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LOTUS FLOWER~ふたたびの運命~外伝
祝福の鐘
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3人の改めての再会を
目の当たりにし涙ぐんでいた
泰輔の父は我にかえって言った。
「いつまでも玄関で
立ち話もなんだから
中に入ろう、ね。」
「ありがとうございます…。」
涙を拭いあい3人は微笑んで
家の中に入る。
「あ!俺、両親と佐々木さん
駅まで迎えに行ってきます!」
「あ、俊詩。よろしくね!
僕はお手伝いしようと思って。」
エプロンを取り出す彩明。
「一さん、はりきって
やってるから手伝ってあげて。
キッチン、むこうだから。」
「うん、じゃあ、たかは…
泰輔、行ってくるね!」
泰輔は一瞬固まった。
そしてすぐに笑顔になり
彩明に駆け寄って
またハグする。
「ふふふ…僕も彩明って
呼んでいい?」
「!うん。もちろん!んふふ!
俊詩も名前で読んだら
喜ぶよ、きっと。」
大きく頷いて泰輔は微笑む。
「じゃあ、僕はテーブルの
準備とかしてくるから。」と
手をふった。
彩明はキッチンで
一に声をかける。
「一さん!僕も手伝うよ~」
「あ、彩明くんいらっしゃい!
そういえば彩明くん
お料理の学校行ってるんだよね?」
「うん!一さんまた
お料理教えてくれる?」
「いいよ!よぉし!
ビシバシいくよ?」
「一先生よろしく
お願いします!んふふ!」
俺は料理には厳しいよ?と
笑う一に一礼して
彩明は手を洗い
キャベツを手に取った。
「これ千切りですか?先生?」
一は笑って頷く。
軽快にキャベツを刻む彩明に
なかなかやるね、と一。
「僕、こども食堂を作るんだ!」
彩明が宣言する。
「…すごい!いい夢が
あるんだね!俺応援するよ。
俺は将来は自分のお店を
持ちたい。みんながほっとする
あったかい店。」
「一さんなら絶対にできるよ!」
「お互いにがんばろう。」
2人は頷いて微笑んだ。
「ちょっと…そこの2人!
ひっつき過ぎじゃない?」
背後から突然泰輔の声がする。
「泰輔!……ひょっとして
嫉妬してくれたの?」
一は泰輔にすり寄った。
彩明はニコニコしている。
「そっ!そうじゃないけど…っ!
ってか!わ!一さん
近すぎ!ちょ!ちょ!」
「んふふー!後ろ向いてるから
チューしていいよ?」
彩明はからかいを含んだ声で言う。
それじゃあ、とばかりに
唇を近づける一に
泰輔は蹴りを入れた。
「バカ!一!」
うへっ!っとわざとらしく
痛がる一は泰輔に抱きつく。
「も、も、もう知らない!」
泰輔はさらに赤くなって
一を突き飛ばした。
「へへ…泰輔それ。
できたから持ってって。」
鳥の唐揚げを指差し笑う一。
泰輔はプリプリしながら
両手に大きな皿を持ち
行ってしまった。
「…んふふ。いいカップルだね!」
「…。彩明くんとこには
負けるよ。」
「うん、僕もそう思う!」
「え?」
「んふふー!うそうそ!
どっちも最高!にいいカップル!ね!」
笑いがこらえきれない様子で
彩明は、これも持ってくね、と
キッチンを出ていった。
残された一は真っ赤になり
ぼーっとしていたが
気をとりなおして
次の料理に取りかかった。
料理ができあがり
ダイニングに揃った2カップル。
応接間に待っている
家族たちに声をかける。
「みんな、おまたせ!どうぞ~!」
泰輔が声を張り上げる。
ぞろぞろ、と入ってくるのは
もう顔合わせの終わった家族たち。
泰輔の祖父、祖母。父、母、兄、兄嫁。
俊詩の父、母。
柏葉医師。
旅館でお世話になった女性、佐々木。
もうすでに各々挨拶がすみ
仲良くなっているようだ。
泰輔の祖父と俊詩の父は
日本酒で盛り上がった。
「今日、持ってきてくださった
あの幻の銘酒、私、大好物でして…
ありがとうございます!」
「おじいさまも日本酒派ですか?
