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幸せになってほしくて~朱里side~

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そんなやり取りをしてるうち、理仁さんは食事を終えた。
どうしよう、理仁さんが帰ってしまう。


「ご馳走様でした。とても美味しかったです」


「それは良かったわ。そうだ、朱里。理仁君を外まで送ってあげたら?」


その言葉にドキッとしたけど、お母さんも私と同じことを考えてるんだと察した。


「あっ、うん。じゃあ、ちょっと出るね」


理仁さんもすんなりそれを受け入れ、私達は2人で外に出た。


「ごめんなさい、理仁さん。今日は寄ってくれてありがとうございました。あの……」


「とても美味しかった。朱里ちゃん、質問、俺からしてもいい?」


「えっ、あ、はい、もちろんです」


心臓が急にドキドキ鳴り出した。
奥歯を噛み締め、双葉の名前が出てくることを願った。


「……松雪さん、いや、双葉ちゃんは元気?」


「あ、元気……ですよ。はい」


やった、理仁さん、双葉のこと気にしてる!


「それなら良かった。実は、双葉ちゃんとは……」


「あっ、知ってます。スイミングスクールやリゾートホテルで理仁さんと会ったって……」


「そっか、双葉から聞いてるんだ」


「はい……聞いてます。有難いことに、私とお母さんは双葉に信頼してもらってるんで」


「だったら話は早い。双葉は今どうしてる?   向こうに行ってしばらくは電話してたけど、1度も折り返しが無くて、そのうち俺も連絡しなくなったんだ。ずっと、体調を悪くしてるんじゃないかと、心配していた……」


切ない表情にグッとくる。
愛情はなくても、シンプルにすごくカッコいいと思えた。


「双葉、理仁さんが心配してるって言ったら喜ぶと思いますよ」


「そうかな?   俺はすっかり無視されて嫌われたかと」


「……嫌うなんて、そんなことあるわけないですよ。だけど、双葉も色々あって、理仁さんに連絡できなかったんです」


「色々?」


「……」


言いたい、言ってしまいたい。
理仁さんに双葉の頑張ってきたことを伝えたいよ。


「朱里ちゃん、何か知ってるなら話して」


「……」


「頼む、知りたいんだ」
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