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確執の深さ~萌佳side~

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『島田さん、ちょっといいですか?』


シュシュで1人でいたら、突然、コンシェルジュの茅野君が声をかけてきた。


『どうしたの?』


『今、ちょっと時間ありますか?』


ちょうど食べ終わったとこだし。


『あと少しなら大丈夫だけど…』


茅野君が、一体、私に何の用?


私は、シュシュの1番端っこのテーブルに連れて行かれた。


この時間は空いててあまり人がいない。


『すみません、急に』


『全然いいけど、どうしたの?』


ここでは敬語は使わなくていいから、後輩の茅野君にはタメ口。


こんなに近くで顔を見たのは初めてかも知れないけど…


こんなにイケメンだったっけ?


目が大きくて二重でとても可愛い顔をしてる。


『あの…島田さんって、松下さんと仲がいいですよね?』


え?


まさか…


『…え、ええ、まあ』


『僕、島田さんに相談したいことがあって』


『もしかして、相談って…茅野君、一花のこと好きとか?』


『え?どうして…ですか?』


図星だ。


『やっぱりね。それで私にどうしろって?』


あんたもか…


『僕は、松下さん、いや、一花さんのことが好きで告白したんですけど、好きな人がいるからって、フラレてしまって。でも、あきらめられなくて…一花さんと仲がいい島田さんになら、何かアドバイスしてもらえるんじゃないかって』


私にどうしろって言うのよ。


一花は総支配人が好きなんだよ。


それに、2人は一緒に住んでる。


恋人同士でもない、体の関係もない、ただの同居人として。


何で?


何で総支配人は、一花に結婚相手のフリなんか頼んだの?


一花より私の方が…


絶対、可愛いのに!


一花なんて、何のとりえもない女なのに。


そうよ、中学生の頃から、人気があるのはいつだって私だった。


なのに、私が好きになった人はことごとくみんな一花を好きになる。
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