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大切な人からの告白~あんこさんside~
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『あんこさん、俺と一緒に北海道に来て欲しい』
東堂社長の顔を見たら、精一杯の告白だとわかった。
いつもみたいに冗談で済ませられないって思った。
『東堂社長…あなたの気持ち、すごく嬉しいよ。だけど…私には「杏」があるから…やっぱり北海道に行くのは無理だよ』
『…どうしても…無理か?』
私は少し悩んで、答えた。
『ごめん…「杏」は私の生きがいだから…ここでずっと「杏」を守って行きたいしね…』
私は、パンが好き。
パンを食べて喜んでくれる人の顔を見るのも好き。
それに…
ここでお店をやりたいって、がむしゃらに頑張って来た自負もある。
でも…
東堂社長のことだって…
ずっと大切に思って来た。
まさか、こんな告白、一生無いと思ってたのにね。
急に、北海道に行くから一緒に…って、そんな突然言われても…
正直、今は…
ここに留まるとしか言えなかった。
『そうだよな。あんこさんにも守りたいものがあるよな…俺も最初、兄貴に声掛けてもらってずいぶん悩んだし。従業員のこともあるし、いろいろ考えたよ。でも、慧が行きたいって言ってくれて…俺も踏ん切りがついた。東堂製粉所を北海道でやるって。北海道に着いて来てくれる従業員もいてな…本当に感謝してるんだ』
『それは良かったね。社長が…今まで頑張って来たから、みんな信頼してくれてるんだよ。すごいじゃん、さすがだね』
本当に…よく頑張って来たもんね。
従業員を大切にして、苦労もしてたその姿、私はずっと見てたよ。
『…慧や、みんなのおかげだよ。親の俺が言うのもなんだけど、慧は本当によくやってくれてる。あと、榊社長にも本当にお世話になってる。これは、あんこさんと雫ちゃんのおかげだな。百貨店での売り上げが良くて…本当に有難いよ。北海道に移転する費用も…何とかなりそうだしな。みんなに頭が上がらないよ』
東堂社長の顔を見たら、精一杯の告白だとわかった。
いつもみたいに冗談で済ませられないって思った。
『東堂社長…あなたの気持ち、すごく嬉しいよ。だけど…私には「杏」があるから…やっぱり北海道に行くのは無理だよ』
『…どうしても…無理か?』
私は少し悩んで、答えた。
『ごめん…「杏」は私の生きがいだから…ここでずっと「杏」を守って行きたいしね…』
私は、パンが好き。
パンを食べて喜んでくれる人の顔を見るのも好き。
それに…
ここでお店をやりたいって、がむしゃらに頑張って来た自負もある。
でも…
東堂社長のことだって…
ずっと大切に思って来た。
まさか、こんな告白、一生無いと思ってたのにね。
急に、北海道に行くから一緒に…って、そんな突然言われても…
正直、今は…
ここに留まるとしか言えなかった。
『そうだよな。あんこさんにも守りたいものがあるよな…俺も最初、兄貴に声掛けてもらってずいぶん悩んだし。従業員のこともあるし、いろいろ考えたよ。でも、慧が行きたいって言ってくれて…俺も踏ん切りがついた。東堂製粉所を北海道でやるって。北海道に着いて来てくれる従業員もいてな…本当に感謝してるんだ』
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本当に…よく頑張って来たもんね。
従業員を大切にして、苦労もしてたその姿、私はずっと見てたよ。
『…慧や、みんなのおかげだよ。親の俺が言うのもなんだけど、慧は本当によくやってくれてる。あと、榊社長にも本当にお世話になってる。これは、あんこさんと雫ちゃんのおかげだな。百貨店での売り上げが良くて…本当に有難いよ。北海道に移転する費用も…何とかなりそうだしな。みんなに頭が上がらないよ』
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