きみがいるからぼくがいる

勇黄

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きみは右半分のハート、ぼくは左半分のハート。

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ある日幼稚園のバスで
みんなで動物園に行ったんだ。






















僕はいつものように
しょうちゃんの隣に座り
手を握ってにこにこしてた。
























そんな僕をしょうちゃんは
微笑んで見ていてくれる。
























「たっくんどうぶつえん
たのしみだねぇ。」























『うん!しょうちゃん!』






















そうしたら先生が僕達に
言うんだ。























[ふたりは仲良しねぇ。
いつも一緒にいるよね?
飽きちゃったりしないの?]























しょうちゃんはムッとした様子で
反論した。




















「せんせい。ぼくたちは
あきたりしないよ。
だってずっといっしょだから。」
























『そーだよ、せんせい!
あきたりしない!』





















僕も必死に言った。






















[あはは!ごめんごめん!] 






















退散、といった感じで先生は
おどけて行ってしまった。























「たっくん…ほんとにずっと 
いっしょだよ…。今までも
これからだってずっと。」






















『しょうちゃん。
ぼくわかってるよ。いっしょ。』























きゅ、と腕にしがみつき
しょうちゃんの肩に顔を寄せる。
























動物園に着きいろいろ見て
僕達はある動物の前で
釘付けになった。




























「ねぇ…たっくん。
あのときのことおもいだした?」

























『あのときのこと…?』
























僕はなんだかクラクラして
しょうちゃんにしがみつく。
























「ほら…ここにすわろう。
あのこたちがよく、みえる。
…………おれたちまえも
いっしょだったでしょう?」




























『ん………。』

























そこはキリンの場所だった。
























「もっとひろい…そうげんに
いたよね…おれたちは。」






















『そうげん…。そうだ…ぼくたち
きりんさん…。』
























「おれのあしのあざしってる?」
























『え?しょうちゃんもあるの?
あしにあざ?
ぼくもある…ほら。』

























「ほらこれあわせると…」























そう言うとしょうちゃんは
足を僕の足に
ぴたっとくっつけた。
























「ね!はぁと!」
























『うわぁ…ほぉんと…
はぁと………。』











 



















「きりんさんのときよく
こうしてもようあわせてた。」























『そうだった…ぼくたち
そのときはきりんさんだった…』























「おもいだしてくれたんだね!」





















『ん…。いつもうえのほうの
くさ、とってくれたね…』






















「そうだよ!」























『ありがとう…。』






















「たっくん…。たっくん…?
ねちゃった…。」























すーすーとしょうちゃんの肩で
眠りに落ちた僕は
悲しい夢を見た。





































* * *

『僕を置いていかないで…!
ねぇ!目を開けて!
なんで置いていっちゃうの!
ねぇ!起きて!』






















「また会えるから…。
待っててね…。ありがとう。
あわせたらハートになる
模様が目印だからね…。」

























『僕ずっと待ってるよ!
待ってるからね!
模様、ずっとずっと
ずーっと!残しておくから!』

* * *

































『っと…ずーっと!うわぁん…』






















「たっくん…たっくん…………。」
























『っえっく…わぁぁ……。
…………ぼくをおいて…やだ!
おいてかないでぇ…。わぁぁ…』
























「おれはぜったい
たっくんのところへいく。
いまもほらいるでしょう?
ちゃんと。となりに。」

























『っく…えぇっく…………。
しょう、ちゃん…。
ぜったいぜったいぼくのとこきてよ?
ぜったいだよ?』


























「うん。やくそく。」



























『っく………えええん…。』

























僕は涙をこらえしょうちゃんの
手を握りしめた。
























帰りのバスの中僕は
しょうちゃんの手を離すのが
怖くて怖くてしかたなくて…。


























「だいじょぶ、だいじょぶ。」





























たっくんの親指が
ぎゅっと握ってる僕の手を
愛おしそうに撫でる。



























それでやっと。
やっと僕の心は落ち着いた。
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