75 / 90
12.その名は滅亡
魔戦
しおりを挟む
復活した邪神ザラードは、世界を砂と塩に、死の世界に変えながら移動しています。
その姿は禍々しき黒き蜥蜴? 羽根のない竜神!
回りに『滅びの力』を纏わせながら、ゆっくり進んで行く。なので、近づくと砂と塩にされてしまいます。
魔族の遠距離魔法攻撃が効いているのか?
歩みが、想像以上に遅い!
「直接攻撃は? 現時点では無理ですか?」
私の問いかけに、皆が頷く。
「滅びの力が邪神を包んでいて、近づくと塩になるので」
「ホーリーシールド!」
竜語魔法の神聖属性魔法。各属性の攻撃魔法や防御魔法があって、流石は最高位の魔法体系。これで近づけるはず! 光神竜剣を構えて、いきます!!
グッ! ザザッ、グサッ!
私の剣はザラードの手を、伸びてきた右手を斬りつけ、そこから黒き血が吹き出しました。
「斬った!斬りつけた!!」
挙がる歓声。魔族の士気も上がります。
「くくく、やりますね。ですが?」
血が止まる。でも!
剣に竜気功を込めて!
「ドラゴニック・オーラ・スラッシュ!」
オーラが太刀筋になる! その剣気が、邪神の腕を断つ!
ボトリ。落ちる左腕。
「今度は? そんな…」
死の砂が巻き上げられ、左腕に纏わりつき再生されていく!
「この身体は、滅びの力で出来た砂や塩で出来ています。斬るのは無意味! 言ったはず! 我を滅せ、と」
「直接攻撃は無意味…。なら、これなら!」
風、水、聖属性複合!
「ホーリー・ウォータースパウト!」
剣先より現れる、聖なる輝きを持つ渦巻!
「グッギャアアアアアアァァァ!」
砂で出来ているなら、聖水を掛けて、一粒一粒浄化する!邪神ザラード! 滅してください!!
聖なる渦巻はザラードを完全に包み込みました。土塊の身体に聖水が染み込んでいく!
「凄い! あの邪神をお一人で追い込んでいく? これが『光神竜姫』?」
魔族すら感嘆していて。
よろめきながらも、渦から出ようとする邪神。そうはさせません!
「足留めを!」
「あ? あぁ、わかった! ロック・ウォール!」
魔王レベッカが、大地属性魔法を唱える。
大地が競り上がり、壁となって邪神を囲む!
ボトリ。ボトッ、ボトッ!
皮膚が、背びれが、指先が落ちていく。浄化されて、身体の形成が維持出来なくなっていく。
「ギャアアアアアア?! こんな、こんな方法が…。まさか、身体…の一粒…一粒を浄化す…るとは…。光神…竜…姫……、おの…れ…、何故…? 我…は邪神…ザラード…何故滅せられ…る? いく…ら竜…語魔法…といえ…、我に…ここまで…効く?…何故?…」
「女神が、貴様の力を押さえ込んでいるのだ」
「そして、我等が竜姫の力を増幅している」
天空に現れたのは『光神銀竜ゼルメイド』と『暗黒竜ボスコーン』。光と闇を守護神竜が、私の力を後押ししてくれている。
そして女神様も、力を貸してくれている!
「何故滅…せら…れ…る…。前は…こんな…こ…とは……なかった…。こんな…」
「前は女神のみで戦ったからな」
「こんな規格外の竜戦士はいなかった!」
? ?!
あれ? 私って神竜からも規格外って思われている?
やがて崩れ落ちるザラードの身体。そして現れたのは、コア?
「あれは?」
「あれが邪神の本体。核水晶の中に、本体の生命体がある」
ありがとうございます、ゼルメイド様。
中にいるのは、脳と神経組織のみの物体。あの脳が、邪神だと言うの?
