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駆け抜ける想い
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『もういいです。あんまり話したくないですから。私、慧さんのことずっと好きです。大好きです。だから、絶対、慧さんのところに戻らないで下さい。本当…さっさとあの社長と結婚して下さい!』
そう言って、冷たくドアを閉めて出て行った…
果穂ちゃんとは…
歩み寄れそうにない。
これ以上、何を言い合っても…きっとお互いがつらくなるだけだから…
痛む胸を抑え、私は仕事に戻った。
夜になるのは早かった。
いつもより疲れた気がするのは…
果穂ちゃんとの会話のせい…かな…
足取り重く帰っていると、慧君に会った。
『慧君?』
『お疲れ様…雫ちゃん』
『どうしたの?こんなところで…』
『配達…だよ。この近くを回ってたから…』
こんな時間…に?
東堂製粉所の車も近くに止めてあるけど…
『そ、そうなんだ。お疲れ様』
『今、終わったの?家に帰る?』
『うん…帰るよ』
『そっか』
『あ…あのね。私…榊さんと一緒に住んでるんだ…』
すごく言いにくいことだったけど、慧君には話しておいた方がいいのかも…って思った。
『…一緒に…』
言葉が止まった。
慧君は潤んだ瞳を見開いて、少しの間、瞬きもせずに私を見た。
そして…
ゆっくりと…口を開いた。
『…そっか…良かった。あの社長さんはいい人だし、カッコいいし…雫ちゃんとお似合いだよ。一緒に住んでるなんてびっくりしたけど…でも、雫ちゃんは本当に…幸せなんだ』
慧君は、驚いた表情から優しくて穏やかな顔に変わった。
私、この顔好きだよ…
『うん。幸せだよ。あと…榊さん、私にプロポーズしてくれたんだ…』
いろいろ展開が早くて…
驚いてるよね…
私だって自分自身びっくりしてるんだから…
ごめんね、全部話してしまって…
頭の中があんまり整理されてないけど、言わないとまた…
惑わせることになるかも知れないって思ったから。
さっき果穂ちゃんに言われたばっかりだし…
そう言って、冷たくドアを閉めて出て行った…
果穂ちゃんとは…
歩み寄れそうにない。
これ以上、何を言い合っても…きっとお互いがつらくなるだけだから…
痛む胸を抑え、私は仕事に戻った。
夜になるのは早かった。
いつもより疲れた気がするのは…
果穂ちゃんとの会話のせい…かな…
足取り重く帰っていると、慧君に会った。
『慧君?』
『お疲れ様…雫ちゃん』
『どうしたの?こんなところで…』
『配達…だよ。この近くを回ってたから…』
こんな時間…に?
東堂製粉所の車も近くに止めてあるけど…
『そ、そうなんだ。お疲れ様』
『今、終わったの?家に帰る?』
『うん…帰るよ』
『そっか』
『あ…あのね。私…榊さんと一緒に住んでるんだ…』
すごく言いにくいことだったけど、慧君には話しておいた方がいいのかも…って思った。
『…一緒に…』
言葉が止まった。
慧君は潤んだ瞳を見開いて、少しの間、瞬きもせずに私を見た。
そして…
ゆっくりと…口を開いた。
『…そっか…良かった。あの社長さんはいい人だし、カッコいいし…雫ちゃんとお似合いだよ。一緒に住んでるなんてびっくりしたけど…でも、雫ちゃんは本当に…幸せなんだ』
慧君は、驚いた表情から優しくて穏やかな顔に変わった。
私、この顔好きだよ…
『うん。幸せだよ。あと…榊さん、私にプロポーズしてくれたんだ…』
いろいろ展開が早くて…
驚いてるよね…
私だって自分自身びっくりしてるんだから…
ごめんね、全部話してしまって…
頭の中があんまり整理されてないけど、言わないとまた…
惑わせることになるかも知れないって思ったから。
さっき果穂ちゃんに言われたばっかりだし…
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