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密室の甘い誘惑
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私は部屋の前まで来て、1度深呼吸してからベルを鳴らした。
しばらくしてドアがゆっくりと開いた。
『工藤様。すみません、お待たせ致しました』
頭を下げた瞬間、工藤様は私の腕をつかんで部屋に引き入れた。
嘘…!
どうしよう。
『松下さん…怖がらないで』
え…?
工藤様は私の腕を優しく離して、そう言った。
『…工藤様?』
『そこに座って』
『で、でも、勤務中ですから、このままで…』
『いいから、座ってよ』
そう言って、工藤様は私の両肩に優しく触れてソファに座らせた。
『す、すみません。失礼します』
『わざわざ呼び出して申し訳ない』
工藤様も、向かい合わせにソファに座り、囁くように言った。
『あ、いえ。先日のお話ですよね?お返事が大変遅くなり申し訳ありませんでした。あれから、総支配人には話をしました』
『彼は、何て?』
『あの…工藤様。総支配人も、やはり勤務時間外に仕事をお引き受けするのはちょっと』
そう言いかけたら、
『なるほどね』
と、一言だけ言って、しばらくの間黙ってしまった。
それから、ゆっくりと口を開いて続けた。
『工藤は勤務時間外に男1人の部屋に松下さんを呼びつけて、コソコソと何をするつもりかわからない…って、そう言いたいのかな』
『いえ、そんなことは…ただ、総支配人としては、従業員が時間外に仕事をお引き受けすることは特別な理由がない限りはいけないことだと』
『特別な理由…ね』
工藤様は、私から視線を外し下を向いた。
『理由なら、ある』
『えっ、特別な理由がですか?』
『ああ』
次の瞬間、工藤様はソファから立ち上がって、私のすぐ横に座った。
うわ…
またこんなに近くに…
しばらくしてドアがゆっくりと開いた。
『工藤様。すみません、お待たせ致しました』
頭を下げた瞬間、工藤様は私の腕をつかんで部屋に引き入れた。
嘘…!
どうしよう。
『松下さん…怖がらないで』
え…?
工藤様は私の腕を優しく離して、そう言った。
『…工藤様?』
『そこに座って』
『で、でも、勤務中ですから、このままで…』
『いいから、座ってよ』
そう言って、工藤様は私の両肩に優しく触れてソファに座らせた。
『す、すみません。失礼します』
『わざわざ呼び出して申し訳ない』
工藤様も、向かい合わせにソファに座り、囁くように言った。
『あ、いえ。先日のお話ですよね?お返事が大変遅くなり申し訳ありませんでした。あれから、総支配人には話をしました』
『彼は、何て?』
『あの…工藤様。総支配人も、やはり勤務時間外に仕事をお引き受けするのはちょっと』
そう言いかけたら、
『なるほどね』
と、一言だけ言って、しばらくの間黙ってしまった。
それから、ゆっくりと口を開いて続けた。
『工藤は勤務時間外に男1人の部屋に松下さんを呼びつけて、コソコソと何をするつもりかわからない…って、そう言いたいのかな』
『いえ、そんなことは…ただ、総支配人としては、従業員が時間外に仕事をお引き受けすることは特別な理由がない限りはいけないことだと』
『特別な理由…ね』
工藤様は、私から視線を外し下を向いた。
『理由なら、ある』
『えっ、特別な理由がですか?』
『ああ』
次の瞬間、工藤様はソファから立ち上がって、私のすぐ横に座った。
うわ…
またこんなに近くに…
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