上 下
5 / 98

嫌悪

しおりを挟む
家に帰ると向かいの家から
叶愛のあが出てきた。

「ちょっと!フミちゃん大丈夫?」

(またやっかいなやつにつかまった…)



「過労だって。大丈夫だよ。じゃ。」

「ちょっと待ってよ。
おかゆ作ったからさ、持ってくる。」

「いらねぇ。」

「いいから!なにか食べないと!」

「食欲ねぇんだよ…」

「ダメ!ちょっと待ってて。」

「…も、勝手にしろ。」

さっさと靴を脱いで俊詩としふみは家にあがる。
鍋を持って叶愛のあはあがり込んできた。

「いつ来ても殺風景なうちね。」

「男の二人暮しなんてそんなもんだろ。」

「ま、ね。はい、おかゆ。
中華粥にしといたから食べて。」

「…ほんとにお節介だな。」 

「ほら、食べて!食べるの待って
鍋持って帰るから。」

「えー…あとで返しに行くよ。」

「そしたら食べないでしょうよ!
だからちゃんと見張るの!」

「めんどくせぇ~」

「ほら!」

仕方なく食卓に座り
食べ始める俊詩としふみの前に叶愛のあ
座り食べる様子を眺める。

味もわからず俊詩としふみ
とりあえず胃に流し込んだ。

「ほら、食べたぞ。」

「完食したね!えらいえらい!」と
叶愛のあ俊詩としふみの頭を撫でる。

されるがままにされ俊詩としふみは席をたった。

「じゃ。寝るから。」

そう言ってリビングのドアを開ける。

(帰れ、って意味、わかるよな)





それなのに叶愛のあは急に涙を流し
俊詩としふみの胸へと飛び込んできた。

「な、なんだよ!なにすんだ!離せ!」

俊詩としふみは必死に叶愛のあから逃れようとするが
叶愛のあは離れなかった。

「フミちゃん!俊詩としふみ
今まで女子を全部ふってきたのは
私を好きだから、でしょ?
私も俊詩としふみが好き!
だから好きにしていいよ?」

「は?何勝手に決めてんの?」

俊詩としふみぃ!」

叶愛のあに押し倒され
リビングの床に転がった。

「てめぇ、なにすん…!」

叶愛のあから強いキス。舌まで差し入れられた。

「んぐっ!ん!やめろ!」

物凄い力で叶愛のあを押しのけた俊詩としふみ
さっき食べた粥をすべて吐いてしまった。

俊詩としふみ…。なんで…?」

「…。」

「としふみっ…」

「出ていけ!俺は誰も好きじゃない!
みんな…大嫌いだ!」



茫然と叶愛のあが出ていく。

俊詩としふみは鍵をかけロックまでかけて
玄関に座り込んだ。


「ハァハア…きもちわるい…」


洗面所に行き口を洗う。
なにももうついてはいないのに
叶愛のあのキスの感触をなんとか洗い流そうと
躍起になり洗い続けた。


「くそっ!くそぅ!」


1時間後…俊詩としふみはようやく洗うのをやめ
リビングに戻り自分の吐いたものを
片付け自室に籠った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

くんか、くんか Sweet ~甘くて堪らない、君のフェロモン~

天埜鳩愛
BL
爽やかスポーツマンα × 妄想巣作りのキュートΩ☆ お互いのフェロモンをくんかくんかして「甘い❤」ってとろんっとする、可愛い二人のもだきゅんラブコメ王道オメガバースです。 オメガ性を持つ大学生の青葉はアルバイト先のアイスクリームショップの向かいにあるコーヒーショップの店員、小野寺のことが気になっていた。 彼に週末のデートを誘われ浮かれていたが、発情期の予兆で休憩室で眠ってしまう。 目を覚ますと自分にかけられていた小野寺のパーカーから香る彼のフェロモンに我慢できなくなり、発情を促進させてしまった! 他の男に捕まりそうになった時小野寺が駆けつけ、彼の家の保護される。青葉はランドリーバスケットから誘われるように彼の衣服を拾い集めるが……。 ハッピーな気持ちになれる短編Ωバースです

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

平凡顔のΩですが、何かご用でしょうか。

無糸
BL
Ωなのに顔は平凡、しかも表情の変化が乏しい俺。 そんな俺に番などできるわけ無いとそうそう諦めていたのだが、なんと超絶美系でお優しい旦那様と結婚できる事になった。 でも愛しては貰えて無いようなので、俺はこの気持ちを心に閉じ込めて置こうと思います。 ___________________ 異世界オメガバース、受け視点では異世界感ほとんど出ません(多分) わりかし感想お待ちしてます。誰が好きとか 現在体調不良により休止中 2021/9月20日 最新話更新 2022/12月27日

壁穴奴隷No.19 麻袋の男

猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。 麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は? シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。 前編・後編+後日談の全3話 SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。 ※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。 ※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

処理中です...