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励ましと感謝と涙
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希良君…
『すみません。あなたの仲間なのに…』
『…あ、ううん。果穂ちゃんは…何事にも一生懸命だから…』
『僕は…あの人のこと、そんな優しい言葉で片付けられない…』
希良君…言葉に詰まってる?
『あの人、言ったんです。自分は東堂さんが好きで、でも東堂さんは雫さんに告白して…雫さんは…その返事をしなかったって。だから早く…僕と雫さんが付き合って欲しいって…』
『果穂ちゃん…そんなことを?』
全部…
希良君に話したんだ…
『…僕だって…雫さんと付き合えるならそうしたい。でも…出来ないから待ちますって…あの人に言ったんだけど…あの人は東堂さんが好きだから待てないって…』
希良君、すごくつらそうで…
声が少し震えてるように聞こえた。
『こんなことを話すために電話したわけじゃないのに…ごめん。告げ口みたいになって…すごく嫌だな…』
『ううん。謝らないで。希良君は何も悪くないんだから。そうだよね…希良君にも慧君にも…何も返事してなくて…私、ダメだよね。本当にごめんなさい』
希良君には見えないだろうけど…
それでも、私は深く頭を下げた。
『やっぱり…責めるみたいになっちゃったな…雫さんを悩ませたよね。ただでさえいっぱい…雫さんはいろんなこと考えてるのに…ダメなのは僕だよ。本当に…弱い。男として全然ダメだ…』
スマホの向こうで希良君は、苦笑いしてる…そう思わせるような話し方だった。
弱いとか、男としてダメだとか…
そんなこと、全然ないのに…
『希良君はダメじゃない。いっぱいいっぱい頑張ってる。毎日毎日大学で、すごく難しいことたくさん学んでるんだと思う。なのにバイトも頑張ってて。本当に尊敬するし、偉いよ。だけどね…希良君はまだ若い。今は…友達との楽しい時間も大事にして、ちゃんと青春しなきゃ…』
『すみません。あなたの仲間なのに…』
『…あ、ううん。果穂ちゃんは…何事にも一生懸命だから…』
『僕は…あの人のこと、そんな優しい言葉で片付けられない…』
希良君…言葉に詰まってる?
『あの人、言ったんです。自分は東堂さんが好きで、でも東堂さんは雫さんに告白して…雫さんは…その返事をしなかったって。だから早く…僕と雫さんが付き合って欲しいって…』
『果穂ちゃん…そんなことを?』
全部…
希良君に話したんだ…
『…僕だって…雫さんと付き合えるならそうしたい。でも…出来ないから待ちますって…あの人に言ったんだけど…あの人は東堂さんが好きだから待てないって…』
希良君、すごくつらそうで…
声が少し震えてるように聞こえた。
『こんなことを話すために電話したわけじゃないのに…ごめん。告げ口みたいになって…すごく嫌だな…』
『ううん。謝らないで。希良君は何も悪くないんだから。そうだよね…希良君にも慧君にも…何も返事してなくて…私、ダメだよね。本当にごめんなさい』
希良君には見えないだろうけど…
それでも、私は深く頭を下げた。
『やっぱり…責めるみたいになっちゃったな…雫さんを悩ませたよね。ただでさえいっぱい…雫さんはいろんなこと考えてるのに…ダメなのは僕だよ。本当に…弱い。男として全然ダメだ…』
スマホの向こうで希良君は、苦笑いしてる…そう思わせるような話し方だった。
弱いとか、男としてダメだとか…
そんなこと、全然ないのに…
『希良君はダメじゃない。いっぱいいっぱい頑張ってる。毎日毎日大学で、すごく難しいことたくさん学んでるんだと思う。なのにバイトも頑張ってて。本当に尊敬するし、偉いよ。だけどね…希良君はまだ若い。今は…友達との楽しい時間も大事にして、ちゃんと青春しなきゃ…』
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