最高ランクの御曹司との甘い生活にすっかりハマってます

遥か遠い国で

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総支配人として、絢斗は今、本当に大変な時なのに。


すごく申し訳ないよ。


ホテルのいち従業員の私にここまでしてくれるなんて。


どうしよう…


私、毎日、毎日、どんどん絢斗を好きになってしまってる。


私の心が絢斗で埋め尽くされていくのがわかる。


なのに、そんな状態で同居も彼女のフリも解消されたら…


すごく、怖いよ。


私、絢斗の側にずっといたいよ。


一緒にいたいのに…


どうして、あなたはそんなに遠い人なの？


『…わ、わかりました。フランスに連れて行って下さい』


苦しいくらいの不安を隠して、私は言った。


『ああ。何も心配しなくていいから』


そう答えて、絢斗はフランス旅行のだいたいの予定を話してくれた。


細かなところはいろいろ秘密みたいだったけど、綺麗な景色を見たり、美味しいものを食べたりって話してるうちに、フランスに行ってみたい気持ちが強くなっていった。


うん、今回は絢斗に甘えよう。


私の心を癒すための旅行、それを実行してくれる優しい絢斗に感謝して、今は何も考えないように怒涛のゴールデンウィークを乗り切ろうと決めた。


実際、ゴールデンウィークはあまりの慌ただしさに目が回りそうだったけど、何とか体調も万全で、お客様のために最大級のおもてなしをすることが出来た。


そして、いよいよフランス行きの日がやって来た。


コンシェルジュは、山内さん、茅野君の他にも数人で私のカバーをしてくれた。


総支配人は、山内さんにだけは話したみたいだった…


私と旅行に行くって。


山内さんが、私に「お土産、楽しみにしてますからね」って、ただそれだけ言ってウインクをした。


そのウインクは、きっと私と絢斗が恋人同士だと思っているからだろうけど、違うんだ…


私達は恋人のフリをしてるだけの、ただの上司と部下なんだから。