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2人に伝えたいこと~沙織side~
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「ひどい! 何するんですか! 叩くなんて暴力ですよ!」
「瑠香さん、あなたも言葉が過ぎますよ。詩穂さんはそんな人じゃないです」
頬を抑える佐和田さんに向かって、広崎君は真剣に言った。純粋に好きな人を守りたい真っ直ぐな気持ちが伝わってくる。
「は? あの子は……あの子は……泥棒なの。なのに、2人とも詩穂をかばって。世の中、みんなおかしい。誰も私を守ってくれない」
「私はね、あなたのような人間が大嫌いだわ。本当に腹が立つ」
「何よ! 私だってあなたのことなんか大嫌い。ちょっと美人だからって鼻にかけてムカつく」
「瑠香さん、さすがに止めた方がいいです。城之内さんは先輩ですよ」
「いいのよ、広崎君。私にムカつくのはどうぞご自由に。でも、あなたが詩穂ちゃんのことをとやかくいうのは間違ってる。あなたにはそんな資格はないわ」
「ふざけないで! 何よ!」
私に掴みかかる佐和田さんを、広崎君が必死に引き離そうとした。
こんなに強い力を出せるなんて、佐和田さんにはそれだけ深くて重苦しい感情があるのだろう。
「やるなら来なさい! 私は合気道の有段者だから、本気出すと危ないわよ」
せっかく離れた佐和田さんを煽っている自分に驚く。
「城之内さん、合気道の有段者なんですか!?」
広崎君は再び驚いた顔をした。
「そう、私は力の弱い女。だけど、亜里を守りたくて、学生時代に合気道を必死で頑張った。どんなことがあっても、たとえ自分が死んだとしても、私は……亜里を守りたいの」
「……バカなの? そこまでする?」
「するわよ。きっと、佐和田さんにはわからないでしょうね。愛してる人が襲われてるのに守れないなんて、そんなの絶対嫌だから。私には亜里しかいないから」
嘘みたい……
勝手にどんどん涙が溢れてしまう。
人前でこの私が泣くなんて……
「……」
2人とも言葉を失っているようだ。
私が泣かないキャラだと思われている証拠だろう。
「瑠香さん、あなたも言葉が過ぎますよ。詩穂さんはそんな人じゃないです」
頬を抑える佐和田さんに向かって、広崎君は真剣に言った。純粋に好きな人を守りたい真っ直ぐな気持ちが伝わってくる。
「は? あの子は……あの子は……泥棒なの。なのに、2人とも詩穂をかばって。世の中、みんなおかしい。誰も私を守ってくれない」
「私はね、あなたのような人間が大嫌いだわ。本当に腹が立つ」
「何よ! 私だってあなたのことなんか大嫌い。ちょっと美人だからって鼻にかけてムカつく」
「瑠香さん、さすがに止めた方がいいです。城之内さんは先輩ですよ」
「いいのよ、広崎君。私にムカつくのはどうぞご自由に。でも、あなたが詩穂ちゃんのことをとやかくいうのは間違ってる。あなたにはそんな資格はないわ」
「ふざけないで! 何よ!」
私に掴みかかる佐和田さんを、広崎君が必死に引き離そうとした。
こんなに強い力を出せるなんて、佐和田さんにはそれだけ深くて重苦しい感情があるのだろう。
「やるなら来なさい! 私は合気道の有段者だから、本気出すと危ないわよ」
せっかく離れた佐和田さんを煽っている自分に驚く。
「城之内さん、合気道の有段者なんですか!?」
広崎君は再び驚いた顔をした。
「そう、私は力の弱い女。だけど、亜里を守りたくて、学生時代に合気道を必死で頑張った。どんなことがあっても、たとえ自分が死んだとしても、私は……亜里を守りたいの」
「……バカなの? そこまでする?」
「するわよ。きっと、佐和田さんにはわからないでしょうね。愛してる人が襲われてるのに守れないなんて、そんなの絶対嫌だから。私には亜里しかいないから」
嘘みたい……
勝手にどんどん涙が溢れてしまう。
人前でこの私が泣くなんて……
「……」
2人とも言葉を失っているようだ。
私が泣かないキャラだと思われている証拠だろう。
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