あなたと恋に落ちるまで～御曹司は、一途に私に恋をする～

励ましと感謝と涙

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今日は、仕事は休み。


マンションの部屋に1人…


慣れてはいるのに、なぜかちょっと寂しい。


朝から降り続く雨のせいかな…


洗濯物も部屋干しで…なかなか乾かない。


私は、気を紛らわすためにパンを焼いた。


香りが好きだから…


今日はシナモンロール。


シナモンパウダーと、生地に練り込むとより香りが良くなるカルダモンパウダーがあれば、あとの材料はいつもと同じ。


焼き上がりのパンの上に塗り込むアイシングも用意した…


結構、上手に出来たかな。


『うん…いい香りだな…みんなにも食べてもらいたい』


あんこさん、褒めてくれるかな…


イベントにはシナモンロールも出したいって言ってたし。


でも、メインはやっぱり…あんパンみたいだ。


もちろん、それがないと始まらないけどね。


小麦粉、小豆、あんこさんの手にかかると本当に美味しくなる…


まるで魔法がかかったみたいに。


出来るだけたくさんの方に、いろんな種類のパンを食べてもらいたいと張り切ってるあんこさん。


きっと「杏」のブースは大盛況だろう。


私も…パン教室、頑張らなきゃね。


『いただきます』


シナモンロールを1口。


『うわ、美味しい』


シナモンの香りが鼻に抜けて…


とても幸せな気持ちになる。


アイシングが甘くて、疲れた体に染み渡る…って、ちょっとおおげさかな。


私は、窓の外をチラッと見た。


雨…


いつまで続くのかな…


その時、スマホが鳴った。


シナモンロールを食べていた手を急いで洗って…


『はい！』


『あ…ごめん。忙しかった？』


慧君の声。


『ううん。パン食べてて手が汚れてたから…ごめんね』


『あ、後でかけ直そうか？』


『いいよ、そんなの。どうしたの？何かあった？』


『…そうだよね。恋人同士じゃないんだし、用事もないのに電話なんか…しない方が良かったかな…』