あの夜、あなたがくれた大切な宝物～御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く～

踏み出す1歩～弥生side～

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こんなバカな男と私は…


ううん、バカなのは私の方だ。


『あんたなんかチクる価値もない。奥さんと子どもさんが可哀想だよ』


『はぁ？お前が言えたギリか！頭使えよ！』


そう言いながら平然と着替えを始めた。


いつもなら、帰りたくないって、お別れすることを悲しく感じていたのに。


この男だって「お前を帰したくない」って…


甘いキスをしてくれたのに…


『…生まれてくる子どものためにも、奥さんと離婚するか、そういう生活を改めるか…どっちか考えて。自分の遺伝子を受け継いだ可愛い子どもに恥ずかしくない生き方をして。それが私に出来る最後の忠告』


奥さんや子どもに対するせめてもの償いの言葉。


もちろん、どう償っても奥さんには許してもらえないだろうけど。


私、本当にどうかしてた、自業自得だ。


『ふざけんな！お前にそんな綺麗事、言われたくない！セフレにするのもウザイ。二度と会わないからな。後で泣きついても知らないぞっ』


この男には何を言ってもダメだ。


こんな男の周りにいる人達が気の毒になる。


「頭使え、用済み、ウザイ…」そんな言葉をぶつけられ、確かにショックだけど、でも、言われて良かったと思った。


おかげでスッキリと嫌いになれたから。


その証拠に、ドアから出て行く後ろ姿を見ても、何の未練も感じなかった。


呆気ないな…


あんなに好きだったのにね。


毎日毎日想い続けた人、大切な人だったのに、嫌いになる時は一瞬なんだ。


心の痛みさえすぐに消え去って、時間はかかったけど、あんな奴から離れられて、今すごく…ホッとしてる。


彩葉と理久先生のおかげだよ。


2人に言われて私は変わることが出来た。


ダメな自分を真っ直ぐな道に戻してくれたんだ。


だから、2人には心から感謝してる。


あ～早くお礼を言いたいし、2人の顔が見たいよ。