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after story 菅原 優希
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「優希先生。最近お腹の調子が悪いから、胃カメラと大腸カメラをやりたいんですけど、仕事もあってあまり時間が取れなくて……」
優希先生。
この病院では、患者さんからそうやって名前で呼ばれている。
鎌倉にある信頼する先輩の病院から、内科医として一緒に……との誘いを受け、勤務してからそろそろ2年が経つ。
医師として働く毎日に、とてもやりがいを感じている。
「大丈夫ですよ。この病院では1日でどちらもできますから。麻酔を使えば眠っているうちに終わるラクな検査です。もちろん、何も異常無かった場合は結果もすぐに出ます。看護師から詳しい説明を聞いて、予約を取って帰って下さいね」
「それは助かります。本当に優希先生は頼りになりますね。私は中年のおばちゃんですけど、優希先生のファンですから。先生、アイドルみたいに綺麗なお顔されてますもんね」
「そんな、とんでもないですよ。僕はいたって普通です」
「いやだ~こんなイケメン他にはいませんよ。ここの院長先生はクマみたいに大きいし」
「クマですかっ」
思わず吹き出してしまった。
患者さんとの何気ないやり取り。
この笑顔が続くよう、僕達は地元に根ざした医療を目指し、病気を見逃さないように日々勉強を怠らずに頑張っている。
クマと言われた先輩はもちろん、僕は父を尊敬してやまない。
彼らを目標に、いつかは「総合内科専門医」の資格を取得したいと決意している。
***
仕事を終え、自宅に帰ると母がカレーを作って待っていてくれた。
とても良い匂いがする。
「優希、今度の日曜日、佐知さん来るんでしょ? お父さんも一緒に4人で食事しましょう。お母さん、頑張って色々作るから」
佐知は僕の彼女。
洋服を作るパタンナーとして働いている。
母は、真面目で優しい佐知が可愛くて仕方ないみたいだ。
もちろん……僕も。
「ありがとう。佐知、喜ぶよ」
「良かったわ。何をメインにしようかしら? この前は庭でバーベキューしたし……」
真剣に考えている母がちょっと可愛く思える。こんな優しい人だから、父は好きになったんだろう。
***
そして、日曜日――
佐知も一緒に家族のテーブルに着いた。
すき焼きの美味しそうな甘い匂い。
祖父と祖母から届いた最上級の牛肉も、大きなお皿に並べられていて、ずいぶん華やかな食卓になっている。
「お父さん、お母さん。いつもありがとうございます。こんなにご馳走を用意していただいて……私、幸せです」
「佐知さん。そんなに喜んでもらえて、私こそ幸せよ。このエビチリのエビはね、お父さんが剥いたの。ね、瑞」
「愛莉はいつもそうやってからかう。今は他にも色々作れるようになったから」
「父さんの作るピザは最高だよ。今度はピザパーティもいいね」
「そうだな。エビだけじゃないところ、佐知さんにも見てもらおう」
「わぁ、それも楽しみです」
「あら、でも瑞、シーフードピザは外せないから、結局エビは剥かなきゃね」
「だな」
「じゃあ、僕、ガーリックシュリンプも食べたい」
「優希、それもいいじゃない。ガーリックシュリンプのリクエストよ、瑞、頑張って」
笑い声が響く空間。
佐知とこんな明るい家庭を築けたら……
本当にそう思う。
いつも父は母を、母は父を大切にしている。
それが僕にはとても心地よい。
だから僕も……
必ず、佐知を大切にする。
佐知とは来年結婚式を挙げる予定だ。
男としてもまだまだ未熟な僕だけど、彼女と出会い、人生が大きく変わったと感謝してる。
父から、シーキャンドルで母にプロポーズしたと聞いていた僕は、同じようにキラキラ輝く美しい光景を見ながら佐知に結婚を申し込んだ。
医師はとてもハードな仕事。
それでも、彼女は僕を支えたいと言ってくれた。泣けるほど嬉しくて、僕は佐知を抱きしめた。
愛した人を命をかけて、何があっても一生守り抜くと誓った夜になった。
いつか僕は父の後を継ぐことになるだろう。
