あなたと恋に落ちるまで～御曹司は、一途に私に恋をする～

一生、一緒にいたい

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『お話ししてもらえてすごく楽しかったです。緊張がほぐれました。ありがとうございます。ここの方達に見守ってもらって、祐誠さんは大人になったんですね。この旅館にはきっと、祐誠さんの思い出がいっぱい詰まってるんでしょうね…』


『本当に…小さな子どもの頃から来て下さってるので…思い出の場所と思ってもらえたら…すごく光栄です。あ…だったら、私、ここをずっと守らないとダメですね。私、実は来年結婚するんです。相手はここの料理人なんですけど…』


『そうなんですか！おめでとうございます』


『ありがとうございます。結婚したら女将修行が始まるんです。だから、榊様と美山様が次に来られる時には、女将として、ご夫婦になられたお2人をお迎えしたいです』


そう、笑顔いっぱいに言ってくれた。


『夫婦…私達もそうなれるといいですけど…まだわかりませんから…とにかく、本当におめでとうございます。何だか嬉しいです』


こんな若い人が女将修行をして頑張っていくんだ…


私も頑張らないとな…


でも…


そこから「結婚」という2文字が、なぜか頭に張り付いたまま離れなくなった。


祐誠さんは、何度もずっと一緒にいたいって言ってくれた。


だけど、それは…


一生なのか、一時期なのか…


私にはわからないから。


嫌だな…


別に結婚を考えてたわけじゃないのに、ちょっと…不安になってしまった。


『ただいま』


『あっ、榊様、お帰りなさいませ。では失礼致します。ごゆっくりなさって下さい』


仲居さんは、慌てて出て行った。


『彼女に何か言われた？女将さんに似て、おしゃべりな子だからな』


『いえいえ、何も…言われてないですよ』


『嘘が下手だな、雫は』


『あっ、結婚するんですって、来年。ここの料理人の方と…そういう話をしてました』


『結婚？あの子が結婚なんて、ちょっと信じられないな』


祐誠さんは、優しく笑った。