私も日本酒が好きで…
是非、今度お連れしたい
日本酒バーがあるのですが…」
「お!是非是非!いつ行き…」
腐女子を公言する泰輔の祖母と
佐々木、そしてなぜか兄嫁も
きゃいきゃいと騒いでいた。
「噂に聞いた通り俊詩くんと彩明くん!
美形カップルで眼福眼福~!」
「おばあさま、さすが!
でも一さん泰輔さんカップルも
ちょっと背徳的な感じで
よき!ですよ…」
「佐々木さん!お目が高い!
義弟と一さんはどっちが
攻めだと思います?」
「!…私は意外と泰輔さんが攻めでは…と
思うのですが…」
「残念!佐々木さん…
まだまだですわね…
このばあは見てしまったのです…
実は、はじめがせ…」
泰輔の母と俊詩の母は
別の意味でキャーキャーしていた。
「来月、韓国に行くんです!
韓流の俳優さんが好きで…」
「え!俊詩くんのお母様!
うらやましい!私も韓流の
俳優さんで好きなかたが…」
「え?誰?誰?」
「あの『小夏のソナタ』の主演…」
「え!同じです!
かっこいいですよねぇ~!
今度一緒に韓国行きましょう!」
「わぁ!是非お願いしま…」
泰輔の父と兄と柏葉は
柏葉のお相手の話だ。
「柏葉先生、どなたか
いいひといらっしゃらないんですか?」
「いやー。泰輔くんのお兄さんみたいに
イケメンじゃないし…」
「え?俺?可愛いとはよく
言われますが…イケメン…
いい響き!柏葉先生、誰か
紹介しましょうか?」
「え?いいんですか?」
「おい、うちの会社の秘書室の
あの子はどうだ?
おまえの直属だろう?」
「父さん、あの子はね…。
彼氏いるんだよ…
父さんとこの事務の
あの可愛い子は?」
「あー?そうだなぁ…聞いてみるか!
先生、セッティングしましょうか?」
「え?う?お?い、いいんですか?
あの4人見てたら恋が
羨ましくなっちゃって。」
「おい、柏葉先生の恋の応援大作戦だ!」
「おし!父さん!いっちょやりますか!」
「よ、よろしくお願いし…」
俊詩と彩明
一と泰輔は
顔を見合わせ、ある種
異様な光景に唖然とするばかりだ。
「えー。ゴホン!
主役、僕たちだよ、ね!?」
泰輔が叫ぶ。
一瞬しん、となる一同。
泰輔の父が言う。
「あ!わりぃわりぃ。
泰輔。ほら、挨拶、どうぞ!」
パチパチパチ~とみんなが
惜しみない拍手を送る。
「今日は僕たち一と泰輔
そして俊詩と彩明の
お祝いの席をもうけていただき
ありがとうございました!
こうしてみんな集まって
仲良くできるのとても嬉しいので
これからもよろしく
お願いいたします!
ほら、俊詩も挨拶。」
「ん?あ?え?あ、んっと。
泰輔のご家族の皆様。
今日こんなに嬉しい時間を
過ごさせていただけるのも
皆様のお陰です。
本当にありがとうございます!
そして親父、おふくろ。
その…ありがとう。」
俊詩の父は涙ながらに
頷いている。母親も涙だ。
「泰輔の家族のみなさま。
こんな俺を受け入れてくれて
本当にありがとうございます。
おじいさんの養子にしていただいて…
名実ともに家族にしてもらって。
俺は本当に幸せです。
家族ができたから…俺。
これから今までの何倍何百倍も
がんばりますんで…
よろしくお願いいたします。」
一は深々とお辞儀をする。
「俊詩のお父様お母様。
僕が俊詩といることを
許してくださって
ありがとうございます。
俊詩を幸せにしますから。
これからもよろしくお願いいたします。
泰輔のご家族のみなさま。
本当に本当にありがとうございます。
いくらお礼言ってもたりません…
本当にありがとう…ございま…す。
グズッ…。」
4人は涙を流していた。
「…ほら!ほら泣かない!
