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嫌悪

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家に帰ると向かいの家から
叶愛のあが出てきた。

「ちょっと!フミちゃん大丈夫?」

(またやっかいなやつにつかまった…)



「過労だって。大丈夫だよ。じゃ。」

「ちょっと待ってよ。
おかゆ作ったからさ、持ってくる。」

「いらねぇ。」

「いいから!なにか食べないと!」

「食欲ねぇんだよ…」

「ダメ!ちょっと待ってて。」

「…も、勝手にしろ。」

さっさと靴を脱いで俊詩としふみは家にあがる。
鍋を持って叶愛のあはあがり込んできた。

「いつ来ても殺風景なうちね。」

「男の二人暮しなんてそんなもんだろ。」

「ま、ね。はい、おかゆ。
中華粥にしといたから食べて。」

「…ほんとにお節介だな。」 

「ほら、食べて!食べるの待って
鍋持って帰るから。」

「えー…あとで返しに行くよ。」

「そしたら食べないでしょうよ!
だからちゃんと見張るの!」

「めんどくせぇ~」

「ほら!」

仕方なく食卓に座り
食べ始める俊詩としふみの前に叶愛のあ
座り食べる様子を眺める。

味もわからず俊詩としふみ
とりあえず胃に流し込んだ。

「ほら、食べたぞ。」

「完食したね!えらいえらい!」と
叶愛のあ俊詩としふみの頭を撫でる。

されるがままにされ俊詩としふみは席をたった。

「じゃ。寝るから。」

そう言ってリビングのドアを開ける。

(帰れ、って意味、わかるよな)





それなのに叶愛のあは急に涙を流し
俊詩としふみの胸へと飛び込んできた。

「な、なんだよ!なにすんだ!離せ!」

俊詩としふみは必死に叶愛のあから逃れようとするが
叶愛のあは離れなかった。

「フミちゃん!俊詩としふみ
今まで女子を全部ふってきたのは
私を好きだから、でしょ?
私も俊詩としふみが好き!
だから好きにしていいよ?」

「は?何勝手に決めてんの?」

俊詩としふみぃ!」

叶愛のあに押し倒され
リビングの床に転がった。

「てめぇ、なにすん…!」

叶愛のあから強いキス。舌まで差し入れられた。

「んぐっ!ん!やめろ!」

物凄い力で叶愛のあを押しのけた俊詩としふみ
さっき食べた粥をすべて吐いてしまった。

俊詩としふみ…。なんで…?」

「…。」

「としふみっ…」

「出ていけ!俺は誰も好きじゃない!
みんな…大嫌いだ!」



茫然と叶愛のあが出ていく。

俊詩としふみは鍵をかけロックまでかけて
玄関に座り込んだ。


「ハァハア…きもちわるい…」


洗面所に行き口を洗う。
なにももうついてはいないのに
叶愛のあのキスの感触をなんとか洗い流そうと
躍起になり洗い続けた。


「くそっ!くそぅ!」


1時間後…俊詩としふみはようやく洗うのをやめ
リビングに戻り自分の吐いたものを
片付け自室に籠った。
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