「邪神は器に過ぎぬ。人々の恨み妬み嫉み。負の感情の強い者が、世界を恨み滅ぼさんと願う。器に入るのだ」
「では、あれはモルドの脳? 喰われたって、あの姿になること?」
コアのみになったからか、邪神は、モルドは何も語らない。
「脳が残っているなら、モルドも復活出来るかも。ドリスティアの…あうっ!」
コアが輝き、私は酷い頭痛に襲われた。
「モルド? まだ? え? 貴方は?」
『言ったはず! 貴女が勝てば世界が一つになる。我が勝てば世界は滅ぶ、と。我より復活させるのは大地。死の世界のままでいいのですか? くくく、これまでのようです。もう、我が世界をどうこうすることはない。さらばです。けけけけけけけけけけけ!』
頭に直接? あ? コアが!?
ピシャッ! パリン!!
コアが砕け散りました。脳が、塩になって消えていく?消えていきました…。
沸き上がる大歓声!
確かに邪神は滅しました。でもモルドの言う通り、大地は死の世界のまま。これでは人々は住めない。魔族は、生きる大地を失ったまま。
大地を甦らす方法。
長い年月を掛けて手を入れれば、多分緑は戻る。いつか、住める大地になる。
ダメ!
年月は掛けられない! なら、何か…。
あった! 一つだけ、多分私に出来る? ううん、私にしか出来ない事があった。
竜語魔法を全て使えて、魔力も並外れて多い私なら出来る魔法がある。
竜語…、というよりもう、女神魔法と言った方がいいものが!
全魔力 +α を使う『女神の祈り』という魔法。
生き返り以外の、どんな望みでも叶うもの。但し、使う魔力量で叶う願いは変わる。
まだ、魔力は充分にある。多分、大地を甦らす事も出来る。でも…。
+α 、全生命力を使う…。魔力と生命力を失った私は、この世界から消失する…。
「頼む。魔族を救ってくれ」
「私、助けてって言われたら、任せてって言っちゃうんだ」
そう…だよね。私だけが出来る魔法があるのだから。
左手薬指を見る。ついはめてきた指輪。ルーク様の瞳と同じ色の婚約指輪。
ごめんなさい、ルーク様。
「ルーク様の元に、必ず帰ります!」
約束守れそうにありません。
「私は願う! 全てを糧に叶えたまわん事を!」
気付いたのは、知っていたのは魔王レベッカだけでした。
「まさか? いかん! リスティア! 止めろ!! それは禁呪だ!!」
「女神の祈り『オラシオン』!」
私の身体が、金色の光に包まれていく。
その輝きが、金色の粒子が大地に降り注いで!
死の世界が、大地が甦る!!
出来た。良かった…。
私の身体が、粒子となって大地に降り注いでいく。
「リスティア!」
本当にごめんなさい、ルーク様。
魔族の、魔王レベッカの前で、光神竜姫リスティアは、光の粒子となって消えた。
その姿は禍々しき黒き蜥蜴? 羽根のない竜神!
回りに『滅びの力』を纏わせながら、ゆっくり進んで行く。なので、近づくと砂と塩にされてしまいます。
魔族の遠距離魔法攻撃が効いているのか?
歩みが、想像以上に遅い!
「直接攻撃は? 現時点では無理ですか?」
私の問いかけに、皆が頷く。
「滅びの力が邪神を包んでいて、近づくと塩になるので」
「ホーリーシールド!」
竜語魔法の神聖属性魔法。各属性の攻撃魔法や防御魔法があって、流石は最高位の魔法体系。これで近づけるはず! 光神竜剣を構えて、いきます!!
グッ! ザザッ、グサッ!
私の剣はザラードの手を、伸びてきた右手を斬りつけ、そこから黒き血が吹き出しました。
「斬った!斬りつけた!!」
挙がる歓声。魔族の士気も上がります。
「くくく、やりますね。ですが?」
血が止まる。でも!
剣に竜気功を込めて!
「ドラゴニック・オーラ・スラッシュ!」
オーラが太刀筋になる! その剣気が、邪神の腕を断つ!
