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LOTUS FLOWER~ふたたびの運命~外伝

はじめさんがほしい!②

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俊詩としふみ彩明あやあきは駅前で
ニコニコと2人を待っていた。








恋愛初心者のはじめ泰輔たいすけ
見せつけてやろう、と
色のコーディネートで
さりげなくペアルック感を
出した2人。








俊詩としふみは薄いピンクのパーカーに
デニムを合わせ足元は
白のスニーカー。

彩明あやあきはデニムの
オーバーサイズのジャケットを
羽織り、薄いピンクの
スキニーパンツに
俊詩としふみと同じデザインの
色違いの黒のスニーカーだ。








一方、駅前に着いたはじめ泰輔たいすけ
気後れしていた。








「………。泰輔たいすけ…。
あの2人なに?モデルみたい…」









「は、はじめさん…
僕たち出直したほうが…」









「そうしたいのはやまやま…
だけど、もう時間が…。行こう。」










「う、うん…。」



















「お待たせ!神宮寺じんぐうじ神田かんだ!」








「元気そうでよかったよ~
俊詩としふみくん、彩明あやあきくん!

この間はお土産ありがとうね。」









はじめは黒のトレーナーに
デニム。泰輔たいすけは薄いグリーンの
トレーナーに少しダメージが
入ったデニムで…。









高橋たかはし、オシャレじゃん。」








俊詩としふみが言うと
「そ、そう?きみたちは
モデルさんみたいに見えるよ!」
泰輔たいすけは困り顔。








彩明あやあきはじめ

「さりげなくペアルック風。
いいでしょ?」と小声で囁くと
はじめはわかりやすく
赤くなって頷いた。









「さぁ、行こうか。
時間もあれだし。」

俊詩としふみがチケットを取り出す。









「映画、楽しみだね!」と泰輔たいすけ










映画館に入り俊詩としふみはじめ
張り切ってポップコーンと
ジュースを買ってきた。

横並びでそれぞれの席に落ち着く。









暗くなると俊詩としふみ彩明あやあき
肩を寄せあい手を握った。








ポップコーンを食べさせあい
ジュースを飲ませたり
ベッタリと過ごす。










これは彩明あやあき泰輔たいすけ
考えた作戦だった。









俊詩としふみ彩明あやあき
ラブラブを見せつけて
はじめをその気に
させようという計画だ。









泰輔たいすけはチョンチョンとはじめ
肩をつつき2人の姿を指さす。









はじめはドキッとした顔で
「み、見ちゃ、ダメだよ…」と
スクリーンを見るように促す。








膨れっ面で泰輔たいすけは強引に手を握った。










慌てて手をはずしてしまうはじめ
ポップコーンを無理やり
食べさせて泰輔たいすけ
ジュースをがぶ飲みした。

「…んごほっ!…ぐっ……。」

「だ、大丈夫?」

「…。」











バタバタしてる2人をよそに
彩明あやあきたちは作戦も
途中で忘れて映画に夢中になる。









一方の泰輔たいすけは手を握ることを
拒否されたことでもうなにも
考えられずにただ
俯いているしかできないでいた。










はじめはチラチラと泰輔たいすけ
気にしているものの
どうにもできないで
映画にも集中できずに
ポップコーンをほぼ
1人でたいらげた。


















「あー!おもしろかったね!」








ニコニコしている俊詩としふみ彩明あやあきとは
対照的にはじめ泰輔たいすけ
気まずそうにお互いに
そっぽを向いていた。










焦った彩明あやあき
次の作戦にうってでる。










「ね、高橋たかはしくん、ちょっと
お買い物つきあって
ほしいんだけど。

俊詩としふみはじめさん
ちょっとお茶でもして
待っててもらっていい?」









「ああ、彩明あやあき。行っておいで。
はじめさん。カフェ入りましょうか。」











彩明あやあき泰輔たいすけ
連れてその場を離れた。



















神宮寺じんぐうじ…やっぱりはじめさん
僕のこと…なんとも
思ってないんだよ!

ただ僕の勢いに流された。
それだけで!