泣いた罰に!キス!キス!キス!…」
祖母が焚き付け全員で
大合唱になった。
「な、な、な!そんなんしない、よ!
ばあちゃん!みんな!
バカじゃないの!」
「しないと終わらないよ~!
ほら、キ~ス!キ~ス!」
兄嫁も笑って茶化した。
俊詩と彩明が、じゃあ、とばかりに
向かい合いチュッとキスをする。
ふぅー!ヒューヒュー!と
歓声がわいた。
「泰輔!一!ほら!キース!キース!」
祖父もいつの間にかノリノリだ。
一は覚悟を決めた。
これはしないとおさまらない展開だ…。
「たっ泰輔…」
泰輔を抱き寄せる。
「ぜーったい!絶対に嫌だ!って!
バカ!一!みんなもやめて!
もう!彩明たちが
するからー!もうー!やだ!」
バタバタと手足を動かし
抵抗する泰輔をようやく
押さえ込んで一は
ぶちゅっと唇を奪う。
「んぐっ!やぁ!も!バカバカ!」
いぇーい!ヒューヒュー!と
拍手喝采の一同。
真っ赤になった泰輔が
逃げ出そうとするのを
必死で止める俊詩と彩明。
笑顔が満ち溢れる。
「ゴホンゴホン…では!
俺と彩明くんが頑張って
作ったごはん、みなさん
食べてくださーい!」
一が言うと、みんな思い思いに
席に座り食べ始める。
「わ!これ美味しい!」
「うまいな!」
「これ彩明が作ったのか?
また作ってくれ、な。」
「はい!お義父さん!」
「これは日本酒にあいますな…
一これのレシピ…」
「おじいさん、もう聞きましたよ~
また作りますね!」
「一さんのお料理ほんと美味しいな!」
「そりゃ、そうだよ!俊詩。
僕の一さんだよ?」
「ぐはっ!ご、ごちそうさま。
泰輔、ありがとう。
下の名前で呼んでくれて。」
「ちょっと?俊詩?
僕の料理ダメなの?」
「や、そんなことは言ってな…
いたた!ちょ!やめ!
ごめ!彩明!」
彩明は俊詩の
頬を力任せにつねる。
「2カプとも!もっと!
もっとイチャイチャして!
またチューしてもいいわよ~!」
「ちょっとばあちゃん!やめて!」
「やれやれー!」
「ちょっとじいちゃん!」
「ほらくっついて!写真撮りますよ!」
冒頭からカメラマンとして
活躍している佐々木が叫ぶ。
「韓国旅行なんですけど
今度またファンミがあるので…」
「わぁぁ!憧れのあのかたに
会えるのね!」
「お、おいちょっと?未知子?
憧れのかたってなにさ?」
「ごほ…いや俊詩くんの
お母様と旅行に…ね?お母様!」
「は、はい!私、行き慣れてるので大丈夫です!
ご案内しますので…」
「ちょっとおふくろ大丈夫なの?」
すっかり料理も平らげて
食後のプリンが出された。
これも一の特製だ。
「一さんのプリン
久しぶり~やっぱり優しい味だ~!」
彩明は感慨深げに言う。
食べ終わって楽しかったね!
美味しかったね!と言い合う一同。
「この会!定例にしましょう!
毎年一度!集まりましょう!」
泰輔の母、未知子が言うと
拍手がおこった。
俊詩と彩明
一と泰輔の4人は
微笑みあう。
「幸せ、だね…。」
「幸せ。」
「本当に幸せだ。」
「うん。幸せ。」
自然に俊詩と彩明と泰輔はハグしあった。
その3人を覆うように
抱きしめた一。
その光景をみんなが微笑ましく見守った。
カーン、カーン、カーン…
大輪の笑顔の花々が咲いた中に
祝福の鐘が遠くでいつまでも鳴り響く。
目の当たりにし涙ぐんでいた
泰輔の父は我にかえって言った。
「いつまでも玄関で
立ち話もなんだから
中に入ろう、ね。」
「ありがとうございます…。」
涙を拭いあい3人は微笑んで
家の中に入る。
「あ!俺、両親と佐々木さん
駅まで迎えに行ってきます!」
「あ、俊詩。よろしくね!
