふふ、と笑い栄醐えいごの手を握る
星斗せいとを愛おしく見つめ
俺も愛してるよ、と返した
栄醐えいごはその手を握り返し
星斗せいとの目をしっかりと見た。











星斗せいと。もしかしたら、かん、から
電話があったかもしれない。』










かん、から…?
アイツに告げ口してたらどうしよう…。」












『…大丈夫だ。俺がケリをつけてやる。
ちょっと弁護士と話したい。
電話していい?

いろいろ星斗せいとのことも
調べてもらおうと思ってる。
ご両親のこととか…。いい、か?』











コク、と頷き星斗せいと栄醐えいごの袖を掴んだ。












『ん。ここでするよ。膝に乗ってる?』










ふるふると首を振る星斗せいと










『ソファーへ行こうか。
そこで座って話すよ。』












「うん。わかった。」













手を繋いでソファーまで行き
星斗せいとはタオルケットにくるまる。












『それ、好きなの?星斗せいと。』










「昔からなにかにくるまると
落ち着くんだ。」












『そっか。あとで俺も入れてくれ。』











ん。と赤くなりつつ頷く星斗せいと
微笑んで栄醐えいごは弁護士に電話した。











『…もしもし。俺だ。天士てんじ
元気にしているか?』












栄醐えいごはことの顛末を事細かに話す。
星斗せいとのことも包み隠さず話した。
星斗せいとの戸籍や家等がどうなってるのか
両親はどうしているのか。
そしてかん虎家とらいえのことを
調べてほしいと言った。













『あぁ。…うん。頼む。悪いな。
天士てんじありがとう。』











電話を切った栄醐えいご
星斗せいとを抱きしめた。











栄醐えいご。はい。入れてあげる。」











星斗せいとはタオルケットの中に
栄醐えいごをいれてくるみなおす。













星斗せいと。ありがとう。
ごめんな、弁護士とはいえ
いろいろ話してしまって。』










「………ううん。…栄醐えいごにとって…
その人は信頼できる人なんだね…。」












『あぁ。…うん、そうだな…。
唯一の友達、というか…
恩人、というか。』











「なら、僕は信じる。」











星斗せいと…。ありがとう。
…経過報告の時…ここに呼んでもいいか?
星斗せいとに会わせたいんだ。』












「…うん。栄醐えいご…。かんはもしかしたら
騙されているのかもしれない。
もしそうだったら…助けてあげて…。」














『わかってる。あの子は
悪い子ではなさそうだった。
間に合うといいが…。』











「…栄醐えいご。」










星斗せいとはぎゅっと栄醐えいごを抱いた。











そのまましばらく抱き合い
お互いの心臓の音に耳をすます。











『…ほんとに。くるまってると
安心するな。』











「でしょ?ふふふ。
今まで僕はずっとひとりで
毛布にくるまってきたけど…
栄醐えいごと一緒だとあたたかくて
トクトクと心臓の音がして幸せ…。」











星斗せいと……。』










「…おなかすいちゃった。」










『お!よし。何か食べようか。』











「うん。」










『あ、ちょっと待って。
頼んでおいたものがいろいろ
届いてるようだ。
コンシェルジュに言って上まで
持ってきてもらおう。
その中に食べ物もあるから。』











そう言ってスマホを操作する栄醐えいご










しばらくすると玄関のチャイムが
鳴らされた。










『よし、来たな。星斗せいと見に行こう。』











星斗せいと栄醐えいごの手を握り
玄関まで行き扉を開けそっと見ると
たくさんのダンボールの山が積まれていた。












星斗せいとはおもわずぎょっとする。











栄醐えいご栄醐えいご
何をこんなに買った、の?」











『ま、まぁいろいろだ。
手伝ってくれ、星斗せいと。』












次々とダンボールをリレーして
室内に運ぶ。











全部運び終わると栄醐えいご
ひとつのダンボールを開けて
中身を取り出した。










『これレトルトのカレー。
うまいんだぜ~』











カレーを湯煎しこちらもレトルトの
ごはんを電子レンジにかけ
カレーライスは完成。












『よし、星斗せいと食べるか。
いただきま~す!』









「いただきます!」










おいし!とびっくり顔の星斗せいと
微笑ましく見つめて栄醐えいご
ゆっくりと食事を味わった。











星斗せいともなんとなく栄醐えいご
チラチラと見やり嬉しそうに食べている。













「あたたかい食事って…
そして一緒に食べる人がいるって…
幸せだね…。」











ふいにそう呟く星斗せいと
栄醐えいごは抱き寄せた。











『これからはずっと一緒だよ。』










はにかみ、満面の笑顔をみせる
星斗せいと栄醐えいごは改めて誓う。












『俺は星斗せいとを一生大事にする。』











「…っつ………栄醐えいご。ありがとう…。」














ポタポタと涙を零す星斗せいとの涙を
拭い栄醐えいごは微笑んで
星斗せいとを膝の上に乗せた。












栄醐えいご…カレー食べれない!」











『ぶはっ!…食わしてやるよ…あーん。』










「えっ!い、いいよ~」










『なんでだよ~ほら。』










「んも……んぐっ…。おいしい…。
栄醐えいごも食べさせてあげる!あーん!」











『お!んっ。うま~!
やっぱ星斗せいとに食べさせてもらうのは
三ツ星レストラン以上だ!』











「んもぅ…大袈裟だなぁ…。ふふふ!」










『大袈裟じゃないよ…。
ほらもっと。あーん…』










カレーライスを食べさせあい
ごちそうさま、と言う星斗せいと











「僕、洗い物するよ!
皿洗いのバイトしたことあるし!」











『お、頼もしいな~!
じゃあとりあえず洗い物は
星斗せいとの仕事な。』











顔を輝かせ頷いて星斗せいと
嬉々として片付けものをする。











その横で栄醐えいご
荷物を解いていた。









ごはんが炊けるように炊飯器や
鍋類、小さなホットプレートなども
星斗せいとが喜ぶだろうと買っていた。











お米や野菜ジュース
お菓子やゲーム、勉強の本など
どれも星斗せいとを思って
買ったものたちだ。











「うわぁ!なに?すごい!たくさん!」











洗い物を終えた星斗せいと
こちらに来て楽しそうに
いろいろ見てびっくりしている
様子を笑ってみていた栄醐えいごだが
あるダンボールを星斗せいと
開けようとした時は焦りを隠せなかった。











『あ!星斗せいと!そ、それは…』
 









?という顔をして箱を開けた
星斗せいとは固まる。











スキンやローションなどが
大人買いされていたのだ。











「な、な、な…!」











『せ、星斗せいと…。それは、さ。
必要、だろ?な?』











「えええええいごっ!もう!」











真っ赤になり箱を閉じてしまう
星斗せいと栄醐えいごが抱きつくと
何もこんなに大量に買わなくても…と
腕の中から逃げられた。
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