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12.その名は滅亡
絶望
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ルーク視点
王城、南のテラス。
あの空の向こうで、リスティアは戦っている。
準備は進んでる。でも、今日の出発は無理。リスティア…。どうしていつもいつも?
「はい? ルーク様?」
「君が背負い込む必要はないだろ? 確かに君しか、『光神竜姫』たる君しか出来ないと思う。他の人には絶対に無理だ! でも」
「背負い込んでる訳ではないですよ? 私は、私の出来る事をやってるだけです。今の私なら見える。手が届く。声が聞こえる。そこまで行ける。その人を癒せる。皆を癒せる。大地を、世界を癒せる。だからです。出来るのにしないなんて、それこそ無理。っていうか、私、出来なくても『任せて!』って言っちゃう時があって…。あはは。それじゃダメですね」
只笑って、『私、手を出しちゃうんです』って、只のお節介焼きは、神龍の力なんか持ってないし使わないと思うよ? リスティア。無事でいてくれ…。
そろそろ定時連絡かな? 大広間に戻るか。
その時、指輪が光る。
「婚約指輪が?」
リスティアの瞳と同じライトグリーンの石が煌めいている? これはいったい?
「本当にごめんなさい、ルーク様」
!? 今のは?
「リスティア? 居るのか? 今の声は? 」
何だ? 何が起こった? リスティアの身に何かあった? この胸騒ぎはいったい? いてもたってもいられず、急いで大広間へ行く。
「殿下? どうされました?」
駆け込んできた私を、大広間にいた官僚が咎める。大事な連絡があった訳でもなく、血相を変えて飛び込んで来た事への咎めをスルーして、私は水晶球連絡官の元へ行く。
「何か連絡は?」
「いえ? まだ、何も」
「どうした? ルーク?」
「父上…」
この胸騒ぎの事を何と言えばいいのか? 焦りだけが大きくなっていき、まともに言葉を返せない!
と、そこへ
「水晶球、反応あります。何かメッセージがきました!」
「ミューク皇太子か?」
「いえ…、な? 魔族からです」
本来、水晶球に映し出される相手の映像。それが、今回は外に! 水晶球が煌めいて、そこから像が映し出されていく。大広間の中程に映し出される等身大の映像。頭に二本の大きな丸い角。背に漆黒の四枚の羽根を持つ女性。
「貴女は? もしかして魔王レベッカ殿か?」
リスティアに聞いた。今の魔王は女性。六百年前から君臨する親人派の女王。
「そなたがルーク王太子? はじめまして、じゃな。まずは報告。『光神竜姫リスティア』殿が『邪神ザラード』を倒した!」
ざわ?
今何と? リスティアが 魔族領に着いてから半日程だ。向かう処か、準備すら終わっていない!
「倒した?」
「そうだ! 完全に浄化・消滅した。光神竜姫殿のお力で、我々魔族は救われた」
上がる大歓声! 世界は救われた!
なら、リスティアは帰って来る? さっきの声は?
魔王の表情が重いのは?
「リスティアは? そこにいる? どうした? 何があった? 魔王レベッカ! 」
「彼女は、魔族を…、北魔大陸を救ってくれたのだ。死の大地を…、甦らせてくれた…。魔法『オラシオン』を使って…」
オラシオン? 何だ? 竜語魔法なのか?
「何ですって?」
「そんな…、あの娘!?」
ロザリー殿とアイラ公爵妃? そんなに驚くべき魔法なのか?
「殿下、『オラシオン』は『女神の祈り』という名の竜語魔法、いえ、女神魔法とも言える究極の魔法です。生き返り以外の、どんな望みでも叶えられるという魔法。全魔力を使い、魔力の大きさで叶う望みが決まります。リスティア嬢の魔力は十五万。邪神との戦いで使ったとしても、大地を甦らせる事は出来ると思えます」
「究極の魔法? 全魔力を使う? それじゃリスティアは魔力枯渇状態なのか? そこで倒れているのか? 魔王レベッカ?」
嫌な予感が、胸騒ぎが大きくなっていく。
魔王が首を振る? 魔力枯渇ではないのか?
「オラシオンは魔力だけではない。全生命力も使う。光神竜姫殿は全魔力、全生命力を使いきって消失した…。その身を光の粒子と変え、大地に降り注ぎ甦らせたのだ」
消失? リスティアが消えた?
「すまぬ。『魔族を救ってくれ』という我の想いを、彼女は大きくとらえてしまったのだ」
邪神を倒しただけでは、魔族は生きる場所がない。そういう事か。リスティア、君は? どうして?
さっきの声は、『帰りますという約束を守れない』その謝罪だったと言うのか?
「嘘だ…。リスティアは、必ず帰りますって約束した。私との約束を、破る筈がないんだ!」
つい声がでかくなる。その場にいないのが、こんなにももどかしいなんて。
信じない。リスティアが消えた?
私は、二度と会えないのか? そんな筈はない!
「魔王レベッカ! 私を直ぐ、そっちへ移送してくれ!頼む! この目で…、頼む! 早く! そっちへ!!」
水晶球を掴んで、声を荒げてしまう。
探す! とにかく現場に行きたい!
君が消えるなんて、あり得ない!