僕はお手伝いしようと思って。」
エプロンを取り出す彩明。
「一さん、はりきって
やってるから手伝ってあげて。
キッチン、むこうだから。」
「うん、じゃあ、たかは…
泰輔、行ってくるね!」
泰輔は一瞬固まった。
そしてすぐに笑顔になり
彩明に駆け寄って
またハグする。
「ふふふ…僕も彩明って
呼んでいい?」
「!うん。もちろん!んふふ!
俊詩も名前で読んだら
喜ぶよ、きっと。」
大きく頷いて泰輔は微笑む。
「じゃあ、僕はテーブルの
準備とかしてくるから。」と
手をふった。
彩明はキッチンで
一に声をかける。
「一さん!僕も手伝うよ~」
「あ、彩明くんいらっしゃい!
そういえば彩明くん
お料理の学校行ってるんだよね?」
「うん!一さんまた
お料理教えてくれる?」
「いいよ!よぉし!
ビシバシいくよ?」
「一先生よろしく
お願いします!んふふ!」
俺は料理には厳しいよ?と
笑う一に一礼して
彩明は手を洗い
キャベツを手に取った。
「これ千切りですか?先生?」
一は笑って頷く。
軽快にキャベツを刻む彩明に
なかなかやるね、と一。
「僕、こども食堂を作るんだ!」
彩明が宣言する。
「…すごい!いい夢が
あるんだね!俺応援するよ。
俺は将来は自分のお店を
持ちたい。みんながほっとする
あったかい店。」
「一さんなら絶対にできるよ!」
「お互いにがんばろう。」
2人は頷いて微笑んだ。
「ちょっと…そこの2人!
ひっつき過ぎじゃない?」
背後から突然泰輔の声がする。
「泰輔!……ひょっとして
嫉妬してくれたの?」
一は泰輔にすり寄った。
彩明はニコニコしている。
「そっ!そうじゃないけど…っ!
ってか!わ!一さん
近すぎ!ちょ!ちょ!」
「んふふー!後ろ向いてるから
チューしていいよ?」
彩明はからかいを含んだ声で言う。
それじゃあ、とばかりに
唇を近づける一に
泰輔は蹴りを入れた。
「バカ!一!」
うへっ!っとわざとらしく
痛がる一は泰輔に抱きつく。
「も、も、もう知らない!」
泰輔はさらに赤くなって
一を突き飛ばした。
「へへ…泰輔それ。
できたから持ってって。」
鳥の唐揚げを指差し笑う一。
泰輔はプリプリしながら
両手に大きな皿を持ち
行ってしまった。
「…んふふ。いいカップルだね!」
「…。彩明くんとこには
負けるよ。」
「うん、僕もそう思う!」
「え?」
「んふふー!うそうそ!
どっちも最高!にいいカップル!ね!」
笑いがこらえきれない様子で
彩明は、これも持ってくね、と
キッチンを出ていった。
残された一は真っ赤になり
ぼーっとしていたが
気をとりなおして
次の料理に取りかかった。
料理ができあがり
ダイニングに揃った2カップル。
応接間に待っている
家族たちに声をかける。
「みんな、おまたせ!どうぞ~!」
泰輔が声を張り上げる。
ぞろぞろ、と入ってくるのは
もう顔合わせの終わった家族たち。
泰輔の祖父、祖母。父、母、兄、兄嫁。
俊詩の父、母。
柏葉医師。
旅館でお世話になった女性、佐々木。
もうすでに各々挨拶がすみ
仲良くなっているようだ。
泰輔の祖父と俊詩の父は
日本酒で盛り上がった。
「今日、持ってきてくださった
あの幻の銘酒、私、大好物でして…
ありがとうございます!」
「おじいさまも日本酒派ですか?