きっと後悔してんだ!
………グズ…うわあぁ!」









泰輔たいすけはしゃがみこんでしまう。










「ちょ、ちょっと。高橋たかはしくん。
落ち着いて。ほらここ座って。」









泰輔たいすけをベンチに座らせ
水を買ってきた彩明あやあき









「僕が見た感じでははじめさん
高橋たかはしくんのこと
大好きだよ。だって…。
すごく熱のこもった目で
ずっと見てたもん。ハイ、お水。」










「だって…グズッ………

手、握ったら拒否されたんだよ!
なんで!グズ…暗いとこだし
人に見られるとかも
大丈夫じゃん!

…っく……何でだよ…グズッ…」













わぁぁ!と泣き続ける泰輔たいすけ
背中をさすり途方にくれる彩明あやあき










(あとは俊詩としふみにがんばってもらって…
お願い、俊詩としふみ…。)












一方の俊詩としふみ
黙りこんでしまったはじめ
どうしようか、と思案していた。










「あの…。俺。彩明あやあき
結婚したんです。

まぁ、正式にはできませんけど
婚姻届、書いてもらって
部屋に飾ってあります。

指輪も渡したんです。

俺、がんばったでしょ?」








笑う俊詩としふみはじめ
悲痛な声をあげた。










「俺…どうしたらいいか
わからなくて…。

泰輔たいすけを大事に思ってるのに…
接し方がわからない。

どうしてあげたらいいのか…。
俺の欲望のままにいったら
傷つけちゃう気がして…。」










「欲望、って…」









「……………。
その。なんていうか。
キス、とかそれ、以上、とか。

でも、俺、経験も知識もないし。

調べたけど…なんか泰輔たいすけ
負担ばかりかける気がして。

あんなの。大丈夫、なの?

その…し、た後、とかさ。

あの……………。
どうなっちゃうんだろう、って。
痛、い、のは泰輔たいすけだろうし…。」











はじめさんも高橋たかはしも…
きっと、めちゃくちゃ
優しすぎるんだよ。

お互いのこと思いすぎなんだな。

………あの、ね。
コミュニケーション不足だ、と
俺は思うよ?

したい、ほしい、って
言ってみなきゃさ。
わからないじゃん。

それにさ。繋がることは
本当に幸せで何にも
変えがたい、とは思う。

でも、それだけがsexじゃない。

はじめさん。お互いを慈しむ心が大事。

肌と肌を重ね合わせて
眠るだけだって
ものすごくお互いに
幸せを感じることができる。

相手の肌のぬくもりを
直接感じることって大事だよ。

それもsexだと俺は思ってる。

それに…男同士のカップルは
頻繁にはアナルsexはしない。

通常はオーラルsexじゃないかな。

俺たちも手でしあうのが多いよ。」










「そ、う、なの?
お、おーらるせっくす…?」










「あ、あぁ。口でする、の。

まぁ…難しく考えずにさ…

まずは高橋たかはしと話し合って。

ほんとに話すことは大事。
自分の思ってること正直にさ。

相手の思ってることって
意外とわからないし
言葉にしないと伝わらない。

最初は肌と肌のふれあいから
始めてみたら?

触れたいって思ってるんでしょ?

少しずつ段階を踏んでいけば
いいと思うんだよ。

このままだと誤解させたままで
気まずくなっちゃうよ?

ちゃんと気持ちを
素直に伝えないと。」










「うん…。そう、だよね。
さっきも怒らせちゃったし…。

泰輔たいすけ、映画
楽しみにしてたのに
ずっと俯いていたし…」









高橋たかはしは映画も
もちろんだろうけど
はじめさんと一緒に
肩寄あって触れあえるのを
楽しみにしてたんじゃ
ないのかな。」









「そ、うか…そうだったのか…。」










「ね、はじめさん。
今、使えるお金いくらある?」










「え?」









「安いのでいいからさ。
指輪買ってあげたら?

気持ち伝えるきっかけの
ツールになってくれると思う。

見に行く?」









「ああ。」








「じゃ、行ってみよう。
彩明あやあきにLINEしとく。」









アクセサリーのお店で
はじめはシンプルなシルバーの
指輪を2つ買った。
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