リスティア! 誰か悪い夢だと言ってくれ!!
王城、南のテラス。
あの空の向こうで、リスティアは戦っている。
準備は進んでる。でも、今日の出発は無理。リスティア…。どうしていつもいつも?
「はい? ルーク様?」
「君が背負い込む必要はないだろ? 確かに君しか、『光神竜姫』たる君しか出来ないと思う。他の人には絶対に無理だ! でも」
「背負い込んでる訳ではないですよ? 私は、私の出来る事をやってるだけです。今の私なら見える。手が届く。声が聞こえる。そこまで行ける。その人を癒せる。皆を癒せる。大地を、世界を癒せる。だからです。出来るのにしないなんて、それこそ無理。っていうか、私、出来なくても『任せて!』って言っちゃう時があって…。あはは。それじゃダメですね」
只笑って、『私、手を出しちゃうんです』って、只のお節介焼きは、神龍の力なんか持ってないし使わないと思うよ? リスティア。無事でいてくれ…。
そろそろ定時連絡かな? 大広間に戻るか。
その時、指輪が光る。
「婚約指輪が?」
リスティアの瞳と同じライトグリーンの石が煌めいている? これはいったい?
「本当にごめんなさい、ルーク様」
!? 今のは?
「リスティア? 居るのか? 今の声は? 」
何だ? 何が起こった? リスティアの身に何かあった? この胸騒ぎはいったい? いてもたってもいられず、急いで大広間へ行く。
「殿下? どうされました?」
駆け込んできた私を、大広間にいた官僚が咎める。大事な連絡があった訳でもなく、血相を変えて飛び込んで来た事への咎めをスルーして、私は水晶球連絡官の元へ行く。
「何か連絡は?」
「いえ? まだ、何も」
「どうした? ルーク?」
「父上…」
この胸騒ぎの事を何と言えばいいのか? 焦りだけが大きくなっていき、まともに言葉を返せない!
と、そこへ
「水晶球、反応あります。何かメッセージがきました!」
「ミューク皇太子か?」
「いえ…、な? 魔族からです」
本来、水晶球に映し出される相手の映像。それが、今回は外に! 水晶球が煌めいて、そこから像が映し出されていく。大広間の中程に映し出される等身大の映像。頭に二本の大きな丸い角。背に漆黒の四枚の羽根を持つ女性。
「貴女は? もしかして魔王レベッカ殿か?」
リスティアに聞いた。今の魔王は女性。六百年前から君臨する親人派の女王。
「そなたがルーク王太子? はじめまして、じゃな。まずは報告。『光神竜姫リスティア』殿が『邪神ザラード』を倒した!」
ざわ?
今何と? リスティアが 魔族領に着いてから半日程だ。向かう処か、準備すら終わっていない!
「倒した?」
「そうだ! 完全に浄化・消滅した。光神竜姫殿のお力で、我々魔族は救われた」
上がる大歓声! 世界は救われた!
なら、リスティアは帰って来る? さっきの声は?
魔王の表情が重いのは?
「リスティアは? そこにいる? どうした? 何があった? 魔王レベッカ! 」
「彼女は、魔族を…、北魔大陸を救ってくれたのだ。死の大地を…、甦らせてくれた…。魔法『オラシオン』を使って…」
オラシオン? 何だ? 竜語魔法なのか?
「何ですって?」
「そんな…、あの娘!?」
ロザリー殿とアイラ公爵妃? そんなに驚くべき魔法なのか?
「殿下、『オラシオン』は『女神の祈り』という名の竜語魔法、いえ、女神魔法とも言える究極の魔法です。生き返り以外の、どんな望みでも叶えられるという魔法。全魔力を使い、魔力の大きさで叶う望みが決まります。リスティア嬢の魔力は十五万。邪神との戦いで使ったとしても、大地を甦らせる事は出来ると思えます」
「究極の魔法? 全魔力を使う? それじゃリスティアは魔力枯渇状態なのか? そこで倒れているのか? 魔王レベッカ?」
嫌な予感が、胸騒ぎが大きくなっていく。
魔王が首を振る? 魔力枯渇ではないのか?
「オラシオンは魔力だけではない。全生命力も使う。光神竜姫殿は全魔力、全生命力を使いきって消失した…。その身を光の粒子と変え、大地に降り注ぎ甦らせたのだ」
消失? リスティアが消えた?
「すまぬ。『魔族を救ってくれ』という我の想いを、彼女は大きくとらえてしまったのだ」
邪神を倒しただけでは、魔族は生きる場所がない。そういう事か。リスティア、君は? どうして?
さっきの声は、『帰りますという約束を守れない』その謝罪だったと言うのか?
「嘘だ…。リスティアは、必ず帰りますって約束した。私との約束を、破る筈がないんだ!」
つい声がでかくなる。その場にいないのが、こんなにももどかしいなんて。
信じない。リスティアが消えた?
私は、二度と会えないのか? そんな筈はない!
「魔王レベッカ! 私を直ぐ、そっちへ移送してくれ!頼む! この目で…、頼む! 早く! そっちへ!!」
水晶球を掴んで、声を荒げてしまう。
探す! とにかく現場に行きたい!
君が消えるなんて、あり得ない!
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