最高ランクの御曹司との甘い生活にすっかりハマってます

桜散る前の幸せ

7

2人がイスに座った。


しばらくの沈黙。


森田様の言葉待ちだ。


思わず息を飲む。


『…さくら。ちょっと用意してる物があるんだ。あと、話したいことも…』


頑張って言えた！


ちょっとぎこちないけど想いが伝わる。


『え…森田君…？』


このタイミングだ。


私は、2人の前にゆっくりと歩み出た。


『さくらさん、お誕生日おめでとうございます。こちらのバースデーケーキは、わがグレースホテル東京自慢のパティシエが真心込めて作ったものです。どうぞ、お召し上がりください』


その小さなホールケーキにはロウソクが3本だけ立ててあり、私はそれに火を灯した。


カフェからは1人、ウェーターが来てくれ、美味しいアールグレイの温かい紅茶を目の前でいれてくれた。


紅茶の良い香りが漂う。


そして…


茅野君と友人3人が駆けつけてくれ、男性4人がサッと横に並んだ。


茅野君がいつも一緒にコーラスをしている友人さん達。


今回のことを話すと、是非とも協力させて欲しいと言ってくれたそうだ。


本当に優しい人達でものすごく有難かった。


茅野君の「お2人のお誕生日を祝って…」との言葉を合図に、4人の素晴らしく美しい、ハッピーバースデーの曲が披露された。


曲が終わると同時に、2人は顔を見合わせてから、さくらさんがロウソクを吹き消した。


ロウソクが3本なのは、23歳の誕生日だから。


拍手の後、私はケーキを半分に切り分け、綺麗にお皿に盛り付けた。


さくらさんは、コーラスもケーキも紅茶も、とても喜んでくれ、可愛い笑顔をずっと浮かべてくれていた。


その笑顔が、私達周りのスタッフまでも温かい気持ちにさせてくれた。


そして、いよいよ…


森田様がプロポーズをする時がやってきた。