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世界で1番大切なあなた
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「お気遣いありがとうございます」
「琴音ちゃん…」
「…はい」
「本当に良かった。君の笑顔が戻ってきて」
店長は、包み込むようなとても優しい眼差しで私を見た。
「綾井店長にはたくさん助けてもらいました。ありがとうございました」
私の感謝は、ありがとうを1000回言っても足りない。
「いいんだ。じゃあね、また」
店長は、そう言って病院を後にした。
私はその背中を最後まで見送ってから、龍聖君の部屋に向かった。
まだ少し緊張が解けない。
ここだ…
この部屋の中に龍聖君がいる。
そう思うと、すぐにでも会いたいのに何だかドキドキして手が震えた。
本当に…いるんだよね。
恐る恐る、ドアを叩く。
「はい、どうぞ」
ゆっくりとドアを開けると、そこには嘘みたいに美しい男性が横たわっていた。
「…龍聖君…」
ベッドの上にいるのは、紛れもなく私の大切な人。
「琴音」
「龍聖…君。もう! ものすごく心配したんだから!」
胸がいっぱいになり、私は病院だということも忘れて龍聖君に抱きつこうとした。
「あっ、ごめん! 傷、痛むよね」
触れる直前、咄嗟に体を離した。
「平気だよ、おいで」
龍聖君はリモコンでベッドを半分起こした。
私の方に、ゆっくりと龍聖君が近づく。
美しい目、鼻、口…傷ひとつ付いてないことに余計に泣けてくる。
「…私、龍聖君が死んでしまうんじゃないかって、不安で不安で」
「…悪かった。心配かけて」
「本当だよ。本当に…怖かったんだからね」
そう言うと、龍聖君は私の手にそっと触れた。
温かい…この人はちゃんと生きている、そう感じた。
私は、すぐにその手を優しく両手で包みこんだ。
「何かとぶつかった後、意識を失うまでの時間…どれくらいだったんだろう…俺の頭の中に琴音が浮かんで…会いたいと強く思った」
龍聖君は、思い返すようにゆっくりと言葉を繋いだ。
「琴音ちゃん…」
「…はい」
「本当に良かった。君の笑顔が戻ってきて」
店長は、包み込むようなとても優しい眼差しで私を見た。
「綾井店長にはたくさん助けてもらいました。ありがとうございました」
私の感謝は、ありがとうを1000回言っても足りない。
「いいんだ。じゃあね、また」
店長は、そう言って病院を後にした。
私はその背中を最後まで見送ってから、龍聖君の部屋に向かった。
まだ少し緊張が解けない。
ここだ…
この部屋の中に龍聖君がいる。
そう思うと、すぐにでも会いたいのに何だかドキドキして手が震えた。
本当に…いるんだよね。
恐る恐る、ドアを叩く。
「はい、どうぞ」
ゆっくりとドアを開けると、そこには嘘みたいに美しい男性が横たわっていた。
「…龍聖君…」
ベッドの上にいるのは、紛れもなく私の大切な人。
「琴音」
「龍聖…君。もう! ものすごく心配したんだから!」
胸がいっぱいになり、私は病院だということも忘れて龍聖君に抱きつこうとした。
「あっ、ごめん! 傷、痛むよね」
触れる直前、咄嗟に体を離した。
「平気だよ、おいで」
龍聖君はリモコンでベッドを半分起こした。
私の方に、ゆっくりと龍聖君が近づく。
美しい目、鼻、口…傷ひとつ付いてないことに余計に泣けてくる。
「…私、龍聖君が死んでしまうんじゃないかって、不安で不安で」
「…悪かった。心配かけて」
「本当だよ。本当に…怖かったんだからね」
そう言うと、龍聖君は私の手にそっと触れた。
温かい…この人はちゃんと生きている、そう感じた。
私は、すぐにその手を優しく両手で包みこんだ。
「何かとぶつかった後、意識を失うまでの時間…どれくらいだったんだろう…俺の頭の中に琴音が浮かんで…会いたいと強く思った」
龍聖君は、思い返すようにゆっくりと言葉を繋いだ。
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