菅原総合病院の院長として、ふさわしい医師になれるよう、誠心誠意、努力していこうと思う。
病院で悩むたくさんの人を、心から笑顔にできるように――
優希先生。
この病院では、患者さんからそうやって名前で呼ばれている。
鎌倉にある信頼する先輩の病院から、内科医として一緒に……との誘いを受け、勤務してからそろそろ2年が経つ。
医師として働く毎日に、とてもやりがいを感じている。
「大丈夫ですよ。この病院では1日でどちらもできますから。麻酔を使えば眠っているうちに終わるラクな検査です。もちろん、何も異常無かった場合は結果もすぐに出ます。看護師から詳しい説明を聞いて、予約を取って帰って下さいね」
「それは助かります。本当に優希先生は頼りになりますね。私は中年のおばちゃんですけど、優希先生のファンですから。先生、アイドルみたいに綺麗なお顔されてますもんね」
「そんな、とんでもないですよ。僕はいたって普通です」
「いやだ~こんなイケメン他にはいませんよ。ここの院長先生はクマみたいに大きいし」
「クマですかっ」
思わず吹き出してしまった。
患者さんとの何気ないやり取り。
この笑顔が続くよう、僕達は地元に根ざした医療を目指し、病気を見逃さないように日々勉強を怠らずに頑張っている。
クマと言われた先輩はもちろん、僕は父を尊敬してやまない。
彼らを目標に、いつかは「総合内科専門医」の資格を取得したいと決意している。
***
仕事を終え、自宅に帰ると母がカレーを作って待っていてくれた。
とても良い匂いがする。
「優希、今度の日曜日、佐知さん来るんでしょ? お父さんも一緒に4人で食事しましょう。お母さん、頑張って色々作るから」
佐知は僕の彼女。
洋服を作るパタンナーとして働いている。
母は、真面目で優しい佐知が可愛くて仕方ないみたいだ。
もちろん……僕も。
「ありがとう。佐知、喜ぶよ」
「良かったわ。何をメインにしようかしら? この前は庭でバーベキューしたし……」
真剣に考えている母がちょっと可愛く思える。こんな優しい人だから、父は好きになったんだろう。
***
そして、日曜日――
佐知も一緒に家族のテーブルに着いた。
すき焼きの美味しそうな甘い匂い。
祖父と祖母から届いた最上級の牛肉も、大きなお皿に並べられていて、ずいぶん華やかな食卓になっている。
「お父さん、お母さん。いつもありがとうございます。こんなにご馳走を用意していただいて……私、幸せです」
「佐知さん。そんなに喜んでもらえて、私こそ幸せよ。このエビチリのエビはね、お父さんが剥いたの。ね、瑞」
「愛莉はいつもそうやってからかう。今は他にも色々作れるようになったから」
「父さんの作るピザは最高だよ。今度はピザパーティもいいね」
「そうだな。エビだけじゃないところ、佐知さんにも見てもらおう」
「わぁ、それも楽しみです」
「あら、でも瑞、シーフードピザは外せないから、結局エビは剥かなきゃね」
「だな」
「じゃあ、僕、ガーリックシュリンプも食べたい」
「優希、それもいいじゃない。ガーリックシュリンプのリクエストよ、瑞、頑張って」
笑い声が響く空間。
佐知とこんな明るい家庭を築けたら……
本当にそう思う。
いつも父は母を、母は父を大切にしている。
それが僕にはとても心地よい。
だから僕も……
必ず、佐知を大切にする。
佐知とは来年結婚式を挙げる予定だ。
男としてもまだまだ未熟な僕だけど、彼女と出会い、人生が大きく変わったと感謝してる。
父から、シーキャンドルで母にプロポーズしたと聞いていた僕は、同じようにキラキラ輝く美しい光景を見ながら佐知に結婚を申し込んだ。
医師はとてもハードな仕事。
それでも、彼女は僕を支えたいと言ってくれた。泣けるほど嬉しくて、僕は佐知を抱きしめた。
愛した人を命をかけて、何があっても一生守り抜くと誓った夜になった。
いつか僕は父の後を継ぐことになるだろう。
菅原総合病院の院長として、ふさわしい医師になれるよう、誠心誠意、努力していこうと思う。
病院で悩むたくさんの人を、心から笑顔にできるように――
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