私も日本酒が好きで…
是非、今度お連れしたい
日本酒バーがあるのですが…」
「お!是非是非!いつ行き…」
腐女子を公言する泰輔の祖母と
佐々木、そしてなぜか兄嫁も
きゃいきゃいと騒いでいた。
「噂に聞いた通り俊詩くんと彩明くん!
美形カップルで眼福眼福~!」
「おばあさま、さすが!
でも一さん泰輔さんカップルも
ちょっと背徳的な感じで
よき!ですよ…」
「佐々木さん!お目が高い!
義弟と一さんはどっちが
攻めだと思います?」
「!…私は意外と泰輔さんが攻めでは…と
思うのですが…」
「残念!佐々木さん…
まだまだですわね…
このばあは見てしまったのです…
実は、はじめがせ…」
泰輔の母と俊詩の母は
別の意味でキャーキャーしていた。
「来月、韓国に行くんです!
韓流の俳優さんが好きで…」
「え!俊詩くんのお母様!
うらやましい!私も韓流の
俳優さんで好きなかたが…」
「え?誰?誰?」
「あの『小夏のソナタ』の主演…」
「え!同じです!
かっこいいですよねぇ~!
今度一緒に韓国行きましょう!」
「わぁ!是非お願いしま…」
泰輔の父と兄と柏葉は
柏葉のお相手の話だ。
「柏葉先生、どなたか
いいひといらっしゃらないんですか?」
「いやー。泰輔くんのお兄さんみたいに
イケメンじゃないし…」
「え?俺?可愛いとはよく
言われますが…イケメン…
いい響き!柏葉先生、誰か
紹介しましょうか?」
「え?いいんですか?」
「おい、うちの会社の秘書室の
あの子はどうだ?
おまえの直属だろう?」
「父さん、あの子はね…。
彼氏いるんだよ…
父さんとこの事務の
あの可愛い子は?」
「あー?そうだなぁ…聞いてみるか!
先生、セッティングしましょうか?」
「え?う?お?い、いいんですか?
あの4人見てたら恋が
羨ましくなっちゃって。」
「おい、柏葉先生の恋の応援大作戦だ!」
「おし!父さん!いっちょやりますか!」
「よ、よろしくお願いし…」
俊詩と彩明
一と泰輔は
顔を見合わせ、ある種
異様な光景に唖然とするばかりだ。
「えー。ゴホン!
主役、僕たちだよ、ね!?」
泰輔が叫ぶ。
一瞬しん、となる一同。
泰輔の父が言う。
「あ!わりぃわりぃ。
泰輔。ほら、挨拶、どうぞ!」
パチパチパチ~とみんなが
惜しみない拍手を送る。
「今日は僕たち一と泰輔
そして俊詩と彩明の
お祝いの席をもうけていただき
ありがとうございました!
こうしてみんな集まって
仲良くできるのとても嬉しいので
これからもよろしく
お願いいたします!
ほら、俊詩も挨拶。」
「ん?あ?え?あ、んっと。
泰輔のご家族の皆様。
今日こんなに嬉しい時間を
過ごさせていただけるのも
皆様のお陰です。
本当にありがとうございます!
そして親父、おふくろ。
その…ありがとう。」
俊詩の父は涙ながらに
頷いている。母親も涙だ。
「泰輔の家族のみなさま。
こんな俺を受け入れてくれて
本当にありがとうございます。
おじいさんの養子にしていただいて…
名実ともに家族にしてもらって。
俺は本当に幸せです。
家族ができたから…俺。
これから今までの何倍何百倍も
がんばりますんで…
よろしくお願いいたします。」
一は深々とお辞儀をする。
「俊詩のお父様お母様。
僕が俊詩といることを
許してくださって
ありがとうございます。
俊詩を幸せにしますから。
これからもよろしくお願いいたします。
泰輔のご家族のみなさま。
本当に本当にありがとうございます。
いくらお礼言ってもたりません…
本当にありがとう…ございま…す。
グズッ…。」
4人は涙を流していた。
「…ほら!ほら泣かない!