ボトリ。落ちる左腕。
「今度は? そんな…」
死の砂が巻き上げられ、左腕に纏わりつき再生されていく!
「この身体は、滅びの力で出来た砂や塩で出来ています。斬るのは無意味! 言ったはず! 我を滅せ、と」
「直接攻撃は無意味…。なら、これなら!」
風、水、聖属性複合!
「ホーリー・ウォータースパウト!」
剣先より現れる、聖なる輝きを持つ渦巻!
「グッギャアアアアアアァァァ!」
砂で出来ているなら、聖水を掛けて、一粒一粒浄化する!邪神ザラード! 滅してください!!
聖なる渦巻はザラードを完全に包み込みました。土塊の身体に聖水が染み込んでいく!
「凄い! あの邪神をお一人で追い込んでいく? これが『光神竜姫』?」
魔族すら感嘆していて。
よろめきながらも、渦から出ようとする邪神。そうはさせません!
「足留めを!」
「あ? あぁ、わかった! ロック・ウォール!」
魔王レベッカが、大地属性魔法を唱える。
大地が競り上がり、壁となって邪神を囲む!
ボトリ。ボトッ、ボトッ!
皮膚が、背びれが、指先が落ちていく。浄化されて、身体の形成が維持出来なくなっていく。
「ギャアアアアアア?! こんな、こんな方法が…。まさか、身体…の一粒…一粒を浄化す…るとは…。光神…竜…姫……、おの…れ…、何故…? 我…は邪神…ザラード…何故滅せられ…る? いく…ら竜…語魔法…といえ…、我に…ここまで…効く?…何故?…」
「女神が、貴様の力を押さえ込んでいるのだ」
「そして、我等が竜姫の力を増幅している」
天空に現れたのは『光神銀竜ゼルメイド』と『暗黒竜ボスコーン』。光と闇を守護神竜が、私の力を後押ししてくれている。
そして女神様も、力を貸してくれている!
「何故滅…せら…れ…る…。前は…こんな…こ…とは……なかった…。こんな…」
「前は女神のみで戦ったからな」
「こんな規格外の竜戦士はいなかった!」
? ?!
あれ? 私って神竜からも規格外って思われている?
やがて崩れ落ちるザラードの身体。そして現れたのは、コア?
「あれは?」
「あれが邪神の本体。核水晶の中に、本体の生命体がある」
ありがとうございます、ゼルメイド様。
中にいるのは、脳と神経組織のみの物体。あの脳が、邪神だと言うの?
「邪神は器に過ぎぬ。人々の恨み妬み嫉み。負の感情の強い者が、世界を恨み滅ぼさんと願う。器に入るのだ」
「では、あれはモルドの脳? 喰われたって、あの姿になること?」
コアのみになったからか、邪神は、モルドは何も語らない。
「脳が残っているなら、モルドも復活出来るかも。ドリスティアの…あうっ!」
コアが輝き、私は酷い頭痛に襲われた。
「モルド? まだ? え? 貴方は?」
『言ったはず! 貴女が勝てば世界が一つになる。我が勝てば世界は滅ぶ、と。我より復活させるのは大地。死の世界のままでいいのですか? くくく、これまでのようです。もう、我が世界をどうこうすることはない。さらばです。けけけけけけけけけけけ!』
頭に直接? あ? コアが!?
ピシャッ! パリン!!
コアが砕け散りました。脳が、塩になって消えていく?消えていきました…。
沸き上がる大歓声!
確かに邪神は滅しました。でもモルドの言う通り、大地は死の世界のまま。これでは人々は住めない。魔族は、生きる大地を失ったまま。
大地を甦らす方法。
長い年月を掛けて手を入れれば、多分緑は戻る。いつか、住める大地になる。
ダメ!
