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図書館での思い出

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誕生日のお祝いも一段落ついた時、もう1人の家族以外の訪問者が私に話しかけてきた。


院瀬見 亜矢奈(いせみ あやな)さん。


私と同じ21歳、163cm。


円城寺家とは縁の深い間柄で、凛音と同じ大学に通う生粋のお嬢様。


ブラウンのロングのパーマヘアをアップにしてて、結構美人…かな。


でも、ちょっとキツめの顔つきが人を近付きにくくさせてる気がする。


凛音のことが異常に好きで…


勝手に自分が婚約者だと言い張っている。


つまりは、私の長年の「ライバル」。


子どもの頃、亜矢奈さんが凛音に「結婚しよ」って告白したみたいで、凛音は黙ってたらしいけど、OKされたとずっと信じてるらしくて。


私と凛音はずっと一緒にいた友達。


亜矢奈さんはたまに凛音と会う程度。


だけど、同じ大学に入ってからは結構凛音にくっついている。


亜矢奈さんと良子さんは気が合ってるみたいで、今日もお呼ばれしてしっかり誕生日会に参加してるし…


私にはめちゃくちゃ攻撃的な亜矢奈さんだけど、それは昔からで…


初音ちゃんと同じように、どんな言葉にももう慣れすぎて笑って流せるようになった。


『紬さん~またいらっしゃってるのね~家柄が違うのに円城寺家の敷居をまたぐなんて図々しいわね~』


いつもに増してキツい。


『亜矢奈さん。今日のドレス素敵』


でも…


あえて挑発には乗らない。


昔はいちいち「カチン」ときてたけど…


疲れるだけってわかったから。


『お父様からのプレゼントですわ。円城寺家のバースデーパーティならこれを着ていきなさいって』


さすがお金持ちだ。


院瀬見家は、円城寺家ほどではないけどかなりの資産家みたいだし。


本当に…


私だけが普通の暮らしをしてる…一般庶民。


『凛音様の助手かなんだか知りませんが、由緒正しい円城寺家のご子息と結婚するのは、この院瀬見 亜矢奈ですから』
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