泣いた罰に!キス!キス!キス!…」
祖母が焚き付け全員で
大合唱になった。
「な、な、な!そんなんしない、よ!
ばあちゃん!みんな!
バカじゃないの!」
「しないと終わらないよ~!
ほら、キ~ス!キ~ス!」
兄嫁も笑って茶化した。
俊詩と彩明が、じゃあ、とばかりに
向かい合いチュッとキスをする。
ふぅー!ヒューヒュー!と
歓声がわいた。
「泰輔!一!ほら!キース!キース!」
祖父もいつの間にかノリノリだ。
一は覚悟を決めた。
これはしないとおさまらない展開だ…。
「たっ泰輔…」
泰輔を抱き寄せる。
「ぜーったい!絶対に嫌だ!って!
バカ!一!みんなもやめて!
もう!彩明たちが
するからー!もうー!やだ!」
バタバタと手足を動かし
抵抗する泰輔をようやく
押さえ込んで一は
ぶちゅっと唇を奪う。
「んぐっ!やぁ!も!バカバカ!」
いぇーい!ヒューヒュー!と
拍手喝采の一同。
真っ赤になった泰輔が
逃げ出そうとするのを
必死で止める俊詩と彩明。
笑顔が満ち溢れる。
「ゴホンゴホン…では!
俺と彩明くんが頑張って
作ったごはん、みなさん
食べてくださーい!」
一が言うと、みんな思い思いに
席に座り食べ始める。
「わ!これ美味しい!」
「うまいな!」
「これ彩明が作ったのか?
また作ってくれ、な。」
「はい!お義父さん!」
「これは日本酒にあいますな…
一これのレシピ…」
「おじいさん、もう聞きましたよ~
また作りますね!」
「一さんのお料理ほんと美味しいな!」
「そりゃ、そうだよ!俊詩。
僕の一さんだよ?」
「ぐはっ!ご、ごちそうさま。
泰輔、ありがとう。
下の名前で呼んでくれて。」
「ちょっと?俊詩?
僕の料理ダメなの?」
「や、そんなことは言ってな…
いたた!ちょ!やめ!
ごめ!彩明!」
彩明は俊詩の
頬を力任せにつねる。
「2カプとも!もっと!
もっとイチャイチャして!
またチューしてもいいわよ~!」
「ちょっとばあちゃん!やめて!」
「やれやれー!」
「ちょっとじいちゃん!」
「ほらくっついて!写真撮りますよ!」
冒頭からカメラマンとして
活躍している佐々木が叫ぶ。
「韓国旅行なんですけど
今度またファンミがあるので…」
「わぁぁ!憧れのあのかたに
会えるのね!」
「お、おいちょっと?未知子?
憧れのかたってなにさ?」
「ごほ…いや俊詩くんの
お母様と旅行に…ね?お母様!」
「は、はい!私、行き慣れてるので大丈夫です!
ご案内しますので…」
「ちょっとおふくろ大丈夫なの?」
すっかり料理も平らげて
食後のプリンが出された。
これも一の特製だ。
「一さんのプリン
久しぶり~やっぱり優しい味だ~!」
彩明は感慨深げに言う。
食べ終わって楽しかったね!
美味しかったね!と言い合う一同。
「この会!定例にしましょう!
毎年一度!集まりましょう!」
泰輔の母、未知子が言うと
拍手がおこった。
俊詩と彩明
一と泰輔の4人は
微笑みあう。
「幸せ、だね…。」
「幸せ。」
「本当に幸せだ。」
「うん。幸せ。」
自然に俊詩と彩明と泰輔はハグしあった。
その3人を覆うように
抱きしめた一。
その光景をみんなが微笑ましく見守った。
カーン、カーン、カーン…
大輪の笑顔の花々が咲いた中に
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ていどです。
闇BL企画さん参加作品。私の闇は、ぬるい。オークションと石油王、初めて書きました。
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