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愛おしく、狂おしく、愛を囁く
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そして、麗華からも温かいメールをもらって…
毎日大好きな絵を描いて、充実した日々を過ごしているみたいだった。
彩葉さんも幸せに…って、そう言ってくれたってことは、きっと「麗華も幸せ」なんだよね。
私は、溢れ出る家族みんなの愛情を改めて深く感じ、心の中の絶対忘れない場所にしまった。
夜になり、グレースホテルの最高級レストランでみんなで食事をし、その後、慶都さんに散歩に誘われた。
夜の砂浜…静かに寄せては返す波の音が聞こえる。
こんなにも優しく流れる時間を、慶都さんと過ごせるなんて…すごく幸せ。
『兄さん』
その時、慶都さんに似ている声が聞こえた。
振り向くと、声だけじゃなく何となく雰囲気も似ている男性が立っていた。
『蓮!』
えっ、蓮さん…?
『悪いな、遅くなった。仕事でどうしても出発が遅れて』
『何言ってるんだ。蓮、よく来てくれたな。ありがとう』
『兄さんの結婚式なんだから、来ない訳にはいかないだろ』
慶都さんの表情が思わず緩んだ。
蓮さん…
私の頭の中にあったイメージ通りだったかも知れない。
爽やかなイケメンさんで、慶都さんとはタイプは違うけど、ワイルドさがあってすごく素敵な人だ。
慶都さんと蓮さん。
数年ぶりの再会なんだよね…
兄弟の間に流れたあまりにも長い沈黙の時間。
慶都さんは今、どんな思いを巡らせているんだろう。
何だか胸が熱くなる。
『あなたが彩葉さんですね、はじめまして。弟の蓮です』
蓮さんは私に丁寧に頭を下げてくれた。
『あっ、はじめまして、彩葉です。よろしくお願いします』
私も深いお辞儀で応えた。
『慶都兄さんのお嫁さんが、とても素敵な人で良かった』
『素敵だなんて、そんな…』
私は首を横に振った。
毎日大好きな絵を描いて、充実した日々を過ごしているみたいだった。
彩葉さんも幸せに…って、そう言ってくれたってことは、きっと「麗華も幸せ」なんだよね。
私は、溢れ出る家族みんなの愛情を改めて深く感じ、心の中の絶対忘れない場所にしまった。
夜になり、グレースホテルの最高級レストランでみんなで食事をし、その後、慶都さんに散歩に誘われた。
夜の砂浜…静かに寄せては返す波の音が聞こえる。
こんなにも優しく流れる時間を、慶都さんと過ごせるなんて…すごく幸せ。
『兄さん』
その時、慶都さんに似ている声が聞こえた。
振り向くと、声だけじゃなく何となく雰囲気も似ている男性が立っていた。
『蓮!』
えっ、蓮さん…?
『悪いな、遅くなった。仕事でどうしても出発が遅れて』
『何言ってるんだ。蓮、よく来てくれたな。ありがとう』
『兄さんの結婚式なんだから、来ない訳にはいかないだろ』
慶都さんの表情が思わず緩んだ。
蓮さん…
私の頭の中にあったイメージ通りだったかも知れない。
爽やかなイケメンさんで、慶都さんとはタイプは違うけど、ワイルドさがあってすごく素敵な人だ。
慶都さんと蓮さん。
数年ぶりの再会なんだよね…
兄弟の間に流れたあまりにも長い沈黙の時間。
慶都さんは今、どんな思いを巡らせているんだろう。
何だか胸が熱くなる。
『あなたが彩葉さんですね、はじめまして。弟の蓮です』
蓮さんは私に丁寧に頭を下げてくれた。
『あっ、はじめまして、彩葉です。よろしくお願いします』
私も深いお辞儀で応えた。
『慶都兄さんのお嫁さんが、とても素敵な人で良かった』
『素敵だなんて、そんな…』
私は首を横に振った。
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