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13.世界に愛された娘

謝罪

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 帰ってきた。
 ここに、大好きな家族が、仲間が、愛する方がいる。

 「ルーク様、その、只今帰りました。きゃっ?」

 思いっきり抱きしめられました。
 「リスティア! 本当に? 君なんだよね? 」
 「その…、ご心配おかけしました。あの…、お父様、お母様、お兄様も」

 皆が駆け寄って来ます。
 「リスティア? 本当に? 『オラシオン』を唱えて生きているなんて!? 女神様の奇跡?それとも?」
 「お母様。私、帰ってきました。その、ルーク様のお陰です。ルーク様の想いが、私に命を与えてくださいました。ありがとうございます」
 「私の?」
 驚くルーク様に、女神達に聞いた『対の命運』という指輪の事を話しました。

 「これが? そんなアイテム?」
 「このお陰で、私の生命力は尽きる事はなかったって女神様が」
 「そんな奇跡が? 偶然とは言え、よくも…」

 「『光神竜姫』殿、ありがとう。まだ、感謝の念を伝えてなかった。魔族を代表して、そなたに永遠なる感謝を」
 「いえ。只、手を出しただけですから。それよりもいらぬ心配をかけてしまいました」

 魔王レベッカにも謝ります。ちょっと独走したという自覚があるものですから。
 でも、皆何か言いたそうだけど笑顔ではあります。そんなに怒られないかな? と思ったのは、やはり甘かったみたいで…。

 リンドガイア王国に帰ってから、お父様にお母様、お兄様にダイアナ院長、王妃様と勿論ルーク様にお説教されました…。何てコッタイ。
 そして王家より、私の生存と帰還が発表されて、国中が歓喜に沸いたのです。

 「ご心配かけました、本当にごめんなさい! 私は帰ってきました。今、ここにいます! これからも皆と一緒に頑張っていきます」

 王城のテラスから、城の前の広場の国民に謝罪する私。「リスティア様、お帰りなさい!」皆の喜びの声に、嬉しく、また申し訳なく思うのでした。

 で、夕方。
 私は、王城のルーク様の部屋にいます。
 お説教はもう終わったと思うのですが?

 ムギュ。

 あ、後ろから抱きしめられるの久し振りです。
 「一週間、本当に長かったんだ。君を失う事が、こんなにも辛い事だとは思わなかった。こうして抱きしめて、君を感じていてもまだ夢みたいなんだ」
 「本当にごめんなさい、ルーク様。もう、その、私離れませんから。その…」
 「あぁ、離さない」

 ムギュ、モニュ。

 「ふぇ?え?」

 あ、あの? ルーク様? その、掴んで、その…、鷲掴み、その、鷲掴みしてます…。

 「柔らかいな、リスティアだ…。リスティアが今、私の腕の中にいる。リスティアを感じている」

 ムギュギュ、モニュ。

 「ふぁ? あ、あの?」

 ムギュは分かるんです。しっかり抱きしめられるの、私嬉しいし、幸せって思うので。でも、モニュは?

「うん? 何か?」
「…わざとしてますね? ルーク様? ふぇ?」

 ま、またモニュって?

 「リスティアを感じてるんだ。何か幸せだな」

 嬉しいけど、幸せだけど。
 「ルーク様? もう、子供の身体じゃありません。でも成人前です」
 「わかっている。私も、成人し結婚するまではって。痴漢行為で近衛衛士に訴える?」
 「あのね? ルーク様?」
 「ごめん。今日は、いや今だけ! 馬鹿でもいい。他愛もないやり取り、君とのやり取りを実感したいんだ」

 そういうバカな事、甘えを見せる事、私は確かに嬉しいです。でも、お互い子供の身体じゃありません。
 その…、腰というか背中に、何か当たって…。
 「これ以上は、その、流石に我慢するよ。まぁ、その、確かに子供の身体じゃないから、ごめん、その」
 「あの、わかってはいます。っていうか、その、そうならなかったら、私魅力無い女ですよね?」
 「……」
 
 赤くなった二人。
 お互いを感じ合っている、ある意味幸せな時間。

 「バカな事ってわかっている。でも、約束してくれ! もう二度と一人で行かないって」
 「はい、ルーク様」

 ルーク様の想いで、愛で消えなかった私の命。
 その事に感謝して、これからずっと、私は一緒にいます。


 再び戻った日常。
 変わらない、繰り返される日常の幸せを感じながら、月日は流れ、私達は成人の儀を迎えます。

 いよいよ、本当に王太子妃になります。
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