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ドキドキの学校潜入

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次の日の夕方、凛音も授業が終わり、私も保育士のパートの仕事を終え、学校の近くで合流した。


優愛高校。


超有名進学校で、初音ちゃんはここのトップの成績を誇る。


ネットで調べたら、文武両道でクラブ活動も盛ん。


文化系のクラブが多い印象を受ける。


国際色豊かで、賞もたくさん受賞してるみたい。


それでも学業が疎かになる生徒は、クラブ活動が出来ないなど…やっぱり厳しいみたい。


とにかく私達は、演劇部の練習が始まる時間を狙って潜入することにした。


あれから、凛音が直接教頭先生とやり取りし、すんなり学校に入ることが出来た。


『教頭先生、お久しぶりです。いつも初音がお世話になっています』


『いやー学校1番の才女ですからね、初音さんは。さすがあなたの妹さんです。以前、あなたには大変お力を貸して頂き、今でも感謝しています』 


見るからに「教頭先生」という感じの真面目でちょっと厳しそうな顔つきの人。


だけど、凛音には笑顔でとても優しく接している。


『いえ、とんでもないです。また何かありましたらいつでも声をかけて下さい。ところで、演劇部はどちらに?』


そう尋ねた瞬間、


『凛音様~!!』


遠くから元気な声が聞こえた。


手を振りながらこちらに走ってきて、凛音の前で止まった。


『赤田さん、こんにちは。その…凛音様っていうのは止めてくれないかな?潜入捜査がバレてしまうと困るから』


『あっ、すみません、凛音様。あっ!す、すみません!またお会い出来て、つい嬉しくて』


照れた顔が可愛いな、赤田さん…


凛音の顔を見てホッとしたんだろう…


昨日会ったばかりなのに、まるでずっと会えなかった恋人に再会したかのような勢いだ。


本当に凛音を頼りにしてるんだな。


不安な彼女にとっての救世主。


ヒーローなのかも知れないな。
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