年月は掛けられない! なら、何か…。
あった! 一つだけ、多分私に出来る? ううん、私にしか出来ない事があった。
竜語魔法を全て使えて、魔力も並外れて多い私なら出来る魔法がある。
竜語…、というよりもう、女神魔法と言った方がいいものが!
全魔力 +α を使う『女神の祈り』という魔法。
生き返り以外の、どんな望みでも叶うもの。但し、使う魔力量で叶う願いは変わる。
まだ、魔力は充分にある。多分、大地を甦らす事も出来る。でも…。
+α 、全生命力を使う…。魔力と生命力を失った私は、この世界から消失する…。
「頼む。魔族を救ってくれ」
「私、助けてって言われたら、任せてって言っちゃうんだ」
そう…だよね。私だけが出来る魔法があるのだから。
左手薬指を見る。ついはめてきた指輪。ルーク様の瞳と同じ色の婚約指輪。
ごめんなさい、ルーク様。
「ルーク様の元に、必ず帰ります!」
約束守れそうにありません。
「私は願う! 全てを糧に叶えたまわん事を!」
気付いたのは、知っていたのは魔王レベッカだけでした。
「まさか? いかん! リスティア! 止めろ!! それは禁呪だ!!」
「女神の祈り『オラシオン』!」
私の身体が、金色の光に包まれていく。
その輝きが、金色の粒子が大地に降り注いで!
死の世界が、大地が甦る!!
出来た。良かった…。
私の身体が、粒子となって大地に降り注いでいく。
「リスティア!」
本当にごめんなさい、ルーク様。
魔族の、魔王レベッカの前で、光神竜姫リスティアは、光の粒子となって消えた。
1
お気に入りに追加
1,985
あなたにおすすめの小説
【完結】神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました
土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。
神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。
追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。
居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。
小説家になろう、カクヨムでも公開していますが、一部内容が異なります。
転生先ではゆっくりと生きたい
ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。
事故で死んだ明彦が出会ったのは……
転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた
小説家になろうでも連載中です。
なろうの方が話数が多いです。
https://ncode.syosetu.com/n8964gh/
私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!
りーさん
ファンタジー
ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。
でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。
こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね!
のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!
最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅
散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー
2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。
人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。
主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
みんなで転生〜チートな従魔と普通の私でほのぼの異世界生活〜
ノデミチ
ファンタジー
西門 愛衣楽、19歳。花の短大生。
年明けの誕生日も近いのに、未だ就活中。
そんな彼女の癒しは3匹のペット達。
シベリアンハスキーのコロ。
カナリアのカナ。
キバラガメのキィ。
犬と小鳥は、元は父のペットだったけど、母が出て行ってから父は変わってしまった…。
ペットの世話もせず、それどころか働く意欲も失い酒に溺れて…。
挙句に無理心中しようとして家に火を付けて焼け死んで。
アイラもペット達も焼け死んでしまう。
それを不憫に思った異世界の神が、自らの世界へ招き入れる。せっかくだからとペット達も一緒に。
何故かペット達がチートな力を持って…。
アイラは只の幼女になって…。
そんな彼女達のほのぼの異世界生活。
テイマー物 第3弾。
カクヨムでも公開中。
めんどくさがり屋の異世界転生〜自由に生きる〜
ゆずゆ
ファンタジー
※ 話の前半を間違えて消してしまいました
誠に申し訳ございません。
—————————————————
前世100歳にして幸せに生涯を遂げた女性がいた。
名前は山梨 花。
他人に話したことはなかったが、もし亡くなったら剣と魔法の世界に転生したいなと夢見ていた。もちろん前世の記憶持ちのままで。
動くがめんどくさい時は、魔法で移動したいなとか、
転移魔法とか使えたらもっと寝れるのに、
休みの前の日に時間止めたいなと考えていた。
それは物心ついた時から生涯を終えるまで。
このお話はめんどくさがり屋で夢見がちな女性が夢の異世界転生をして生きていくお話。
—————————————————
最後まで読んでくださりありがとうございました!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる